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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第3章 異世界からの来訪者? 〜己が力は誰が為に〜
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勇者様(仮)、禁断の果実に手をつける…



「あ、姐さん。お早いおかえ……」


「ハァ、ハァ……おばちゃん、おる?」



 私は大急ぎで酒場に戻り、従業員(おばちゃん)を捕まえた。



「そんなに慌てて。どうしたんだい、カオルちゃん」


「おばちゃん、ソレってどこで買ってるん?」



 私はカウンターに設置された、大きな樽を指差した。



「ああ、これはいつもティアーノ商会から卸して貰ってるんだよ」


「それって、どこにあるんッ!?」



 私の鬼気迫る迫力に少々引きながらも従業員(おばちゃん)は丁寧に教えてくれた。



「この通りを上がって行ったところだよ。分からなかったら、坊ちゃんに聞けばわかるわよ」


「この通りをずぅーと行ったとこやなッ! ん? ……坊ちゃん?」



 従業員(おばちゃん)はヤヌックを指差している。



「おばちゃん。ヤヌック(アホ)が坊ちゃんってどーゆー事?」


「あらやだね。坊ちゃんはティアーノ商会のお坊っちゃまだよ」



 それは初耳だ。が取り敢えず、ヤヌック(アホ)連れて(拉致して)私は再び走り出した。




 ***




「いやっしゃいませ〜」



 店に入ると前掛けを付けた店員がこちらにやって来た。


 まさに酒屋って感じだ。



「ってヤヌックですか。今度、店のお金くすねたら……おや、其方(そちら)のお嬢さんは?」


「もうそんな事しないよッ! 姐さんがティアーノ商会(ここ)で買い物があるらしい……ってあれ? 姐さん?」



 店員さんとヤヌックが何やら揉めていた様だが、私はそんな事は気にせず、お目当のモノを探した。



「あったあったーッ♪」



 私がお目当のモノを見つけると同時に、ヤヌックと店員さん(にーちゃん)がやって来た。



「お客様、本日は…「これちょーだいッ♪」」


「はい?」



 丁度良かったと、店員さん(にーちゃん)に購入する事を告げたのだが、なぜか首を傾げられた。



「だ・か・らッ! この樽、(ウチ)が買うって言ってんねんッ!」


「ぇえ!? コレ、『エール樽』ですよ!?」



 勿論と私が頷くと、店員さん(にーちゃん)は若干顔を引きつらせながらも金額を教えてくれた。



「き、金貨1枚になります」


「ほな、金貨1枚っと」



 私がアイテムボックスから皮袋(サイフ)を出して、金貨1枚を店員さん(にーちゃん)に手渡した。


 だが、なぜが店員さん(にーちゃん)はポカンと口を開けて呆けていた。



「これで好きな時にエールが飲めるわーッ♪」



 私が樽に抱きついていると、店員さん(にーちゃん)正気(こっち)に戻ったらしい。



「あのお嬢さん、(これ)をどうやって運ぶつもりですか?」


「あーそれな、気にせんでも大丈夫やで」



 確かにこの樽は大きい、確かエール100杯分くらい入っているらしい。


 しかし、そんな事は問題ではないッ!


 私は意気揚々とその場でエール樽をアイテムボックスに入れた。



「「は?」」



 店員さん(にーちゃん)は再びポカンと口を開けて呆けていた。


 今度はヤヌックも一緒にだ。



「あ、この樽置いてた台も貰っていい? っておーい。貰うでー」



 私はアイテムボックスからエール樽を取り出し、今度はエール樽と樽台を一緒に入れる。


 二人は口を開いたまま、視線だけ移動させその一部始終を確認していた。



「ほな、無くなったらまた来る…「ち、ちょっと待ってくださいッ!」」



 用も済んだので帰ろうと思った矢先、店員さん(にーちゃん)に足止めを食らった。




【組織情報】


【ティアーノ商会】

 商業ギルドに加盟する、中商人のティアーノの商会。

 主に、酒類の買い付け販売を商いにしている。


 (ちな)みに、ヤヌックの実家である。



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