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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第3章 異世界からの来訪者? 〜己が力は誰が為に〜
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お調子者、傭兵ギルドへ行く!



「両方ともに登録したらアカンのか?」



 (いが)み合っているサノワ(イケメン)アイヴァン(のんべぇ)に私はふとした疑問を尋ねてみた。



「あー、それはですねー……」



 サノワ(イケメン)の話によると、傭兵の活動が冒険者の規約に違反するらしい。


 傭兵は『対人』の依頼を受け持つのが主な仕事だ。


 故に、人を(あや)めることもあるし、依頼の中には略奪を黙認するものもある。


 一方、冒険者は『対魔物(モンスター)』の依頼を受け持つのが主な仕事だ。


 人間よりも凶暴な魔物(モンスター)を相手にするのだから、人間なんて容易く(あや)める事ができる。


 それを防ぐ為に、規約で殺人や略奪行為の一切を禁止しているのだ。



「ともかく、酒場(ここ)で話していても(らち)が明かないですので、各ギルドにカオル様をお連れして説明するのはどうでしょう?」



 二人の遣り取りに痺れを切らしたヴィエール(クソジジイ)の提案に、サノワ(イケメン)アイヴァン(のんべぇ)は納得した様子だった。



「ほんじゃ、行こか」


「「「え?」」」



 立ち上がった私に、御三方は驚いた様な表情を浮かべた。



 …………。



「……私はこれで失礼します。また後日、どちらのギルドに所属するか返答をお伺いに参ります」



 今から私がギルドに向かう事になり食事会はお開きとなった。


 しかも、酒場(ここ)の飲食代はヴィエール(クソジジイ)が払ってくれた。



 お会計の時にヴィエール(クソジジイ)は一瞬固まってたけど、いくらやったんかな?



 正規兵を連れてヴィエール(クソジジイ)が先に帰ると、サノワ(イケメン)が意気揚々と私の前にやってきた。



「今日は、傭兵ギルド(僕のところ)を見学して行ってよー」


「うむ。今日は遅いので冒険者ギルド(わしのところ)は明日参られよ」



 サノワ(イケメン)が私を誘うとアイヴァン(のんべぇ)は、どうぞどうぞとサノワ(イケメン)に先を譲った。。


 まあ十中八九、いい感じに酔ったから今日はもう仕事はしたくないって所だろう。



「それでは先に失礼する」



 そして、アイヴァン(のんべぇ)もフラフラっと一人で帰って行った。




 ***




「じゃじゃ〜ん! ここが傭兵ギルドです!」


「「「おぉーーッ」」」



 サノワ(イケメン)が大げさに傭兵ギルドの建物を紹介すると、子分(アホ)どもはそれに感心して頷いている。



「なんか思ってたのとちゃうなー」



 ギルド内は酒場の様な食事処となっており、沢山のテーブルが用意されている。


 酒場と少し違うのはその奥に受付があることだ。


 しかし、どのテーブルにも誰も座っていない。ギルド内はもぬけの殻だった。



「マスター。戻ってたんですねー。ってあれ? お客さんですかー?」



 受付にいた女性がこちらにやって来て、サノワ(イケメン)に話しかけている。



 何だ、この女(こいつ)サノワ(イケメン)に色目使いやがってッ。



「サノワさん。その人、誰なんですかぁー」



 私はサノワ(イケメン)の腕にワザとらしく抱き付いて見せた。


 すると、彼女は少しムッとした表情で私を睨んだ。



「ああ、モニカ。こちらは『あの』カオルさんだ。カオル、こっちはモニカ。ギルド(うち)で受付をやってくれている子だよ」



 私はニッコリと彼女(モニカ)に微笑んだ。


 しかし、彼女は私の名前を聞くなり、顔を青くしてブルブルと震え始めた。



「え、あ、その……は、はじ、はじめまして……モニカと、もも申します……」



 明らかに私に対して怯えている。よく見ると彼女(モニカ)は眼鏡を掛けたいかにも優等生といった感じの女の子だ。


 そしてどう見ても、彼女と私は絶対に相入れる事はない人種だ。



「丁度良かったー。モニカ、カオルにギルド(ここ)を案内してよー。僕は彼女に渡す資料を取ってくるからさー」


「ぇえ!? あ、ちょっと、ま……」



 それなのに、サノワ(イケメン)はそう言い残すとモニカを置いて受付の奥に姿を消した。


 残されたモニカは、絶望に満ちた表情で立ち尽くしていた。



【登場人物紹介】


【モニカ】

 バーウィッチ傭兵ギルド職員 女 17歳


 バーウィッチに店を構える小さな商家の娘。

 計算能力や事務処理が得意だった為、現在のギルドマスターに引き抜かれて働いている。


 ギルドマスターに恋する17歳、突然の恋のライバル登場に焦っている。



 ダラム談

 「大人しそうな見た目と凛とした立ち振る舞い、嫁に貰うなら彼女みたいな娘だな」


 ヤヌック談

 「三つ編み、眼鏡、巨乳。たまらんッ!」


 ジョゼ談

 「俺は年下に興味はないッ!」




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