チンピラ、絶体絶命に陥る…
「怯むなーッ！ 相手は女一人だぞッ」
集団の中の大柄な傭兵が他の傭兵に喝を入れている。
「あれが団長か……」
ここまで２０人程は倒したと思う。しかし、これだけ倒しても、今いる傭兵たちの半分も倒していないのだ。
私は決定打となる攻撃は受けてないにしろ、擦り傷程度のダメージは受けている。
…………。
私は迷わず、団長らしき傭兵に向かって突撃した。
しかし、その途中で先程までと違う殺気を感じ、咄嗟に後ろに距離を取った。
その瞬間、目の前に大剣が降ってきた。
「おっと、空振りしちまったか」
どうやら大剣は降ってきた訳ではなく、振り下ろされたようだ。
「じゃますんなやッ」
「ぁあ！？ どっちがだッ！」
団長程ではないが大柄の傭兵が私の行く先を遮っていた。
「俺はマストンド。今すぐここで死ねッ！ ヴァレオンの仇ぃいッ！」
大柄の傭兵は再び大剣を振り下ろす。
長剣よりも重たい筈の大剣を傭兵は意図も簡単に振り回す。
「チッ、速い……」
その攻撃を私は間一髪で躱す。
あれだけの大きさの武器をあの速さで振り回されては簡単に近づけない。
勿論、当たれば即死だろう。っとなれば手段は一つ。
また光る拳で折るか。
私は少し離れたところから、長剣を投げた。それと同時に私は走り出す。
勿論、傭兵はそれを大剣で防ぐ、それにより大剣を振りかぶる余裕はなくなった。
「小賢しい……」
私は空いた拳に力を込める。徐々に拳が光り始める。
「おりゃぁあッ！」
私の拳は見事に大剣の腹に直撃し、大剣は折れた。
「それが、どぉしたッ！」
しかし、傭兵は折れた大剣をそのまま振り抜き、剣の腹で私を吹き飛ばした。
「ぅぐッ！」
私はそのままどこかの店先に突っ込んだ。
『『『ぉおおーッ！』』』
『マストンドが殺ったぞ！』
傭兵どもが雄叫びを上げているのが聞こえる。
「クソがッ！」
まだ終わってはいない。しかし、あの一撃をモロに受けたのだ。
多分、肋骨が何本か折れているのだろう、めちゃくちゃ痛い。
…………ッ。
それでも私は起き上がった。
すると先程まで聞こえていた雄叫びは静かになった。
「おいおい。もう無理だろ、諦めて降参しな」
傭兵が肩を竦めながら、私に提案する。
「所詮、女が男に勝てるわけないだろ？」
「よっぽど死にてぇみたいだな、馬鹿かコイツ？」
「馬鹿は死ななきゃ治らないって言うから、一思いに殺っちまおうぜ」
他の傭兵が私の事を馬鹿にしているのが聞こえる。
「……ぉぃ」
「ぁあ？」
「……ゃ、……てんだ」
「何言ってんだコイツ？」
『『『ギャハハハ』』』
「どこの何奴やッ！ 私の事、馬鹿にした輩わぁあッ！」
その瞬間、身体中の血液が沸騰するかのように熱くなるのを感じた。
【ステータス情報】
【名 前】 カオル＝アサヒナ
【年 齢】 １７
【職 業】 異世界から来たチンピラ
【レベル】 ６
【体 力】 ２０／２５０
【魔 力】 ４０／１４０
【攻撃力】 １５０ （＋９００）
【防御力】 １３０ （＋２６０）
【俊敏性】 １４０ （＋２８０）
【スキル】
空手 Lv.8 集団統制 Lv.4 料理 Lv.1 鑑定 Lv.1
アイテムボックス 異世界会話 Lv.1
剣術 Lv.4 双剣術 Lv.1
New!!
投擲術 Lv.1 《底力 Lv.1》 《狂人化 Lv.1》
【ユニークスキル】
天才肌 非魔法適正
【装備】
護身用の短剣
初心者用長剣
カオル、スキル『底力』＆『狂人化』を取得＆発動。
もうあれです。レベル６のステータスじゃないです。
