チンピラ、勧誘を受ける?
「まああれや、立ち話もなんやし座ったら?」
男性からは殺気のような物は感じない。
何か私に話があるのだろうと思い、取り敢えず座るように勧めると、彼は素直に目の前の席に座った。
「エールでええか?」
「ああ、すまんな」
それからしばらく男性は黙ったままだったが、エールがやって来ると煽るようにそれを飲んで重たい口を開いた。
「俺はルアク傭兵団のヴァレオンだ。今日は君にお願いがあって来た」
「ルアク傭兵団!? この街一番の傭兵団じゃねぇか!?」
やっと落ち着きを取り戻して椅子に座ったヤヌックが再び転げ落ちそうになる。
「へー。で、何の用やねん?」
「君の噂は、俺ら傭兵の耳にまで届いているよ。無刀の鬼人がいるってね」
「そうなんやー」
正直、前置きはどうでも良いので、はやく本題を話して欲しい。
そういった気持ちが私の態度に出ていたのだろ。
ヴァレオンは咳払いをすると、ようやく本題を話し始めた。
「ルアク傭兵団で働かないか?」
「働くって?」
「そのままの意味だ。ルアク傭兵団に所属して、傭兵として働くという事だ」
どうやらこの傭兵は私の勧誘に来たらしい。
しかし、私の返答は決まっている。
「興味ないわー」
「なッ何故だ!?」
私の返答にヴァレオンはテーブルを叩き立ち上がった。
「別にやりたないし、それに私より弱い奴の言う事とか聞きたない」
「お前! 団長を侮辱するのか!?」
「それよりさー、ここで燻ってる連中を入れたってや。めっちゃ暇してるみたいやし」
私が店内を見回してそう述べると、ヴァレオンは肩を震わせて私に怒鳴った。
「俺の話を無視するなッ! お前は団長を侮辱したんだぞ!?」
「あーそれ? 気に障ったんなら謝るわ。すまんなー」
私は素直に謝った。しかし、かえってそれが彼の神経を逆撫でしたらしい。
「馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
「それは私の台詞やろ」
「は?」
私の言葉にヴァレオンは意味がわからないと言いたげな顔をしていた。
「私を勧誘するなら、その何たらって言う傭兵団の団長さんが来んのが普通ちゃう? それどころかアンタみたいな下っ端が来んのが私を馬鹿にしてるって言ってるねん」
今の説明でヴァレオンは真っ赤にヤヌックは真っ青になっていた。
そしてヴァレオンはテーブルを蹴ってひっくり返した。
「チンピラ共を蹴散らかしたくらいで、調子に乗るなよ女ぁ!」
【ステータス情報】
【名 前】 カオル=アサヒナ
【年 齢】 17
【職 業】 異世界から来たチンピラ
【レベル】 4
【体 力】 230
【魔 力】 120
【攻撃力】 130
【防御力】 125
【俊敏性】 120
【スキル】
空手 Lv.7 集団統制 Lv.4 料理 Lv.1 鑑定 Lv.1
アイテムボックス 異世界会話 Lv.1
【ユニークスキル】
天才肌 非魔法適正
スキル情報解禁!




