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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第12章 正義ノススメ 〜我らが貫く正しき道〜(前編)
148/157

司令官、組織の全貌を語る。



 クリスはゆっくりと煙草を薫せ、再び話し始めた。


「まずこの組織で貴族か貴族でないかは重要な問題ではない。」


「……」


「そもそも私は貴女達より下級の貴族だ。もし私が貴女の言う通り『利用』しているのであれば、そういった事も考慮して立ち回る筈ではないだろうか?」


「……まぁ、そうかもね」


「貴族であることを隠していたわけではない、言う必要が無かっただけだ。そのことで在らぬ誤解を招いてしまったようだ。申し訳なかった。」



 クリスはそう述べると立ち上がり、アイラと私に向けて再び頭を下げた。

 そして、顔を上げると再び話を続けた。



「次に、先にも私が元王国騎士だと言ったが、この組織に属している大半の成員も元騎士だ」


「「!!」」



 驚きのカミングアウトに私は思わず、口に含んだエールを吹き出しそうになった。


 勿論、アイラも驚いたようで、口を半開きににして何か言いたげであった。



「言いたいことはわかる。だがまだ話の途中だ、最後まで聞いて欲しい」



 その言葉に私達は一旦言葉を飲み込んで話の続きを聞いた。



「この組織にいる元騎士の成員だが、元は『斥候部隊』に所属して私と共にある任務に従事していた。その一貫で各地の領主や貴族の監視役としての役割を担っていたのだが、ある日突然部隊は解体され、私も含む全員が騎士の身分を剥奪されたのだ。」


「ふーん、それで」


「部隊の重要性を知っていたとある貴族が部隊ごと傭兵として今の組織に雇い入れたのだ」


「……ふーん、なるほどね。だからアイラ達の事を知ってたってわけ」


「は? 全く話が見えんねんけど」


「情報を集めるのが仕事って事でしょ?」


「その通りだ」


「で、その存在を好ましく思ってない連中に潰されたと。それで今はその復讐中?」


「それは違う。私利私欲で私達が動いている訳ではない。例え騎士の身分がなくとも我々は騎士としての誇りは失っていない。そしてそれは私の雇い主もだ」


「意味不なんだけど、なんで王国規模の情報網が必要なわけ? 情報的優位に立ちたい以外考えられないんだけど?」


「我々の活動はあくまで『一部』なのだ、本来の目的は別にある」


「じゃあそれは何?」


「……『魔王に関するありとあらゆる情報を得る事』それが我々の任務だ」


「ちょいまち。今は魔王さんっておらんのやろ? なんでそんな事する必要があんねん」



 思わず私は二人の話に割って入ってしまった。



「いずれ現れる『勇者』の為だ」


「勇者? それって……」


「ああ、『転移者(ストレンジャー)』のことだ」




***




 『魔王』


 魔族の王、世界に厄災を齎す邪悪の化身。



 魔王は数百年周期で復活し、その度に世界に混沌を呼び起こす。


 その対抗手段として編み出されたのが、異世界から勇者を召喚する禁術『異世界召喚術』であり、それによって召喚された勇者を『転移者(ストレンジャー)』と呼んだ。


 転移者の力は凄まじく、たった一人で国家規模の戦力と同等の力を持っていた。


 その転移者を『異世界召喚術』は一度に9人も召喚する大規模召喚術式だったらしい。


 それだけの戦力があれば魔王討伐はいとも容易いと思われていたが、現実はそうではなかった。


 当たり前の話だが、転移者はこの世界について全くの無知であった。


 また、召喚された転移者は潜在的な能力は高くとも全員がLv.1であり、殆どの転移者が戦闘経験が全くない素人であった事。


 そして何より重要な事が、大半の転移者は魔王討伐に協力的ではなかった事であった。


 これらの問題を解決する為に編成されていたのが、クリスが元いた部隊だったらしい。



「……ちょ、ちょい待ち、引っかかるところが多すぎるんだけど」


「ああ、貴女の言いたい事はわかる。だが、少しばかり待って貰えないか? 」


「はぁ? なんで?」


「先に招集を掛ける。貴女達の質問はその間に答えよう」



 クリスはそう述べると外に控えていたのであろう無愛想なメイドを呼んだ。






 あけましておめでとうございます。ってもう既に半月が経過しましたが…


 毎年の事ですが、年末年始で更新を怠ってしまって申し訳ございません。

 今年も毎日更新とはいきませんが、出来る限り頑張って更新して参ります!


 『脳筋乙女の異世界花道』をどうぞ宜しくお願い致します。



 2/1 追記

 文末を修正しました。



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