協力者、驚愕する。
騒動が収まると同時に、クリスは再び諸々の話を話し始めた。
しかし、私の内心はそれどころではなく、彼女の話など聞ける状態ではなかったのだ。
…………。
あのメイド。えーっとベラやっけ? アイツ、何モンやねん!
あの一瞬で正直、ガキの事などどうでもよくなっていたのだ。
今まで、私が身震いする程の殺気を放つ奴などいなかった。
メイドは何者なのか。
そう思った私はスキルで彼女のステータスを確認した。
【名 前】 エリザベラ
【年 齢】 18
【種 族】 ハーフオーガ
【職 業】 狂戦士 戦闘員
【レベル】 43
【状 態】 通常
【体 力】 289
【魔 力】 205
【攻撃力】 319
【防御力】 306
【俊敏性】 140
【スキル】
斧術 Lv.6 自然治癒 Lv.3 家事 Lv.3
【ユニークスキル】
狂化
ちょ、ちょっと待てや。
彼女のステータスを確認して驚愕した。
スキルこそ少ないが、攻撃力・防御力は私よりも上回っている。
それに、今まで鑑定のスキルで確認できる項目に『種族』あったかどうかわからないが、種族が『ハーフオーガ』になっていた。
これってあれやんな?
そう。
彼女は、鬼なのだ。
『それでは、諸君の健闘を祈る』
『『イエス、マム!』』
…………ッ!
突然の大声に、我に返った。
「どないしてん、アイラ?」
「ソッコーで任務らしーよー。ぁいら達はあのナル入ってるケロンパとチームだってさー」
状況がよくわかっていないのでアイラに説明を求めると、彼女は先ほどまで壁に埋もれていた男性を気だるそうに指差した。
すると向こうもこちらの視線に気がついたのだろう。
彼は私たちに向かってウィンクしてきた。
「「…………」」
あ、これは面倒なタイプの男だ。
そう直感した私がアイラの方を向くと、自然と彼女を目があった。
「よろしく〜カオル、アイラ」
私たちの側までやってきた彼は、馴れ馴れしく話しかけてきた。
「僕はアーノック、見ての通り剣士さ」
***
「それにしても、こんな可愛い女の子二人と任務だなんてクリスも粋なことしてくれるよ。…………」
というか、どれだけ饒舌なのだろう。
部屋を出て、移動の最中も彼は永遠と一人で私たちに話しかけてきている。
「(なぁ、アイラ。私、アイツ苦手なんやけど)」
「(はげどー)」
「なになに? 何話してるの? あ、もしかして初任務で緊張してるのかな? 大丈夫! 僕がいればこんな調査任務なんてすぐに片付くから」
無理矢理、会話に割り込んできたアーノックは勝手に話を進めると、自信満々にそう述べた。




