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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第11章 変身!?ヒキニート!! 〜32歳童貞無職、趣味は正義の味方〜
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協力者、キレる。



 目の前のメイドはどうあっても(ウチ)にクソガキを差し出さない様だ。



「……しゃーないな」



 私はアイテムボックスから金属バットを取り出し構えた。


 すると、メイドはこそこそとクソガキに向かって何かを言っている。



「泣いて謝っても、もぉ遅いでッ!」



 金属バットを振り上げ、私はメイドの頭めがけてバットを振り下ろした。



 …………ッ!



 しかし、振り下ろしたバットは金属音を放ち、弾かれた。



「それがお前の武器(エモノ)ってか」


「……敵は全て『掃除』する。……それが私の仕事」



 目の前にいるメイドは先程のぼんやりした様子と打って変わって、強烈な殺気を放ち私を凝視していた。


 いつの間にか、その両手には大きな斧が握られている。



「…………ッ」



 その姿に私は身震いした。


 今までどんな敵と対峙しても感じなかった強烈な殺気(プレッシャー)をメイドは放っていたのだ。



「それがどないしてん! (ウチ)の邪魔すんなやッ!」


「……敵は……掃除」



 私は再びバットを振り上げ、メイドに向かって振り下ろした。


 そしてメイドも大斧を振り上げ対峙する。



『っと、喧嘩は良くないって言ってるじゃないですか』



 私たちの一撃は突然現れた英雄(ヒーロー)に易々と受け止められた。


 日曜日の朝にテレビの向こう側で悪と対峙する仮面のヒーロー、それが私たちの目の前に現れたのだ。



「ベラさん落ち着いて、彼女は仲間ですよ?」


「……ッ!」



 現実にいる筈もない架空のヒーローに諭されると、メイドは慌てた様子で大斧を引っ込めた。



「朝比奈さんも」


「あ? 元はと言えばそのガキが悪いんやろ?」



 私は握っているバットに力を込め押し切ろうとした。


 しかし、バットはピクリとも動かない。



「ガキじゃないもん! リアだもん」


「リアさんもまずは先程の爆破(イタズラ)を謝りましょう。話はそれからです」



 バットを受け止めながらもヒーローは涼しい声色でクソガキを諭す。


 するとクソガキはメイドの後ろから姿を現し、不貞腐れながらも私に頭を下げた。



「ごめんなさい」


「……」


「さぁ、リアさんが謝りましたので、朝比奈さんも謝りましょう」



 そう言って、ヒーローは私をまっすぐ見つめる。


 この架空のヒーローは奥野(おっちゃん)だ。


 勿論、そのステータスは異常に強い事は知っている。


 それにガキが頭を下げているのに私が下げないのは大人げないと言うものだ。



「悪かったな」


「うんうん。これで一件落着ですね」



 そう述べると架空のヒーローは光に包まれ元の小太りの奥野(おっちゃん)に戻った。



『ん? 問題は解決したか?』



 いつの間にか煙草を燻らせていたクリスが顔を上げて、辺りを見回した。



【スキル解説】


英雄願望(なりきりヒーロー)


 エイジ=オクノのユニークスキル。


 異世界の物語に登場する英雄(ヒーロー)の姿に変身することができるスキル。

 変身する際には、『変身ポーズ』なる固有の動きを完全に再現する必要がある。


 ※このスキルは『見かけ上』を英雄(ヒーロー)にするだけで、ステータスなどは変化しない。


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