表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第10章 ローリング☆ストレンジャーズ 〜嗚呼、転がり続ける我が運命〜
124/157

流浪人、飲んで騒ぐ!



「ぷふぁ〜、やっぱエールは美味いな〜」



 私はジョッキのエールを一気に飲み干し、おかわりを注文した。



「カオちー、ガチで反省してるのぉ?」


「してるしてる! いや〜やっぱ酒はエールやでッ!」



 宿で睡眠を摂った私たちは、町に一つしかない酒場で夕食を食べに来ていた。


 二人とも夜通しのドライブで疲れていたのか、夕方までぐっすりと寝てしまっていたのだ。



『お、嬢ちゃん。いい飲みっぷりだな!』


「せやろ! (ウチ)、エールめっちゃ好きやねん」


『お! 女でエールの味がわかるとは、中々の逸材だな!』


『そうだぜ、女は甘ったるい果実酒や蜂蜜酒なんか飲みやがって、あんなんで楽しめるかってんだ』



 豪快にエールを飲み干す私の側に、酒場にいた男たちが集まり口々にそう述べていた。


 私の隣で蜂蜜酒をチビチビ飲んでいるアイラは、そんな彼らを睨んでいた……



「いい事いうな〜おっちゃんら! そうそう、この喉越しがええねんッ!」



 今朝の出来事を忘れて、いつの間にか酒場にいた客と私は意気投合し上機嫌で大宴会が始まった。



「今日のお代は(ウチ)が全部持つから、全員好きなだけ飲みぃ!」



 バーウィッチにいた頃のノリで私がそう述べると、一瞬店内が静まり返った。



『本当か?』


『嬢ちゃん、そんなに金持ってるのか?』



 店の客は顔を見合わせ、私たちを疑う様にそう述べた。



 …………。



「ほら、これで今日のお代は十分足りるやろ?」



 そんな彼らに私は金貨が入った皮袋をテーブルの上に取り出して見せた。


 信じられないとでも言う様な目で金貨が入った皮袋を見つめる彼らに私はもう一度述べた。



「せやから、今日は(ウチ)の奢りって言ってんねん! さぁ、飲むでーッ!」


『『『ぉおーーーッ!』』』




 ***




「つか、飲み過ぎじゃね? 酔っ払ったりとかしないわけ?」


「全然ッ! ちょうど気持ちいい感じやでぇ〜」



 しこたま飲んで騒いだ私はアイラに連れられて、宿へ帰って来ていた。


 あのままだと朝まで飲み明かしかねなかったのだが、アイラがタイミングを見計らってお開きにしてくれたのだ。



「ねぇ、カオち。明日、朝一番にこの町をでない?」


「どないしてん?」



 心配そうにそう述べるアイラに私は首を傾げた。


 しかし、アイラは詳しい事は何も言わず、「明日早いからもう寝よう」と言ってそそくさとベットに横になった。



 …………。



 何か思う事があるのだろうが、それ程重要な事ではないのだろう。


 そう思った私はアイラに言われるまま横になり、すぐに眠りについた。




 ***




「……ちー、ね……カオ……。起き……カオちー」



 体を揺さぶられ、ボンヤリする頭で目を開いた。



「カオちー、すぐにこの町を出るよ。やっぱヤバい事になったっぽい」



 小声でそう述べるアイラに、未だ状況が掴めない私は首を傾げた。



「あ? もう朝なんか? もーちょっとだけ寝かせてやー」


「ちょ、マジでぱないって! 寝ボケてないで、秒でッ!」



 再びベットで眠りに就こうとする私にアイラは先程よりも強く体を揺さぶる。



『アイツらの部屋はここだな』


『あれだけ飲んだんだ。まだ夢の中だろうよ』



 いい加減しつこいアイラを殴り飛ばそうと起き上がった所で、部屋の外から何やら声が聞こえてきた。



「あーマジでヤバい。カオちー!」


「……マジでやばそうやな」



 ようやく、思考がハッキリしてきた私は状況をアイラに尋ねた。


 どうやら昨晩の大宴会で私が椀飯振舞(おうばんぶるま)いしたお陰で、金目当ての輩が夜襲を掛けにやってきたらしい。



「そんなんぶっ飛ばしたらええやん」


「カオちー、マジパない! つか、もうちょっと考えて、今はあんまり目立った行動しない方がいいでしょ?」



 確かに、今はまだ王都の近くだ。


 ここで騒ぎを大きくすれば、私たちを捜索しているかもしれない連中に早々に見つかってしまう。



「あー確かに。ほんじゃ、逃げますか」


「よかったー。マジでカオちー置いてくトコだったし」



 私たちは気付かれないように窓から外に飛び降りた。



『気付かれたぞ! 奴らは外だ!』


『追え! 奴らの馬車は倉庫の筈だ!』



 私たちの逃亡に気がついた輩が大声を出して仲間に合図を送った。


 すると、どこに隠れていたのか宿の陰からゾロゾロと奴らの仲間らしき輩が湧いてくる。


 その数は、どう考えてもただのゴロツキの集団ではなかった。



「やっぱ町ぐるみッぽいね」



 そう呟いたアイラは立ち止まり呪文を詠唱した。



『スヤれ!』



 そして詠唱省略(ギャルスラング)の影響を受けた輩が次々と倒れていく。



「カオちー、秒で準備して!」


「りょーかーいッ」



 アイラが足止めをしている間に私はアイテムボックスから魔道バイクを取り出しエンジンを掛ける。



『あれは倉庫の筈だろッ!』


『おいおい。それよりアノ魔法はなんだ! おい、起きろ』



 ブウォンブウォンッ!



 この状況に攪乱した奴らを他所に、私たち急いで町を後にした。





【WARNING】

 『脳筋乙女の異世界花道』の世界に、何者かが侵入しました!


 詳細は、以下にてご確認下さいませ。

 【幕間劇の侵入者『脳筋乙女の異世界花道:番外編』】

 URL: https://ncode.syosetu.com/n4976eh/


 ※yukke様のリレー小説企画《ボスキャラ大移動》に参加した作品です。


 ※124話(今話)と125話(次話)の間のお話となっております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ