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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第9章 女伯爵様はご機嫌斜め? 〜我に気品を求めるな〜
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女伯爵、の失踪。



 カオル達が失踪してから数日が経った。


 王城は彼女達の突然の失踪に混乱し、様々な憶測が飛び交ってる



 誘拐されたのではないか。


 粗相を起こして摘み出されたのではないか。


 花嫁修行に出たのではないか。



 …………。



「ですから、彼女達は誘拐ではなく、自らの意思で王城(ここ)を出て行ったのだと言っているではありませんか!」



 その勘違いを正す為、僕はここ数日間関係各所に説得をして回っているのだ。


 大方の貴族達は、僕の言葉に納得してその場を収めてくれる。


 しかし、中にはこの期に乗じて王族と更に親交を深めようとする者達もいる……



「しかし、シャルジュ様。彼女達は王国の重要人物なのです。このまま放置するのは……」



 僕が今説得しているサルヴィオ卿もその内の一人だ。


 彼の発言は直接国政に影響する事はないが、騎士団に対して少しばかり顔が利く。


 その為、今回の騒動の収拾を騎士団を使って自らが収めようと企んでいるのだ。



「今回の件は、サルヴィオ卿の御手を煩わせる訳には参りません。カオル達は僕が探して参ります!」



 僕の言葉にサルヴィオ卿は少々食い下がって来たが、僕だってここで引く訳にはいかない。


 今このタイミングで彼に恩を作らせる訳にはいかないのだ。


 最終的には、サルヴィオ卿が折れてカオル達の捜索は僕が引き受ける事になった。




 ***



「何とか、終わった」


「シャルジュ、ちょっといいか?」



 サルヴィオ卿との面会を終えた僕に、ジョゼが声を掛けてきた。



「姐さん達の目撃情報があった」



 今回の件でジョゼ自身が何か手伝いたいと言い出したので、僕は彼に第三王子付き伝令役としての役職を与えた。


 そして早速、カオル達の足取りを辿って貰っていたのだ。



「アンダイエって町の酒場で、馬鹿騒ぎしていた二人組の女がいたそうだ」


「……絶対カオルだね」



 僕は少々頭が痛くなったが、彼女の相変わらずの立ち回りに安堵している自分もいる事に気がついた。



「それじゃあ早速……「シャルジュ様!」」


「私も今回は正式にお供致します」



 僕の話を遮ったのはルベルレットだった。



「久しぶりだね、ルベルレット。仕事は片付いたの?」


「はい、お陰様で」


「それじゃあ、ルベルレット。君を僕の護衛騎士に任命するよ」



 僕の言葉が意外だったのだろう。


 彼女は驚くような表情を一瞬見せた、そして直ぐにその場で跪くと「仰せのままに」と嬉しそうに述べた。


 あとは、諸々の準備を……



『シャルジュ? あ、やっぱりシャルジュね!』



 背後から懐かしい声が聞こえ、僕は振り返った。



「リーディア! 久しぶりだね。1年振りくらいかな?」


「そうね。貴方が王城(ここ)を出て行くと言い出したのが、確か去年の夏頃でしたわね」



 彼女はリーディア=アスティーナ、ベルナベル様の娘でこの国の王女だ。


 彼女とは異母兄妹になるのだが、年が同じなので今も昔も仲良くしている。



「その時は色々とありがとう」


「ウフフ、いいのですわよ」



 ちょうど去年の今頃、僕は兄様達の王位継承争いに巻き込まれたくなくて王城を飛び出した。


 その時に、リーディアには王城の外の事を色々と教えて貰ったのだ。



「ん? そちらの方は?」



 リーディアとの会話で気付かなかったが、彼女の側に見知らぬ男性が控えていた。



「これはこれはシャルジュ様。申し遅れました、私奴(わたくしめ)は『エグチ』と申します」



 そう言ってエグチは頭を下げながら、僕に一枚の紙を僕に差し出した。


 そしてその紙にはこう書かれていた。



 『リーディア=アスティーナ王女付き秘書官 弁護士 エグチアキラ』




【登場人物紹介】


【リーディア=アスティーナ】

 アスティーナ王国、第一王女 女 10歳


 国王第一夫人ベルナベルの娘。王位継承権は事実上第三位。(シャルジュが権利を放棄した為)


 魔法の素質があり、現在は王立魔法学校に通っている。

 シャルジュとは幼い頃から仲が良く、お互いの悩みなどを相談しあっている。

 


【アキラ=エグチ】

 リーディア=アスティーナ王女付き秘書官 弁護士 男


 リーディアの秘書官をしている謎の男。


 常に『名刺』を懐に備えており、自己紹介の際は必ず相手に手渡している。




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