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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第9章 女伯爵様はご機嫌斜め? 〜我に気品を求めるな〜
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奴隷冒険者、女伯爵になる!



「それで、結局その格好なんだね」



 隣を歩くシャルジュが溜息交じりにそう述べた。


 平然を装っているのだろうが、シャルジュの頬はまだ若干紅潮している。


 使用人のロゼッタと一悶着した後、私は豪華なドレスではなく女剣士が身につけていそうな衣装を選んだのだ。



「あんな、動きにくい服来てられんわ」


「えー、晩餐会の時のドレス、似合ってたよ?」



 シャルジュはそういうがドレスなど生まれ初めて着たのであまりピンと来ない。


 それに、あんなヒラヒラがいっぱいついた服なんて小っ恥ずかしくてそう何回も着れない。



「そ、そういや、ジョゼとアイラは何してるんやろな?」



 この話は終わりと私が話題を変えると、シャルジュは思い出すように唸った。



「んー、ジョゼは騎士団と一緒に訓練するって言ってたよ? アイラは……何してるんだろ?」


「ふーん、まあシャルジュの兄貴の用事が済んだら、そっちに行ってみよやー」



 私は歩きながら、ぐーっと伸びをしながらそう述べた。




 ***




 私たちは今、アスティーナ王国王都にある王城、つまりシャルジュの実家に来ている。


 事の経緯を話すと長くなるので簡単に話すと、今回の件で国から褒美を貰い、暫く王城で過ごす事になったのだ。


 そして私は奴隷の身分ではなくなり、女伯爵としての位を国王から貰った。


 つまり、私はいつの間にか貴族になったのだ。


 まあ、そのお陰で、王城(ここ)での毎日は貴族としての身の振る舞い方や所作の稽古漬けで正直ウンザリしているのだが。



 …………。



「そんで、シャルジュの兄貴はどこにおるん?」


「ヴァレジス兄様は訓練場だよ」



 今日はシャルジュと共に、第二王子のヴァレジスの剣の稽古に同行する予定なのだ。


 しかし、部屋に篭ってばかりだったので、体が鈍っていないか少し心配している。



 …………。



「遅いッ!」



 訓練場に到着した私たちに、至極不機嫌そうな青髪の青年が怒鳴った。



「一体どれだけ我を待たせるつもりだ!」


「申し訳ありません、ヴァレジス兄様。カオルの着替えに時間が掛かってしまい……」



 弁明するシャルジュを他所にヴァレジスが鋭い目つきで私を睨む。



「ほら、カオルも謝って」


「ホンマ、ごめんなー」



 言われた通り私が謝罪すると、シャルジュは頭を抱え、ヴァレジスは何故か更に機嫌が悪くなった。



「と取り敢えずだな。貴様の実力を知る為にも、ここの騎士達と手合わせして貰おうか?」



 コホンと気を取り直したヴァレジスは訓練場に整列している騎士団を指差し、不敵な笑みを浮かべた。


 よく見ると整列している騎士の中に何故かジョゼも並んでいた様で、慌ててその列から離れていた。



「ええでーッ♪」



 その提案に私は満面の笑みを浮かべて快諾した。



【登場人物紹介】


【ヴァレジス=アスティーナ】

 アスティーナ王国、第二王子 男 18歳


 国王第二夫人の長男。王位継承権は第二位


 王族の中でも武に長けており、若いながら王国騎士団を指揮している。

 第一王子とは王位継承を巡って争っているが、未だ幼いシャルジュとは仲良くしている。


 少々堅物な面もあり、初対面の人物には怖がられる事もしばしば…


 シャルジュとは異母兄弟になる。



【ロゼッタ】

 使用人 女 ??歳


 長年、王家に仕えてきた古株の使用人。

 現在はカオルの身の周りの世話をしている。


 平民上がりのカオルを立派な貴族に仕立て上げる為、日夜カオルと戦いを繰り広げている。



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