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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第1章 命短し走れよ乙女 〜己の拳で切り開け〜
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元就活生、本気を出す?




「「兄貴!!」」



 周りで飲んでいた子分達が慌てて立ち上がる。



「テメー、何やったのかわかってるのか!?」


「あら! ごめんなさい。手が滑ってしまいましたー」


「「テメー」」



 わざとらしく、手が滑ったとアピールしたら余計に彼らは逆上した。



「おい、女ぁあ! 表でろッ!」



 エールを頭から被った偉そうなお兄さん(ゴロツキ)は顔を真っ赤にして怒鳴って来た。




 ***




 店先はもう遅いこともあり、人通りは殆どない。


 人の気配は通りに点在する酒場から時折楽しそうな声が漏れてくるくらいだ。



「この街で俺に逆らったどうなるか、テメーわかってんのか?」


「どうなるん?」



 私は小指で耳を掻きながら尋ねてみた。


 それが更に癇に障ったのだろう、お兄さん(ゴロツキ)は見てわかるくらい殺気立っていた。



「その減らず口もどこまで持つかな。……やれ」



 一言、お兄さん(ゴロツキ)がそう述べると、集団の中から一人、私の方へやって来た。


 勿論、手には得物(ナイフ)が握られている。



「殺すなよー。俺らで楽しんでから、奴隷商人に売るんだからよー」


「わかってますぜ」



(はぁー。最初の方でも小物臭が凄いのに、更にその下を行くんかい)



 子分はニヤリと不敵な笑みを浮かべながら、ジリジリと近づいてくる。


 そして得物(ナイフ)を振りかざしたので、私はその軌道を読み避ける。


 そのついでに左足を払うと、面白いように転けたので、私はそのまま鳩尾に正拳突きを入れた。



「ぐわぁ」



 彼らには一瞬の出来事だっただろうし、攻撃を受けた本人は訳も分からず昏倒したに違いない。


 いつの間にか結んでいた私の髪は解け、長い黒髪の間から赤色のメッシュが見え隠れしていた。



「なッ! いいからやれッ」



 今度は二人が私の前に出てきた。


 待っているのも癪なので、私の方から走って向かって行ってあげた。


 そして彼らの目の前で、ジャンプし右側にいた子分の左頬に回し蹴りを入れた。



「うげッ」


「うおッ」



 思ったよりも勢いがあったらしく、そのまま左側にいたもう一人も巻き込んで、どこかの店先にあった木箱に突っ込んでいった。



「おいおいおい。マジかよ……」


「なんか、あと三人も相手すんの、めんどいなー」



 そう思った私は、まっすぐに兄貴分であろうお兄さん(ゴロツキ)に向かって一直線に走った。


 勿論、残りの二人も応戦してきたが、あんな分かりやすい(トロイ)攻撃に当たる筈も無く、全て避けた。


 そして、お兄さん(ゴロツキ)の顔の寸前まで踏み込み、尋ねてみた。



「えーっと。逆らったらどうなるんやっけ?」


「あ、謝る、謝るから許してくれ……」


「はぁ……だから小物やねん」



 私はそのまま彼の顎に上段突きをクリーンヒットさせた。



「き、鬼人だ……」



 親分がやられて、二人残っていた筈の一人は戯言をほざいて失禁(もら)した後、気絶していた。 


 もう一人は、路地裏へ逃げてたので、落ちていた得物(ナイフ)を拝借して追いかけた。




 ***




「はぁー。何で(ウチ)がチンピラみたいになってんねん」



 …………。



「まあ、ええわ。とりあえずこれで飲み直すか」



 私は逃げた子分から貰った(恐喝した)皮袋を手にダラムとヤヌックが待っている(潰れている)酒場に戻った。


 酒場では、何事もなかったかのように、二人は気持ちよさそうに眠っていた。



「おい、起きろ」


「へ? 何ですかい?」


「飲みなおすで」


「えー。まだ飲むんですか?」


「当たり前や、ヤヌックも起こせ」


「ヤヌック起きろ、死ぬぞ」


「はいッ! え? 何ですかい?」


「さぁ、飲みなおすでーッ」


「「おーッ」」



【今回の撃破した敵】


ゴロツキ(親分) Lv.5

ゴロツキ(大) Lv.3 (逃走)

ゴロツキ(中) Lv.4

ゴロツキ(中) Lv.3

ゴロツキ(小) Lv.1

チンピラ(小) Lv.1 (気絶)



【ステータス情報】


【名 前】 カオル=アサヒナ

【年 齢】 17

【職 業】 異世界から来たチンピラ

【レベル】 4

【体 力】 230

【魔 力】 120

【攻撃力】 130

【防御力】 125

【俊敏性】 120


※スキルなどの詳細は後ほど



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