表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第8章 緊急事態発生、街道の安全を確保せよ! 〜我等の障壁は粉砕す〜(後編)
109/157

調査隊、黒幕を取り逃がす。



「うげぇ、カオル=アサヒナじゃん。ボス、アイツの相手してたの?」



 見知った顔の少年は私の事を見つけるなり、酷く嫌そうな表情でそう述べた。



「ねぇ。早く行きましょうよ、ボスぅ」



 ウエダの手を引く少女は怯えながら私の事を見つめていた。



「ウエダぁ! この子達にも力を使ったのか!?」


(ゲン)(スイ)……何で……」



 その光景を見ていたエリーゼはただ呆然と立ち尽くし、アイラは再び激情し怒鳴っていた。



「失礼ですね、彼らは元々私の仲間ですよ」



そう言ってウエダが(ゲン)(スイ)の頭を撫でると、彼らも嬉しそうに微笑んだ。



 …………。



(ゲン)(スイ)、作戦は失敗しました。長居は無用、撤退しますよ」


「「了か…」」


『待ってくれ!』



 ウエダが玄と翠に撤退の旨を述べると、話を聞いていたのであろう偉いさんが慌ててウエダの前までやって来た。



「は、話が違うではないか!」


「はて、何の事でしたかね?」



 偉いさんの話にウエダは(とぼ)けた様子で返事をする。



「貴様、騙したなッ!」



 ウエダの態度に偉いさんは怒り、帝国軍が一斉にウエダ達を取り囲み始めた。


 しかし、圧倒的に不利な状況にも関わらず、ウエダは相変わらず薄笑を止めようとしない。



「おやおや、これは不味いですね。……(スイ)?」



 …………ッ!



 何か物凄くヤバい気がする。


 そう感じた私は立ち尽くすエリーゼとジョゼを担ぎ、急いでその場から離れた。


 ヴィンセントやアイラも状況を察したのだろう、私の後を追ってくる。



 …………。



「何……あれ?」



 私に担がれているエリーゼが私達の後ろを指差し、そう呟いた。


 振り返ってみると、真っ黒な沼の様なものがゆっくりと広がっており、その沼からは無数の真っ黒な手の様なものが伸びてうねっていた。


 そして、帝国軍兵士達は泣き叫びながらその腕から必死に逃げ惑っていのだった。



『た、助けてくれぇええーッ』


『ぅああああああ』


『死にたくない、死にたくないッ』



 しかし、彼らの抵抗虚しく一人また一人と手に捕まり、沼の中に引きずり込まれてゆく。




 ***




 私達がシャルジュ達と合流する頃には真っ黒な沼は消失し、それと共に逃げ惑っていた帝国軍もその場から居なくなっていた。


 そして彼らの代わりに、私達の目の前には無数の不死者(アンデッド)が出現していたのだ。


 ゆっくりと私達に近づいてくる不死者(アンデッド)達の奥には、ウエダ達が佇んでいる。



「それでは、我々はこれにて失礼します」


「代わりに私のお人形さん達と遊んでねぇ♪」


「じゃあなー」



 ウエダはそう言って一礼し、(スイ)(ゲン)はこちらに手を振っていた。


 すると、彼らの姿は揺らぎ、徐々に薄くなっている。



「逃げんのか、待てコラァッ!」



 私は慌てて彼らを追いかけようとするが、不死者(アンデッド)が行く手を阻む。



「どけや、コラぁ!」



 私は以前の様に聖なる力を拳に纏わせ、不死者(アンデッド)をぶん殴った。


 しかし、不死者(アンデッド)は吹っ飛ばされただけで消滅しない。


 私は仕方なく物理攻撃のみで不死者(アンデッド)を蹴散らしていくが、消滅るすことない不死者(アンデッド)達はしばらくすると起き上がり再び私の行く手を阻む。



 …………。



 そして気がついたときには、ウエダ達は姿を消していたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ