調査隊、突然の事態に混乱す。
「何を企んでいる。ウエダぁーー!」
二度と関わらない。
その為に私は国境を越えアスティーナ王国へやって来た。
しかし、この男は再び私の目の前に現れた。
そして今も嘲笑うかの様にシャルたんの事を『王子』と呼んだのだ。
絶対何か企んでいる、いや寧ろこの男が何も企んでいない筈が無い。
「おや? これはこれは、池淵さんじゃありませんか? お久しぶりですね。元気でしたか?」
「黙れ! 質問に答えろッ!」
飄々と世間話を始めた植田を私は睨みつけながら怒鳴った。
普段と違う私の態度にカオちーや他のみんなも驚いている。
しかし、今はそんな事を気にしている暇はない。
「相変わらずみたいですねぇ。そうそう貴方のお友達も元気にしてますよ? 私の手足として」
「!!」
彼の言葉で思わず殴りかかりそうになる私をカオちーが制止させた。
ハッと我に返った私に対し、兵士達は銃口をこちらに向けトリガーに指をかけていた。
「おいアイラ。どないしたんや、らしくないで?」
「カオちー聞いて。アイツは植田清司、私たちと同じ日本から来た『詐欺師』なの」
「確かに、そうみたいやなー。けど名前と職業以外文字化けして見れへんで?」
私の話を聞きながらカオちーは植田に鑑定のスキルを使用した様だ。
「情報操作系のスキルを使ってるんだと思う」
「何の相談ですかぁ? えっと、貴方は確か……朝比奈薫さんでしたっけ?」
見ず知らずの男に名前を呼ばれ、カオちーは驚きに目を見張った。
「なんで、私の名前知ってんねん」
「朝比奈さんだけじゃありませんよ? そちらの騎士がサンディスさん、盗賊風の貴方がヴィンセントさん、謹まやかな胸をお持ちのエリーゼさん、髪飾りを付けているのがハナさん、一番年長のマルカルロさん……」
植田はその場に居た全員の名前を全て言い当てた。
その事に他のみんなも動揺を隠しきれない様子だった。
「池淵さん。新しいお友達が出来たなら、気をつけていないといけないじゃないですかぁ」
「ま……さか……」
肩を竦めて溜息を吐く植田から私は目が離せなくなった。
そして、半ば放心状態の私の隣をゆっくりした動きで誰かが通り抜けていく。
「おい、ジョゼ。どないしてん?」
心配したカオちーがジョーさんを引き止めようと肩に手を置くと、あろう事かジョーさんはその手を払ったのだ。
そしてゆっくりとした動きで植田の隣まで行くと、くるっとこちらを向いた。
ああ……
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーッ!!
まただ。
壊される……植田に、私の仲間を……
私は頭を抱え、その場に蹲った。
【ステータス紹介】
【名 前】 キヨシ=ウエダ
【年 齢】 ???
【職 業】 異世界から来た詐欺師
【レベル】 ???
【体 力】 ???
【魔 力】 ???
【攻撃力】 ???
【防御力】 ???
【俊敏性】 ???
【スキル】 ???
【ユニークスキル】 ???




