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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第8章 緊急事態発生、街道の安全を確保せよ! 〜我等の障壁は粉砕す〜(後編)
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調査隊、強敵を撃墜す!



『ピィーヒョロロロッ』


『『ピィーーー』』



 突如現れた望まぬ客人に、空中を旋回していたグリフォンたちは混乱している様子であった。


 遥か上空まで打ち上げられた私は、そんな彼らを見下ろしながらバットを取り出した。



「ほな、いっちょやりますかーッ」



 徐々に緩やかになってゆくスピードに、そろそろ私の体が重力に引き戻される事を悟った私は空中で姿勢を整えた。


 落下を始めた私の視線の先には一匹のグリフォン。



『ピィーヒョ〜〜〜ッ!』



 自身が狙われている事を悟ったのか、そのグリフォンは翼を羽ばたかせ自身に風を纏わせた。



「そんなん、(ウチ)には関係ないでッ!」



 私は金属バットに意識を集中させる。


 すると、金属バットが淡く光り始めた。



「しゃーッ! その風ごと殴り落とすッ!」



 私は両手でバットを構え、グルグルと前に回転を掛け更に勢いを付けた。



 ピキッ……



 バットが風に当たった瞬間、何かが割れる音と共にグリフォンを覆っていた風が一瞬で消えた。


 そして、その勢いのままバットがグリフォンの脳天にヒットする。



 ………ドゴォォーーンッ!!!



 高速で落下したグリフォンは地面に叩きつけられ絶命した。


 そして遅れて落下してきた私は、グリフォンをクッションに難なく地面に着地した。



「あー、結構楽しかったわー」



 …………。



 その光景を眺めている全員は何も言わず、あんぐりと口を開いている。


 私は首を傾げつつも、倒したグリフォンをどうしようかと考えていた。



「カオル! 後ろッ!」



 シャルジュの声で振り返った私の眼と鼻の先にはいつの間にか倒したグリフォンとは別の個体が迫って来ていた。



 ……油断した。



 私は慌てて地面を蹴り後ろに逃れようとした。


 しかし、グリフォンの鋭い爪はもう私の目の前にある。



『ジベタリアン!』



 アイラの声と共に目の前のグリフォンは地面に叩きつけられ、苦しそうに(もが)き出した。


 そして、しばらく苦しんだ後に動かなくなった。



「カオちー、マジやばたにえんじゃん。今のあぃらのP高くねー」


「お前自分で倒せるんやんけッ!」



 振り返って私はアイラを怒鳴った。


 しかし、アイラの様子が少しおかしい。


 彼女の呼吸は荒く、額からは汗が滲み出ている。



「……アイラ、お前大丈夫か?」


「ちょいやばたんかも」



 そういって彼女はアイテムボックスから小瓶を取り出した。


 栄養ドリンクにも見えなくもないそれの蓋を開け、アイラはグイッと中身を口の中に流し込む。



「とりま、おけ。ただの魔力切れだから、心配すんなしー」



 そう述べる彼女に、私は安堵の溜息を吐いた。



「どうやら、彼らも引くみたいだね」



 サンディスが見上げる先には、森の奥へ逃げるように去って行くグリフォンたちの姿があった。


 仲間が2匹も瞬殺されたのだ、勝てないと判断し撤退したのだろう。


 緊張感から解放された調査隊の面々は、思い思いに休息を取り始めた。



 …………ッ!



「新しいお客さんみたいやな」


「…………うん」



 今し方、グリフォンとの戦闘を終えたばかりだと言うのに何とも忙しいものだ。


 私とハナは新手の登場に身構えた。



【アイテム解説】


【マジカリンγ(ガンマ)

 アイラ=イケブチのユニークスキル『異界錬金術(マカフシギ)』によって生成された魔力回復薬。


 使用すると魔力を全回復出来る。

 素早く魔力を回復出来る代わりに、1日の摂取量は2本まで。


 見た目は、某製薬会社の栄養ドリンクに見えなくもない。


 摂取し過ぎるとお腹を壊すらしい……



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