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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第二章

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63.亮太VSメタル亮太

 一晩明けて、ニホニウム地下5階。
 地下4階は体力がSに上がって完全にクリアした、今日からは地下5階だ。

 降りてきたそこは4階とまったく同じ鍾乳洞チックな洞窟だった。
 テルルの6階とか7階とか、野外の様なダンジョンから来ると落差が激しい。
 が、同じなのが一つ。

「ダンジョンスノー……ここも雪降る階層か」

 テルルの地下7階と同じように、ここも魔力の雪が降っていた。
 あっちと違って、完全に洞窟チックな洞窟の中で降る雪はちょっと面白い。

 モンスターが現われた。
 地面を突き破って出来たのはスケルトンだった。
 上ののスケルトンとまったく同じ見た目、出てきてからも同じ動きをしている。

 同じモンスターなんてあるのか? なんて困惑しつつ銃を構えると――スケルトンが変わった。

 スケルトンの体に雪が降りかかって、それが骨に染みこんでいく。
 魔力の雪を取り込んだスケルトンは徐々に赤くなった。
 白い骨が真っ赤に染まっていった。

「よかった、ちゃんと違うモン――」

 安心したのもつかの間、スケルトンは一瞬で目の前に迫った。

「――っ!」

 スケルトンの攻撃にクロスした腕でガード、とっさにそいつを蹴って後ろに飛ぼうとした――が、ケリがからぶった。
 そいつはものすごいスピードで躱して、真横に潜り込んで更に攻撃をしてくる。

 速い! 赤いスケルトンは前のヤツの三倍は速い!

「……けど!」

 スケルトンは速かったが、おれはもっと速かった。
 不意を突かれたから驚いたが、「速い」って分かればもう大丈夫。

 攻撃を受け止めて、スケルトンが更に高速移動でヒットアンドアウェイで離れた瞬間先回りした。
 速さS、斜めに移動したスケルトンの一歩先に回り込んで、ちょうど飛び込んできた形のそいつにカウンターの横蹴り。

 スピードとパワー、両方をあわせたクロスカウンターはスケルトンの腰骨を真っ二つに折った。
 地面に転がった骨はビクビクしたが、すぐに動かなくなって種になった。

 それを拾い上げると。

ーーMP最大値が1あがりました。

 と、いつもの声が聞こえてきた。
 地下五階はMPの種を落とすのか、よし、これも少しずつあげていこう。

「……あれ?」

 おれはある事を思い出した。
 MP、つまり魔法を使うエネルギーの様なもの。

「魔法って、どうやって覚えるんだ?」

     ☆

 とりあえずMPをFからEにあげた後、街で合流したセレストに聞いた。

「普通はレベルアップと共に覚えるものだわ。レベルと能力がその人独特のものであるように、どんな魔法を覚えるのかも生まれつきで決まっているものよ」
「なるほど。しかしおれはレベルが1で固定してる。……普通は? 他に方法があるのか?」
「魔法の実というものを食べれば覚えられるわよ」
「そんなものがあるのか」
「ええ、しかしデメリットがかなり多いから、敬遠する人も多いの」
「どんなデメリットがあるのだ?」
「生まれつきの成長に逆らうものだから、食べた瞬間レベルが固定されて一切成長出来なくなる呪いがかかるの。更に魔法の実は一種類、食べたあと何を覚えるのかは全くのランダム……既に覚えてるものを覚える、なんて事もあるわ」
「それはきついな。でもそれならレベルを上げきってしまえばいいんじゃないのか?」
「ええ、一つだけなら」
「……二つ目だとなにか問題あるのか?」
「二つ目以降は食べるごとにレベルが1下がって行くの、もちろん、能力も下がるわ」
「それはきつすぎるな」

 一個食べたらレベルが上がらなくなる、二個目以降は更にレベルが下がる。
 呪いとしてはきついものがあるな。
 だが。

「もう他にデメリットはないのか?」
「ないわ。強いていえばそれでも一個はレベルあげきった後に食べるから、値段が高いって事くらいね」
「なら、おれにはまったく問題ないな」
「……そうだったわ、リョータさんはレベルが最高で1だから、どれもデメリットにならないわね」
「そういうことだ」

     ☆

「買ってしまったな」

 シクロ最大の魔法道具屋の外、おれは豪華な木箱をもっていた。
 同行したセレストが木箱の蓋をとった。
 中にはメロンくらいのサイズの果実があって、外側に六芒星の紋様がある。
 これが喰ったら魔法を覚えられる魔法の実か。

「しかし、買ってもよかったのか? 昨日ゲットした三百万丸々吐き出してしまったし、もっとみんなのために使った方が良かったんじゃ」
「わたしはリョータさんに食べてほしいとおもうわ。エミリーもきっとそう言うはず。イヴは――」
「ニンジンじゃないから気にしなさそうだ彼女は」

 苦笑いするおれ。
 仲間たちはどうやら全員気にしない感じみたいだ。

「それじゃあ早速食べましょう」
「いや、待ってくれ」
「どうして?」
「おれは学習した、こういうのはそのまま食べるべきじゃない」
「??? エミリーに調理してもらうの?」

 訝しむセレストに微笑み返して、おれは、箱の蓋を閉じて先に歩き出した。

     ☆

 シクロの野外、いつもの人気のないところ。
 そこにやってくると、セレストははっと理解した。

「なるほど、ハグレモノにして再ドロップさせるのね」
「ああ、多分元の魔法の実よりもいいものになると思う」

 おれは言い切った――が内心五分五分だと思った。
 多分いいものになるだろうが、そのいい(、、)のベクトルがつかめない。
 レアモンスタードロップのように普通に上位互換のがドロップする事もあれば、あのゴリラみたいにマグロからゴリラに、ゴリラから拳銃になるというまったく違うものもある。

 よくなる、ってだけなら疑ってないけど魔法の実の効果が残るかどうかは半々だ。
 それでも、試してみようと思った。

 会社にいた頃、なにかチャレンジしようとすると大抵「前例がない」で却下されてきた。
 そのくせおれが出したアイデアを他が先にやると、却下した上司とか会社は「なぜそれを思いつけなかったのだ!」と怒鳴ってくる。
 そういうのはもういらない、おれ、チャレンジしようと思った。

 魔法の実を置いて、セレストと一緒に離れる。

 しばらくまって、魔法の実からモンスターが孵った。

 戦闘態勢のまま飛び出すおれ。
 モンスターはメタリックな色をした玉――と思ったらいきなり溶けて形を変えた。
 溶けた金属は形を変えて、人型になった。

「リョータさん!?」

 悲鳴の様な声を上げるセレスト。
 そう、それはおれとうり二つな格好をしていた。
 体の特徴とか服とかまで完全に再現してて、唯一色だけがついてなくて、全員がメタリック色のままだ。

 液体金属のアンドロイド。
 映画で見たようなワンシーンだ。

 そいつはおれに飛びかかってきた。速い!
 えぐる様なパンチをガードして、ケリをいれて距離をとる。
 銃を構えて通常弾を連射、当たったが、効いてる様子はない。

 更に飛びかかってきた、ものすごい速さで肉薄して、パンチとキックが風を切ってうなりを上げる。
 受けて反撃して、今度は貫通弾をうった。

 玉は胸を直撃――する前に止められた。腕をクロスにしたの出ガードされた。
 おれがよくやるやつだ。

「硬い、速い、力強い」

 メタル亮太(とりあえずこう呼ぶことにした)は基本スペックが相当高かった。
 が、おれほどではなかった。

 銃は効かない様だからしまって肉弾戦で応戦。
 攻撃を回避して反撃、殴り飛ばして追いついてケリをいれて直角に方向転換。

 戦闘を重ねていくと大体分かった。
 パワーとスピードは大体おれの8割だ。

 おそらくコピーした相手の七割のスペックになるモンスターだ。

「周回に向かない相手だな――っと!」

 反撃するそいつを掴んで空中に投げた、そして空中にむけて拘束弾を撃つ。
 メタル亮太は空中で光の縄に縛られて動けなくなった。

 大体の事はわかった、ケリをつける。
 二丁の銃に銃弾を込める、火炎弾と冷凍弾。
 それを連射して――一番攻撃力の高い消滅弾に連続で融合させた。

 空中でよけられないそいつに弾が次々とあたり、金属の体を削っていった。
 穴ぼこになりながらももがくが、穴が次々と増えていき、やがて限界を超えたのか、水風船のように割れて、液体金属に戻ってどろっと地面に流れ落ちた。

 念の為に銃を構える、が大丈夫だった。
 液体金属っぽいのがすぐに消え、ポン、とドロップした。

 ゆっくり近づいていくおれ、離れたところでみていたセレストは走って合流する。
 おれがドロップしたのを拾い上げるのを、セレストは複雑な顔をした。

「魔法の実のままね。変わらない事もあるのね」
「いや、そうでもないぜ」

 おれはニヤリと口の端をゆがめて、拾い上げた魔法の実をぐるっと回して、それ(、、)をセレストに見せた。

 さっき一つだった六芒星の印が二つになっていた。

「これは……もしかして」
「多分、いや間違いない」

 多分スライムブロスのパターンだろう。
 似たようなものの追加、上位互換。

 おれは確信を持って、魔法の実をかじった。

 ――魔法を二つ覚えます。

 アナウンスのような声が脳内に響いた。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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