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569.システム完成

 サロンの中、アリスと二人っきり。


 俺は脳内マップで屋敷の中、バナジウムダンジョン一階の全貌を把握していた。


 マップの上にある光点を掴み、その様子を観察する。

 すると、エミリーを示す光点が、彼女の部屋の中に更に作らせた部屋に入った。


「よし、これなら。アリスの方はどうだ?」

「うん、エミリーだよね」

「ああ」


 俺は頷き、テストに満足した。

 こうしている間にもセレストにイヴと、仲間達が次々と自分の部屋で、警告を示すための小部屋に入っているのをつかんだ。


 それは、アリスも同じだった。


「あっ、イヴちゃんもはいった」

「ちゃんとつかめてるみたいだな」

「うん、ちゃんと消えて(、、、、、、、)くれたからね」


 俺とは違って、アリスは別のものをつかんでいた。


 ダンジョン生まれのアリス。

 その特殊な出自のおかげで、彼女は遙か以前から、ダンジョンの構造とモンスターの場所が分かる。


 構造の精度とモンスターの細かい居場所なら、今でも俺より詳しく把握出来ている。


 そして、ここは屋敷風に作り直しているけど、ダンジョンの中だ。


 通知用の部屋には、バナジウムに頼んで、綿毛を一体置いている。


 それ自体はただのモンスターであり、バナジウムが産み出した物だから、攻撃とか害になるような行動は一切しない様に言い含められる。

 そして、みんなには部屋に逃げ込んだとき――つまり何かあったときは、その綿毛を倒すように言ってある。


 すると、俺はみんなが部屋に逃げ込んでいる事を、アリスはその部屋の中にある綿毛がなくなっていることが分かる。


「やっぱりリョータすごいよね。こんな風に、あたしにもできるようにしてくれるなんてさ」

「アリスの力が結構羨ましかったんだ」

「ほえ?」

「だから、自分がそれを使える様になったらどうするのか、っていつも考えてた」

「そうだったんだ」


 ほえぇ……って感じで感心するアリス。


 彼女のその能力は正直普通に羨ましかった。


 ステータスがあって、ダンジョンに潜ってモンスターをたおして、ドロップ品を換金していくこの異世界。

 俺にはゲームと似たような世界に感じていた。


 それで色々と知識や応用が利いて、だからこそRPGとかで最近は当たり前の様にあるミニマップになるその能力が欲しかった。


 構造だけが分かるようになった後も、その欲求は更に加速して、妄想を加速させた。


「何はともあれ、これでお互い何かあったときにすぐに分かるんだ。帰ってきたときは確認するようにしよう」

「うん! あたしはりょーちんを使うの控えるね」

「大丈夫なのかそれは」

「大丈夫、りょーちんいなくても結構楽勝。ガウガウとかでもオーバーキルになるくらい」


 ガウガウ、マスタードラゴンの仲間モンスター。

 おそらくアリスの手持ちの中で一番の戦力だろう。


「最近はりょーちんを気持ちいいのにしか使ってないしね」

「気持ちいい?」

「上がる前の最後のモンスターをけっちょんけっちょんにするのとか」

「ああ」


 その気持ちはよく分かる。

 格闘ゲーム、戦略シミュレーションゲーム、アクションにRPG。

 ありとあらゆる「敵を倒す」要素があるものに、俺もそうしてきた。


 最後の一撃、特にこれが終わったら回復したりする様な場合だと、溜めていたMPやらアイテムやらを大放出して「ドッカーン!」とやることがある。


 今のアリスにとって、りょーちんはそういうポジションにあるようだ。


「だったら大丈夫だな」

「うん!」

「そういえば最近聞いてないけど、りょーちんにも草薙の剣の能力が発動してるのか?」


 鏡はアリスの能力と互換性があるからきかなかった。

 一日に一回しか召喚出来ないのだから、毎日帰ってきて確認のためだけに使うのはもったいないしな。


「うん、してるよ」

「なるほど」

「してなかったら面白かったけどね」

「ああ、それでニホニウムの現状が分かるとっかかりになるかもしれないもんな」


 まあ、普通に発動してるのならそれはそれでいい。


 多分、後三階。

 後三階降りて、何かをやったら、いよいよニホニウムに会える。


 明日からニホニウム13階の攻略だ。

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