表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
484/611

484.キミの為の指輪

 バナジウムダンジョン、テスト部屋の中。


 冒険者組の仲間達を全員集めた。


 エミリー、セレスト、アリス、イヴ、そしてさくら。


 みんなを一通り集めて、まずはセレストの現ステータスをチェックした。

 ポータブルナウボードを使って、ステータスを出す。


―――1/2―――

レベル:54/54

HP D

MP A

力  E

体力 E

知性 A

精神 A

速さ E

器用 A

運  C

―――――――――


―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F

魔法 E

特質 F

―――――――――


 セレストのステータスを見て、俺は「よし」と頷いた。


「何が良しなの?」

「今回のテストには、セレストの能力が一番合ってるから。それを再確認してさ」

「私のが一番合っている? クイックシルバーのチェックよね……あっ」


 そういうことか、って顔をするセレスト。

 俺が持っている指輪の内、最初にドロップした分裂などの「特性」的な指輪の方をみた。

 既に指輪によるクイックシルバーの変化をテストするって伝えてるので、それで分かったようだ。


「そっか、下がることもあるんだ」

「うん。セレストはEが多いから、上がるの下がるのを両方チェック出来るんだ」

「なるほどなのです、私はAとかFとかが多いのです」

「あたしはそもそもひっくいしね」


 エミリーとアリスが納得した。


 本人が納得した通り、二人のステータスは今回のチェックには向かない。

 エミリーは生粋のパワーファイターで得意分野がAで他はFという尖りっぷり、アリスはそもそも最高レベルが2で大半がFだ。


「私も一緒ね」


 レベルこそ100を大幅に超えているけど、成長率が低くて、能力が抜群に低いさくらも同じように納得した。

 ちなみにイヴは来はしたが、興味なさげに大あくびしている。


「それじゃ、いくぞ」

「ええ、いつでもいいわ」


 セレストとうなずき合って、俺はまず、「特性」の指輪をはめて、クイックシルバーを唱えた。


 そして、ポータブルナウボード。


―――1/2―――

レベル:54/54

HP D

MP A

力  E

体力 E

知性 A

精神 A

速さ D(+1)

器用 A

運  C

―――――――――


―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F

魔法 E

特質 F

―――――――――


「あれ?」

「なにも起きないです」

「リョータ、もっとやってみて」

「ああ」


 深く頷いて、もう一度クイックシルバーを唱える。

 魔法の光でしっかりと効いたのを確認してからの、ポータブルナウボード。


―――1/2―――

レベル:54/54

HP D

MP A(+1)

力  E

体力 E

知性 A

精神 A

速さ D(+1)

器用 A

運  C

―――――――――


―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F

魔法 F

特質 F

―――――――――


 また一つだけ上がった。

 いつものクイックシルバーだった。


「効果が無いってことなのかしら」

「こっちのもやってみる」


 「特性」の指輪をはずして、今度は「強化」の指輪をつける。

 そして、クイックシルバー。


 無限回復弾をセットして、

自分に撃ち続けながら、さらにクイックシルバーをセレストにかける。


 一通りかけきってから、またポータブルナウボード。


―――1/2―――

レベル:54/54

HP C(+1)

MP A(+1)

力  D(+1)

体力 D(+1)

知性 A(+1)

精神 A(+1)

速さ D(+1)

器用 A(+1)

運  B(+1)

―――――――――

―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F

魔法 E

特質 F

―――――――――


「全くのいつも通りね」

「効果が無かったって事か。しかし、ネプチューンには効いたんだが」

「そうなの?」

「ああ。そうだってはっきり言ってた。ネプチューンはともかく、ランとリルのあの表情は本物だ」


 俺に関係なく、好きなネプチューンの力になれた、という満足しきった表情だ。

 あれは本物だ、嘘ではあり得ない。


「ねえリョータ、他になにか違ったところはなかった? 指輪の付け方とか」


 アリスに言われて、あの時みた三人の姿を思い出す。


「うーん……違ったって言っても、三人とも薬指につけていたから、違うと言えば違うんだよな」


 薬指の指輪は男女ペアでつけるものだが、ネプチューンら三人は「H2O」って事もあって三人とも薬指につけている。


「……三人とも?」


 一瞬そこが引っかかった。


 もっと言えば、ネプチューンもつけているって事を思い出した。


「まさか……セレスト」

「なに?」

「これをつけてくれ。それでポータブルナウボードを」

「……分かったわ」


 神妙な顔で頷き、俺が渡した「特性」の指輪をつけるセレスト。

 そしてまたまたポータブルナウボードを使うと。


―――1/2―――

レベル:54/54

HP B(+2)

MP A(+2)

力  C(+2)

体力 C(+2)

知性 A(+2)

精神 A(+2)

速さ C(+2)

器用 A(+2)

運  A(+2)

―――――――――


―――2/2―――

植物 F(-1)

動物 F(-1)

鉱物 F(-1)

魔法 F(-1)

特質 F(-1)

―――――――――


「「おおっ!?」」


 全員が一斉に声を漏らす。


 セレストの能力は大きく変わっていた。

 基礎能力のアップが倍になって、さっきまではなにも変動がなかったドロップに全部-1がついた。


 指輪の効果がはっきりと出た。


「アリス、頼む」

「うん、まずは……」


 もう一つの特性指輪をつけて、ポータブルナウボード。


―――1/2―――

レベル:2/2

HP F

MP D

力  F

体力 F

知性 E

精神 E

速さ F

器用 F

運  D

―――――――――


―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F

魔法 F

特質 E

―――――――――


「オッケー」

「じゃあ……クイックシルバー」


―――1/2―――

レベル:2/2

HP D(+2)

MP D

力  F

体力 F

知性 E

精神 E

速さ F

器用 F

運  D

―――――――――


―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F(-1)

魔法 F

特質 E

―――――――――


「おお、来たね」

「こう来たか。はずしてみて」

「オッケー」


 指示通りにはずして、またポータブルナウボード。


―――1/2―――

レベル:2/2

HP F

MP D

力  F

体力 F

知性 E

精神 E

速さ F

器用 F

運  D

―――――――――


―――2/2―――

植物 F

動物 F

鉱物 F

魔法 F

特質 E

―――――――――


 能力が元に戻っていた。


「つまり、バフはかけられる側がつけてなきゃいけないのか」

「そういうことのようね」


 俺は考えた。

 そういうことなら、また少し話が変わる。


 全員に指輪を最低一つずつ与えたい。

 アブソリュートロックの石と同じように、一人に一つは。


 それだと結構かかる。

 今の亀裂の石の相場だと、最大で一つにつき三ヶ月分くらいの稼ぎが必要かもしれない。


 それでも、これは使える。

 みんなに与えたかった。


「みんな、待っててくれ。みんなの分の指輪を稼いでくる」


 そうと決まれば、俺はテスト部屋を飛び出して、ダンジョンに向かう。


「エミリーどうしたの? 顔赤いよ」

「な、何でも無いです。ちょっと思い出しただけなのです」

「もしかして、前にもおじさんの天然にやられたとか? お前だけの指輪、とかなんとかいっちゃって」

「そ、そんな事ないです!」


 俺がいなくなった後のテスト部屋でエミリーが盛大にからかわれたのを、俺は知るよしはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 残った新しい特殊弾を全部込めて、リョー様を撃った。 残り四発、連射した結果全弾命中した、そして。 鍵が四本ドロップした。 [一言] ブラック企業はダメと言いつつ あんたが一番ブラックじ…
[気になる点] 当てただけでドロップするレアに使える銃弾ありませんでした?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ