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475.オーバーキル確定

「リアルタイム? どういうことなの?」

「えっと……セレストのその糸の操作と似てるかな」

「これ?」


 セレストは自分のバイコーンホーンをもって、首をかしげる。


「今まで何回も見てきたけど、勘違いじゃなければ『使う』から『打ち出す』までタイムラグがあるよな」

「ええ、少しあるわ」

「ただ単に使ってたんじゃ撃ったときにはもう相手が照準から離れてる事もある。それをセレストが糸でコントロールする事で方向を変えて、敵の動きに合わせて照準を維持していた」

「そうね、そういう風にやってるわ」

「それと似てるんだ」


 俺は手を差し出した、セレストは指輪を俺の手のひらの上に置いた。


「この指輪は二つの効果がある。まだ検証は必要だけど何かを使う時の数を増やすのと、威力をさげるの二つだ。今みた感じだと数を増やすのは――」


 そこで一旦言葉を止めて、指輪をはめて通常弾を撃った。

 弾は二発で発射された。


 更に指輪をはずして鉄壁弾(、、、)を撃って、打ち出した後指輪をはめた。

 ノロノロと飛んでいく弾は一発だけ、途中からふえなかった。


「使う時はめているかどうかだ。でも威力は――」


 指輪をはめた後、一発だけの鉄壁弾をつかんでひっぱる。

 思いっきり引っ張ったら、鉄壁弾のルートを変える事ができた。


「威力とかは、その瞬間はめてるかどうかで適用されるみたいだ」

「なるほど。言葉にしにくいけど、確かに似ているわね」


 セレストは手のひらを差しだした、俺は指輪をはずして渡した。


 バイコーンホーンをつかって無造作にファイヤーボールを撃った後二つをはめる、すると一発だけなのに、かなり弱々しい炎の玉になった。


「となると……」


 セレストは少し考えてから、おもむろに詠唱しだした。

 彼女の得意魔法、必殺技と呼んでいいインフェルノ。


 それを放った、指輪を二つ付けて放った。


「わっ!」


 瞬間、テスト部屋の中が炎に包まれた。

 もともと範囲魔法だったインフェルノ、その範囲が爆発的に増大して、ハグレモノを孵すためにかなり広く取ったテスト部屋に充満した。


「インフェルノだと範囲が広がるんだな」

「今外すと私達、仲良く黒焦げね」

「インフェルノの威力がこの範囲だと、結構とんでもないことになるな。一発でかるく数百体は巻き込めるんじゃないか? 範囲的に」


 範囲魔法が、全画面攻撃にレベルアップした。


「屋外に出よう、どれくらい範囲が広がったのか見てみたい」

「ええ、私もそれが気になるわ」


 俺達はうなずき合って、一緒に屋敷をでて、シクロの野外にむかった。


     ☆


 夜のサロン、仲間達が集まったいつもの時間。

 指輪と、セレストと一緒にテストに行った事を話すと、特に冒険者組が興味津々って顔をした。


「それでどうなったのです?」

「ものすごく広くなった」

「ものすごくって?」

「東京ドーム一個分はあった」


 聞いてきたのがさくらだったから、つい元の世界での例え方をしてしまった。


「ああごめん、前の屋敷の四つ分くらいかな」

「すっごーい! ねえねえリョータ。それ、あたしにもやらせてみて」


 アリスはかなり興奮している。


「ああ、むしろこっちからお願いしようと思ってたんだ」


 俺はそういい、指輪を一つアリスに渡した。


 アリスはそれをつけてから。


「ホネホネ!」


 仲間モンスターを召喚した。

 肩に乗っているマスコット的なホネホネが、可愛らしいデザインながらも、オリジナルのサイズに戻った。


「あれ? ふえないし、おっきくもならないね」

「うーん? ホネホネ、俺を攻撃してみて」


 ホネホネは頷き、骨のこん棒をふるって殴り掛かってきた。


 上から振り下ろされるそれを腕でとめる。


「いつも通りの攻撃力だな」

「えー? プルプル、ボンボン?」


 アリスは立て続けに仲間モンスターを召喚した。


 召喚されたモンスターは俺を攻撃してきたが、その攻撃に特殊なところもなく、威力も下がらなかった。


「うーん、なんでなのかな」

「ねえおじさん、私もやってみていい?」

「ああ」


 名乗り出たさくらにも指輪を渡した。

 彼女は指輪をつけて、魔法を覚えた後から持ち歩くようになったスケッチブックを開いて、「ジェネシス」と唱えた。


 スケッチブックがひかって、紙から何かが飛び出した。


「これは……イヴ? というかエミリー?」


 でてきたのは自前のうさ耳を生やした女の子だが、幼げでちっちゃかった。

 そのくせ自分の体よりも大きいハンマーを持っている。

 ちなみにハンマーの先端はウサギの耳のようなオブジェがあって、ちょっと可愛い。


 イヴとエミリーの特徴を融合させたようなキャラだ。

 それが、二人。

 まったく同じ見た目のが二人でた。


「あっ、消えた。前より短い」

「……なるほど、召喚時間が減るのか」

「おもしろいねこの指輪を」

「あたしのがダメなのはなんでだろ」

「アリスのは……自分の魔法じゃないからじゃないかな。さくらのは魔法だけど、アリスのそれ、仲間だから別の個体だろ?」

「あ、そっか」


 俺に言われて、アリスははっとした――直後。


「ちょっとそれかして」


 と、さくらから半ば奪い取るようにして指輪を取り上げ、自分にはめた。


 指輪を二つつけた状態で。


「りょーちん!!」


 と、彼女の切り札の魔法、オールマイトを唱えた。


 すると――。


「うわーお」

「やった、りょーちんが三人だ」

「これ……指輪はずしたらオリジナルと同じ力なのよね……リョータさんが三人って」

「世界が滅ぶです」


 召喚された三体のりょーちん。


 仲間達は、感心したような、ちょっとひいてるような。

 そんな反応をしたのだった。

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