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472.オークキング討伐

 鞭をつかんだまま、成長弾を込めた銃口を突きつける。


 あの即死級の攻撃がくると分かった以上時間はかけられない、速攻で倒す。


 カチッ。


 乾いた、不発を意味する音が響いた。

 

 カチッ、カチッ。


 シリンダーが空回りして、撃鉄が空撃ちする音だ。


 発射できない事に戸惑う俺、そしてその一瞬の隙を突いて、俺を突き飛ばして、鞭を引き抜くオークキング。


 距離をとられた、相手(むち)の得意な中距離に押し出された。

 しなる鞭が襲いかかってくる。


「くっ!」


 横っ飛びして鞭の先端をかわしつつ、銃を確認。

 銃も銃弾も、特に異変は見当たらない。

 しかし引き金を引いても弾が出ない。


 回避をしつつ、成長弾をスパッと諦めて同じ性質の通常弾を装填しなおして、連射。


 銃弾は一斉に撃ち出された。


 半数が鞭にはじかれるが、残った半分はオークキングにヒットした。

 通常弾ならいける、ならばとこれを使っての速攻を考えた。


 通常弾一発を残して、他は威力を高める強化弾を込める。

 威力を高めて一発で――


 カチッ。


 また空撃ちの音が響く。

 これならいけると思った分、反応が遅れて、鞭をしたたかに喰らってしまう。


 一発はいると、立て続けに喰らってしまう。

 とっさに回復弾を連射しつつ、強引に攻撃から脱出する。


 銃を見た、やっぱり変なところは何もない。

 なのに撃てないのはどういうことだ?


「……まさか」


 ある可能性を思いついて、強化弾を抜いて、通常弾だけにした。

 トリガーを引く、銃弾は無事撃ち出されてオークキングに飛んでいった。


 強化弾を一発だけ込める、これもうてた。

 二発込める、まだ撃てる。

 三発――撃てなくなった。


 一発抜いての二発、また撃てるようになった。


「大ダメージ無効、いやキャンセルか」


 何となく分かってきた。

 高火力がうりの蒼炎弾もつかってみたが、やっぱり撃てなかった。

 逆に鉄壁弾や追尾弾などは問題なくうてた。


 拘束弾も問題なく撃てて、オークキングの動きを止めた。


 ある程度のダメージになるものは無効、あるいはキャンセルされる特殊能力か。


「……リペティションも危ういな」


 間合いを取りつつ、苦笑いした。

 一度倒したモンスターを即死させる魔法、リペティション。


 最強の魔法だが、その本質によってはきかない可能性が出てきた。


 拘束弾と同じようにステータス異常系扱いなら問題ないだろう。

 だけど、いわゆる「9999(カンスト)」ダメージや、「100%」ダメージなら、大ダメージに引っかかって無効化される恐れがある。


「いかんいかん」


 効くにしろ効かないにしろ、それは先の話だ。

 今はまず目の前の敵を倒さなきゃ。


 弱いダメージなら効く、ならば。


 まず加速弾を自分に撃った。

 あえてバナジウム弾をつかったが、問題なく加速、いや疑似時間停止状態に入った。


 まったく動かなくなったオークキングに近づき、全身に満遍なく鉄壁弾を撃ち込む。


 上下左右、全方向から鉄壁弾の壁を作った。


 そして時は動き出す。

 壁がゆっくりと迫る、オークキングはまったく動けない。


 じりじり、じりじりと。

 オークキングは圧搾されて――最期は耳に残るほどの悲鳴をあげて倒れた。


 オークキングがいた場所に、なんと大量のアイテムがドロップした。


 まずは券。

 オークキングを呼び出した券とまったく同じものが、二枚ほどドロップされていた。


 そして金。

 紙幣と硬貨のあらゆる種類が、合わせて数万ピロ程度ドロップされた。


 最後に、その中で見た事の無い指輪が一つ。

 指輪から虹色の光が立ちこめていて、まっすぐ天井にむかった光の柱が出来ていた。


 指輪を拾って、まじまじと眺める。

 何か特殊効果のある装備だろう。

 経験的にそれは間違いないと分かった。


 試しに指輪をはめてみた。


「おっ?」


 体に生じる違和感、なんとなく、力が抜けるという感覚。


 ポータブルナウボードを取り出して使ってみるが、全能力SSで変わっていない。


 気のせいか? とおもって今度は試しに通常弾をこめて壁に向かって撃つ――。


「これは!?」


 なんと、一発撃っただけなのに、銃弾は二発飛び出した。

 威力は普段より弱かったが、はっきりと弾が二発飛び出ていた。

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