463.魔法の実
「どういうことなのです?」
「マーガレットに近いんだろう」
答えると、仲間達は首をかしげた。
「あの時、レベル95から99まであげるのを手伝ってもらったよな」
「……なるほど、そういうことね」
「分かるのセレっち?」
「ええ、レベル94までFファイナルだった彼女が、95から急成長を遂げたじゃない。それと同じ、レベルの上限が無い変わりに、成長が緩やかなのよ」
「そういうことかー」
アリスが納得した、その隣でエミリーも同じような感じで頷いていた。
一方、ポータブルナウボードで自分のステータスを眺めていたさくらはいかにも興味津々って感じの顔で。
「はー……本当に異世界っぽいね、こうやってレベルアップしたのを見てると」
「そうか」
「ねえ、このステータスだと、魔法もあるって事だよね?」
「ああ」
「どうやって覚えるの? レベルあげしたら勝手に? それとも転職?」
「それは――あっ」
「どうしたの?」
不思議がるさくら。
俺は自分の両手を見つめ、それからセレストを見て、アリスを見た。
魔法。
純血な魔法使いであるセレスト、そしてレベル上限の低い俺とアリス。
三人とも魔法の実を食べていた。
「そうか、魔法の実だ」
「魔法の実?」
しらないさくらは首をかしげて不思議がったが、俺が見たセレストとアリスはすぐに理解した。
「そっか、レベル上限」
「試してみようよ!」
はっとするセレスト、ノリノリなアリス。
「ゲットしてくる!」
「私も行くわ」
アリスとセレストはテスト部屋から飛び出した。
当事者なのに蚊帳の外に置かれてしまったさくらが聞いてきた。
「なに? どういう事なの?」
「魔法を増やす方法の一つに、魔法の実というアイテムを食べるってのがあるんだ」
「へえ」
「その魔法の実を食べると魔法を一つ覚えられる。でも二つ目以降は、一つ食べる度に最大レベルが1下がるって副作用つきなんだ」
「へえ……あっ、そっか『∞』」
「そういうことだ。普通は一人一個までってのが常識だけど、∞ならいくらでも食べられるかなってね」
「あんたも食べたの?」
「何個かね」
「何個? なんで?」
不思議がるさくらに、俺はポータブルナウボードを出して、自分のステータスを見せた。
―――1/2―――
レベル:1/1
HP SS
MP SS
力 SS
体力 SS
知性 SS
精神 SS
速さ SS
器用 SS
運 SS
―――――――――
「こうだからだ」
「なんかすご!」
さくらは目を見開き、驚嘆した。
俺は最大レベル1を見せるためにステータスを出したのだが、まあ当たり前というか、さくらはまずずらりとならぶ「SS」に目がいったみたいだ。
それで一旦驚いてから。
「これって、レベルの上限が1ってこと?」
「そう。だから魔法の実を複数食べられた」
「そかそか。じゃあ私もいけそうだね」
「それを試そうと、二人は調達に行ったんだ」
「なるほど」
セレスト達がもどってくるのを待つ。
手持ち無沙汰になっていると、さくらがにやにやしながらきいてきた。
「レベル1なのにSSばっかってのは、やっぱチートだから?」
「まあ、チートだな」
俺は苦笑いした。
こっちの世界の人間達にはそういう発想はなかったが、俺と同じ転移者であるさくらはちがった。
さらっと「チート」という言葉が出てきて、苦笑いを禁じ得なかった。
「異世界でチートか、じゃあハーレム作ってる?」
「いやそれは……」
またまた苦笑いするしかなかった。
「作ってないの?」
「まあ、な」
「もしかして男の人の方が好き!?」
急にテンションがあがって、目がきらきらしだしたさくら。
「お前腐ってるのかよ!」
「生ものが大好物だから大丈夫!」
「何も大丈夫じゃないと思うけどね!」
まさかまさかの腐女子だった。
いや、まあ。
異世界に詳しかったり、納得と言えば納得だ。
わくわくするさくらに、この世界の事を説明していると、セレストとアリスがもどってきた。
一人一つずつ、「☆」のついた魔法の実を持っている。
「お待たせー」
「とりあえず二つあればいいわよね」
「ああ、ありがとう」
二人から魔法の実を受け取って、さくらに向き直る。
「これを食べれば魔法を覚えられる」
「へえ」
興味津々な顔で魔法の実を眺めながら、口をつけた。
ほとんど躊躇する事なく、二つとも食べた。
「美味しくはないね」
「そうかもな。はいこれ」
ポータブルナウボードを差し出す。
さくらはそれを受け取って、使った。
―――1/2―――
レベル:147/∞
HP F
MP E
力 F
体力 F
知性 D
精神 D
速さ F
器用 F
運 F
―――――――――
「「「おおっ!!」」」
魔法の実を二つ食べても、レベルはさがらなかった。
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