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458.一回休み

 夜、ゲートを使って屋敷(バナジウム)にもどってきて、仲間達といつものようにサロンで集まった。


 今日はほぼ全員集合だ。


 エミリーにセレスト、イヴとアリスの冒険者組。

 エルザとイーナの商人組。

 アウルム、ニホニウム、バナジウムにプラスサクヤやミーケにケルベロスといった精霊・モンスター組。


 ほぼほぼ、全員で集まっていた。


 その中でも、冒険者組を集めて、テーブルの上に券を置いて、それを取り囲んでいた。


「なるほど、これが噂の……」

「知ってるのかセレスト」

「セルがリョータさんに話を持ちかけてから大分時間が経ったもの。多少は調べているわ」

「なるほど」


 さすがファミリーの生き字引だ。

 最初の頃はシクロのみだったのだが、最近は他のダンジョンの知識もついてきた。

 よほど色々調べてるんだろうな。


「これを使うとモンスターがあらわれるです?」

「ああ、それも普通とは違うモンスターだ」

「違うダンジョンでも?」

「そもそも、フェルミウムでドロップしてカリホルニウムで使ってたからな」

「なるほど!」

「試してみようと思って、一回分もらってきたんだが――いいかな、バナジウム」


 アウルム達のところでエミリーの手作りポテチを頬張っていたバナジウムがコクコクと頷いた。


 人間は怖いが、モンスターというくくりにはまったく負の感情を見せないバナジウムだ。


「よし、じゃあ使うぞ。みんなちょっと離れててくれ」

「分かったです」


 エミリーはテーブルの上からティーセットやら皿やらを下げた。


 俺は昼間みたいに、券を使った。


 サロン――屋敷――バナジウムダンジョン。


 日常的に過ごしているここは「ダンジョン」なのである。


 券を使うと、空間に裂け目が出来た。

 そこからモンスターが――。


「なに!?」


 俺は盛大に驚いた。

 そこから現われたのは、今までのどのモンスターとも違う相手だった。


 目だけを出すフルフェイスのヘルメット、迷彩色だがはっきりと防弾機能はあろうかと見て取れるベスト。

 そして、手に持っているアサルトライフル――近代兵器。


 歩兵。

 陸戦隊。


 様々な言葉が頭に浮かんでは消えたが、そういう相手だった。

 それが12人――チーム一つ分って数だ。


「人間……ううん、目が死んでる」


 セレストがいった直後、相手が動いた。

 持っているライフルを構えて、銃口をこっちに向けてきた。


「みんな危ない!」

「「「「――っ!」」」」


 俺が叫んだ直後、冒険者組が一斉に飛び散った。


 着地すると、エミリーは壁際のハンマーを、アリスは仲間モンスター達を召喚して、セレストは無数の糸操作バイコーンホーンをだした。


 敵はトリガーを引いた、無数の銃声が木霊して、銃弾がサロン内に乱れ飛んだ。

 攻撃が激しい分、みんなの反応もすごかった。


 エミリーは即座に跳躍して空からハンマーを振り下ろし、アリスはガウガウを召喚してその巨体で銃弾を全て防いだ。

 セレストはバイコーンホーンで全ての銃弾を打ち落として、イヴはニンジンをかじりながら銃弾を全部よけていた。


 反撃も、ほぼ反射的に行われた。

 先制の銃弾を全部よけると、全員が一斉に反撃した。

 12体はあった兵士型のモンスターは四人にあっとう言う間に掃討された。


 ちなみにドロップはなかった。


「びっくりしたです」

「すごい飛び道具もってたね。リョータのと一緒だ」

「連射力は向こうの方が上だったわね。あれをリョータさんが持てばもっと強くなるのでは?」

「……ニンジン」


 みんながめいめいに今の敵の感想を言い合う。


 ちなみに精霊組はもちろん、エルザとイーナもくつろいでて安心しきって観戦していた。


 仲間達に向ける信頼を感じて、ちょっとほっこりした。


「あっ、お茶がこぼれたです」


 エミリーがその事に気づいて、バナジウムをよんだ。


「新しいお茶を淹れるです。お水を下さいなのです」

「……(こくこく)」


 バナジウムは頷いて、手をかざした。

 しかし、モンスターはでなかった。


 バナジウムダンジョンの、水をドロップする綿毛のモンスターはでなかった。


「……???」


 自分の手を見つめ、不思議がるバナジウム。


「どうしたです?」

「さっきのやつのせいだ」 


 俺は苦笑いして、エミリーとバナジウムに教えた。

 セルから聞いた事を、実際に実践して、そのまずさを実体験した。


「さっきのようなあれを出すと、そのダンジョンは丸一日モンスターがでなくなって――生産が止まってしまうんだ」


 俺がいうと、仲間達は「な、なんだって」みたいな顔をした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ずーーーーーーーーっとレイアがいないけど、セレンのとこに寝泊まりしてんのかな?
[気になる点] 『「あっ、お茶がこぼれたです」  エミリーがその事に気づいて、バナジウムをよんだ。 「新しいお茶を淹れるです。お水を下さいなのです」 「……(こくこく)」  バナジウムは頷いて、手をか…
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