421.最弱の能力で最強武器
翌日。
今日はダンジョンに出ずに、テストを続けた。
ちなみに、バナジウムに頼んで。
―――1/2―――
レベル:1/1
HP F(-7)
MP F(-7)
力 F(-7)
体力 F(-7)
知性 F(-7)
精神 F(-7)
速さ F(-7)
器用 F(-7)
運 F(-7)
―――――――――
―――2/2―――
植物 S(-7)
動物 S(-7)
鉱物 S(-7)
魔法 S(-7)
特質 S(-7)
―――――――――
能力を限界まで減らしてもらった。
銃の効果を試すために、能力をこっちの世界に来た時と同じレベルまで下げた。
種で上がったのは下がった、ドロップのSは下げようとしても下がらない。
そんな状態で、一晩でかき集めてきた様々なドロップアイテムを山盛りで積み上げてから、距離を取って待機する。
今まで倒してきたモンスターのドロップ品を一通り――カボチャ以外はほとんど並べた。
乱雑に積み上げられたものたち、ハグレモノ度の減り具合が微妙に違う。
個体差もさることながら、違うものは違うペースで減っていく。
そんな中、最初に0%になってハグレモノに孵ったのはジャガイモ――親子スライムだった。
親子スライム。
一体の「親」と複数体の「子」からなるモンスター。
親子とはいいながら、実は「グループ」で一体というスライムで、「親」を倒さないとドロップはしない。
その親のドロップと硬さは、子を倒せば倒すほど上がっていくという特性を持つ。
偶然だが、一番ナイスなタイミングで孵ってきた。
まずは連射で子スライムを一掃する。
その後、銃+10にただの通常弾を込めて、限界まで堅くなったはずの親スライムを撃つ――弾けた。
本来なら通常弾ではけっして倒せないはずの最硬親子スライム、それをたった一発の通常弾で撃ち抜くことが出来た。
その後も様々なモンスターを倒していく。
テルルのスライム系、ニホニウムのアンデッド系、セレンの小悪魔系など。
現われたものから片っ端に通常弾を撃っていき、全部が一撃で倒せた。
しまいにはバイコーン、グランドイーター、サナタキアといった、ダンジョンマスターでも一撃で倒してしまう。
「強いな、+10のこの銃は」
強すぎて、苦笑いを禁じ得なかった。
同時に、テストの有効性を疑った。
全部が一撃じゃ、どこまで強くなったのか分からない。
俺は「強い」という事を確認したいのではなく、「どこまで強い」のかを把握したいんだ。
手持ちの道具の性能は正確に把握したい。
それが出来るのと出来ないのとじゃ、何かがあった時の対応力に差がでる。
何か方法はないかな?
ハグレモノにアブソリュートロックの石を持たせるか?
そうだ、アリスに頼むのはありかも。
倒れても再召喚できるアリスの仲間モンスター、彼らにアブソリュートロックの石を持たせて防御力が上がった状態で試せば――ぶごっ!
横っ面をおもいっきり殴られたような衝撃が来た、目の前がチカチカする。
何事かと振り向くと、ネプチューンのドッペルゲンガーだった。
モンスターの中でもやっかいな方、テネシンのモンスターだ。
なぜ今でもネプチューンなのか分からない、ぼうっとしてる間に殴られたから考える余裕もない。
まずは立て直し。手を横に払いつつ後ろに飛んで距離を取る。
銃を持っている手で払って、その銃がネプチューンもどきに当った瞬間――溶けた。
こっちの世界に来てからの初めての感触。
手応えがまるでない。銃身が当たった瞬間、バターのように溶けた。
「……」
ポカーンとなった、視線を落として銃を見つめた。
ある想像が頭に浮かび上がってきた。
銃+10は、打ち出す弾を増強するだけじゃなくて、それ自体の鈍器としての攻撃力もあがる?
手応えを確かめる、銃身で壁を殴る。
気持ちちょっとだけ、銃弾を撃った時より弱い?
こっちの方が、テストしやすそうだった。