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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第二章

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41/197

41.完全勝利

 二つの街の冒険者で賑わってるセレンは、あっちこっちに無料のナウボードが設置されている。
 おれはエミリーと一緒にあっちこっち歩き回って、ダンジョンから一番離れた、誰も使われてないナウボードの前にやってきた。

 慣れた手順で操作して、ステータスを確認。

―――1/2―――
レベル:1/1
HP S
MP F
力  S
体力 F
知性 F
精神 F
速さ A
器用 F
運  F
―――――――――

「ヨーダさんすごく強くなったです、速さももうすぐSになるですね」
「エミリーと出会った時は全部Fだったのが懐かしい」
「こっちもいずれ全部Sになるです?」
「おれはそう思ってる」

 ほぼ即答でエミリーに言った。
 ニホニウムは全部で地下9階まであると聞いた、そしてステータスの1ページ目の項目は全部で9つ。
 そして、おれだけがドロップさせられるステータスアップの種。

 9という数が一致してる事を偶然だと思えなくて、おれは、確信めいたものを感じていた。

「さて、こっちはいい。問題は次だ」
「はいです」

 ナウボードを操作して、2ページ目にうつす。

―――2/2―――
植物 S
動物 S
鉱物 S(+1)
魔法 S
特質 S
―――――――――

「あれ? Sのままなのです」
「SSとかになると思ってたんだけど」

 おれは装備してる、ピンクのサファイヤの腕輪を見つめながら、掴んで手首のところでぐるぐる回した。

 鉱物ドロップ+1の効果、それはナウボードにも出てる。
 が、ステータス上はSのままだ。

「ヨーダさんのSが最高だから上がらないとかです?」
「多分な。念の為にエミリーがつけてみてくれ」
「はいです」

 おれが外した腕輪をエミリーがつけて、ナウボードを操作した。
 すると鉱物のドロップがFからEになった。

―――2/2―――
植物 S
動物 S
鉱物 S(ー1)
魔法 S
特質 S
―――――――――

「あれ? 下がらない」
「下がってないです」

 驚いた。
 鉱物ドロップー1の装備、てっきりAになるんだと思ってたんだけど。

「なんでだろう」
「きっと」

 エミリーはニコニコ笑顔で。

「ヨーダさんだからですよ」

 と、言ってくれた。
 なんとなく、おれもそんな気がしてきた。

 ドロップS、それとなくこの世界の人達に少しずつ聞いていったが、誰も聞いたことがないと話す謎のステータス。
 おれだけのステータス。

 それはどうやら、装備には影響されないものらしかった。

     ☆

 お買い物があるから、と言ったエミリーと別れて、テントに一人で戻ってきた。
 ゴミ捨て場の近くにあるテント、そこでセレストが難しい顔をしていた。

「どうしたんだ?」
「サトウさん……
「なんか難しい顔してるけど、なにかあった?」
「実は明日から冒険者が倍近くに増えるらしいという噂が」
「冒険者が倍近くに?」
「まだ噂なのですけど、もし本当ならゴミもかなり増えて、わたしの手にあまるようになります……要求は出し続けてるのですが……今回も噂なので、助っ人が来るかは……」

 セレストは困り果てた顔をした。
 ゴミはそこに人間の数に比例する、人間が倍近く増えるのならセレストが困るのもわかる。

「手伝うよ」
「え?」
「ゴミの処理、手伝うよ」
「で、でも。サトウさんはダンジョンが……」
「あなたを放っておけない」
「――っ!」

 驚くセレストを見て、真顔でいった。
 はじめた会ったとき、彼女は過労で倒れた。
 じわじわ増えるゴミ、自分の処理能力を上回っていながらも、一人で頑張り続けた彼女。

 そんな彼女に昔の自分を重ねたのかもしれない。
 ブラックに入って、新しい社員をとらないでこっちがその割りをくってたころの自分と重ねていたのかもしれない。

 手伝わなきゃ、おれは強く思った。
 その気持ちを乗せて、彼女をまっすぐ見つめた。

「ありがとう……ございます」

 セレストは赤面して、恥ずかしそうにお礼を言ったのだった。

     ☆

「噂は本当だ」

 テントの中、シクロダンジョン協会の責任者であるデュークが言った。
 おれは噂を確認するために、彼の元を訪ねた。

「そうなのか。やっぱり駆け込み需要で?」
「いや、ヘテロ側が差し向けた連中だ。全部向こうの手のものだ」
「……人海戦術で偶数階を埋め尽くす気か」
「逆だ」
「え?」

 デュークは苦虫をかみつぶした様な顔をした。

「奇数回、つまり植物ドロップの階をうめるつもりだ」
「――ドロップFを大量に送ってくるつもりか!」

 うなずくデューク。

「向こうもなりふり構わずに妨害工作に出てくるようだ。あしたになればぞろぞろ到着する。数は……向こうの手のものだけで階層がうまる程だときいた」
「階層を占拠するのか」
「しかも合法的にな。表面上は『モンスターの数よりも多く冒険者が殺到した』だけになるんだからな」

 おれまで苦い顔をするようになったのが自分でも分かる。
 前にシリコン地下五階をストライキで占拠した連中がいたが、それとは違う。
 大量の冒険者を送り込んで、モンスターを片っ端から狩ってく事には何の問題もないんだから。

 ふと、ひらめく。

「……今日中に決着をつけよう。3階、5階、7階、9階。これら全部でレアがドロップしたら最低でも引き分けになるだろ?」
「それが出来れば実質勝ちだ。レアのドロップはそうそうあるものじゃない、期間中に全部ドロップ確率なんて1%を切ってる」
「おれがやれば100%だ」
「そんな馬鹿な」
「レアモンスターの情報料を今の倍――いや一気にあげよう。先着一人に1000万だそう」
「高すぎる! そんなにだしたら――」
「おれが倒してドロップしなかったらその分の金はおれがだす」
「――っ!」

 驚愕するデューク。
 まっすぐ彼を見つめ返した。

 二つの腕輪で確認したドロップS。
 変動しないおれだけのステータス。
 レアでも100%ドロップする、遭遇さえすれば。

 おれは、そう確信していた。

     ☆

 セレンダンジョン、地下9階。
 それまで半信半疑だったデュークの顔が次第に変わっていった。

 レアモンスター自体毎日出現している。
 先着一人に1000万の情報料がでると周知した瞬間、情報が次々と入って来た。

 おれはデュークと共にダンジョンに出向いて、保持されたレアモンスターを倒す。
 地下三階、五階、七階と。

 レアモンスターを倒して行く度に、デュークの表情が驚嘆に、そして尊敬に変わっていった。
 やがて、地下九階。
 1000万の情報料、そして3と5と7階がドロップされた事がすぐに噂になって、ダンジョンに溢れんばかりの人が殺到した。

 満員御礼のギャラリーに見守られるなか、おれは首が8つある巨大なヘビと対峙した。

「まるでヤマタノオロチだな」
「首のどれかが弱点だ、そして再生するごとに弱点の首が変わる」

 デュークがそう言った。
 モンスター自体毎日でてるから、倒し方はもうわかってる。

 まずは小手試し、かみついてくる首の一つをカウンターで殴り飛ばして、融合した貫通弾を打ち込む。
 でっかい頭が吹っ飛んだが、すぐに再生した。

 今度は首がみっつまとめてかみついてきた。
 さっと避ける、ヘビがかみついた地面は落とし穴が出来るくらいえぐれた。
 攻撃力に舌を巻きつつ、火炎と冷凍が融合した消滅弾を叩き込む。

 あたった瞬間、ぱっくりと何かに呑み込まれたように三つの首が消滅する。
 が、それもすぐに再生する。

「すごくやっかいだな」
「酒を飲ませると弱点の首だけ酔ってしまうと分かってる」
「弱点は判明済みか」

 ますますヤマタノオロチらしい弱点にくすっときた。

「酒を用意させようか」
「大丈夫だ、そろそろケリをつける」

 襲ってくるヤマタノオロチをギャラリーのいない方向に殴り飛ばした。
 そいつが転がっていく間に、二丁拳銃に全部追尾弾を装填して、構えて乱射する。

 一気にばらまかれた追尾弾はホーミングミサイルのように、四方に広がりつつ飛んで行って、八つある首の一つに集中、殺到した。

 首だけで人間の体よりも太いヤマタノオロチ、その首は蜂の巣になった。
 巨体はずしーんと音を立てて倒れて、消えて、エノキダケがドロップされた。
 セレンのレアモンスターは全部面倒臭いくせに、ドロップがしょぼくて割りに合わないのが特徴だ。
 将来的にあまり通いたくない、まずい(、、、)ダンジョンだな。

 それはともかくとして。

「ありがとう! 本当にありがとう!」

 デュークが走ってきて、おれの手を強く掴んだ。
 ブンブンと上下に振って、感激した顔で同じ言葉を連呼する。

「これでもう我々シクロの負けはなくなった、本当にありがとう! キミのおかげだ!」
「いや、デュークのおかげだよ」
「謙遜することはない、キミのおかげなのは間違いない。そうだ、これを本部に報告してこなければ!」

 デュークはそう言って駆け出した。
 ダンジョンから出て行こうとする彼の後ろ姿をみて、おれは「謙遜じゃないよ」とつぶやいた。

 会社にいた頃は何をいっても却下されてた。
 それを、一介の冒険者の提案を受け入れて、4000万ピロの予算をまとめて投入したデュークの英断が勝利を引き寄せたんだと。
 おれは、やらせてくれた彼にむしろ感謝した。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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