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394.スーパーガウガウ

「すっごーい!りょーちんもよけれなかったって事はさ、リョータもよけれないって事だよね?」

「そういうことだな」


 確かに今の、俺でもよけられなかっただろう。

 まったく見えなかったからな。よけるよけない以前の問題だ。

 あらかじめ加速弾をつかって加速した世界に入っていればどうにかなるだろうが。


「すっごいね。あれ? でもこれってリョータが普段やってる事と一緒じゃない?」

「試してみる」


 拳銃から銃弾を抜き取る。

 撃ってしまった後、また手に入れた直後の空っぽな状態に戻っている。

 それにまずは火炎弾、続いて冷凍弾を触れさせた。


 さっきの加速弾と同じように、二つとも吸い込まれて、弾頭がまた二色に輝きだした。


「これでどうすんの?」

「火炎弾と冷凍弾、二丁拳銃で撃って融合弾にしたら消滅弾になる。同じかどうかを確認だ」

「なるほど! じゃあーーあっ、りょーちんがきえた」


 召喚時間を過ぎてしまった。


「しょうがない、じゃあガウガウ」


 アリスは肩に乗っかってる仲間モンスターを呼んだ。

 マスタードラゴンのガウガウ、肩に乗ってるときは小さなぬいぐるみサイズだ。


 そういう時は愛嬌のある見た目をしているんだが――アリスの要請で「ガーン!」って顔をした。

 頭の上から三本線がすっと降りてきた位の驚きようだ。


「いや、それはひどいだろ」

「大丈夫、ガウガウなら出来るよ。それにみんな、あたしが無事なら死なないしね」

「いやそういう問題じゃ無いと思うんだが……ほら、涙目になってるじゃないか」


 俺が指摘したとおり、うるうると涙目のガウガウ。


「えー、じゃあどうしよっか。あのタカラバコ使う?」

「普通にゴミでも持ってくればいいだろ?」

「うちにゴミなんて無いよ」

「へ?」

「エミリーがいつも綺麗にしてるから、ゴミなんて無いよ」

「おおぅ……すごいなエミリーは」


 屋敷がいつも温かくて明るいのは知ってるんだが、ゴミそのものをすぐに処分してるのか。


「じゃあ……これ使うか」


 通常弾を一発取り出して、離れた所に置いてくる。

 しばらくして、通常弾がスライムに孵った。


 そのスライムに向かって、テスト中の弾を撃つ。


 弾丸はスライムに命中して、炎上した。


「燃えたね――うわっ!」


 びっくりしてのけぞってしまうアリス。

 スライムは燃えたまま彼女に体当たりして。

 アリスはそれをとっさに避けた。


「燃えてるのに動けるんだ」

「……周りの草が燃えてない」

「え? あっ、本当だ」


 攻撃が外れて一旦着地したスライム。

 燃えているのにもかかわらず、周りの草――庭で綺麗に整えられている芝生は燃えてなかったし、焦げる気配もない。


 さらに飛んでくるスライム、俺はそれをキャッチした。

 テルルでの周回でよくやっている、片手を突き出してのキャッチ。


「おっ」

「なになに?」

「熱くない」

「そうなの!? 本当だ、むしろ適温じゃん」

「人肌くらいだな、この炎。冷炎か」

「れいえん?」

「そういう超低温の炎もあるってことだ。人間の骨の中に入ってる燐が発火するのがそう。それで昔の人が人魂に誤認――っていうか」

「ていうか?」

「燐、フォスフォラスの話だ。これは」

「メラメラ? そっか、メラメラも普段は熱くないもんね」

「そういうことだ。つまり、冷凍弾と火炎弾で、超低温の冷炎を産み出した。通常の融合弾とは違う仕組みだって事だ」

「何か使えるのかなそれ」

「ああ」


 俺ははっきり頷いた。


「組み合わせはこれから確認するが、手持ちのカードは純粋に倍以上に増えたって事だ。間違いなく使える、いつか使い道がくる」

「そっかー。あっ!」

「なんだ」

「ねえねえ。今の弾、もう一回やってみて」

「冷炎か? それはいいけど……」


 ハグレモノのスライムを倒して、もう一度火炎弾と冷凍弾を装填。

 それを銃に込めると。


「よしっ! 今度こそガウガウ、戦闘態勢だ」


 ガウガウがまたガーン、となった。


「あたしを信じてガウガウ」


 ショックを受けたが、それでも自信たっぷりに説得するマスターに逆らえなくて、ガウガウは元の姿に戻った。

 マスタードラゴン――の、とても可愛らしいバージョン。

 サイズは一緒だが、りょーちんと同じでものすごくデフォルメされた見た目。


 元がマスタードラゴンなら、これはさしずめ「まちゅたーどらごん」って感じのヤツだ。


「よし、ガウガウに撃って」

「わかった」


 何のつもりだろうかと思いつつ、冷炎はダメージにはなり得ないのは俺が身を以って確認しているから、遠慮なく撃った。


 冷炎弾がガウガウにヒットする――瞬間。

 ガウガウの巨体が炎に包まれた。


 体温程度の炎、それがガウガウの全身に立ちこめている。


「あははは、すっごーい! ガウガウ格好いい!」

「なるほど、まるでド○ゴ○ボ○ルみたいだな」


 全身からオーラを立ち上らせているガウガウ、俺の目にも格好いいように映った。

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