表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/611

230.リセマラ

 融合無炎弾がダンジョンマスター・大名を焼き続けて、周りのモンスターが変化する。


「リペティション!」


 安全に、かつ確実にリペティションで大名を倒した。

 ダンジョンマスター相手に膨大なMPを持ってかれてくらっときたが、だいぶ慣れてきたから、ほぼ無意識で無限回復弾を自分に撃っ(注射し)た。


 周りを見る、金ピカな外見の足軽がうようよした。


 こっちは生態系が変わった後にはじめて見るモンスター、リペティションが効かないから成長弾で撃ち倒した。


 ドロップした酒を瓶に取り込んで、エリックとマオに差し出す。


「いやはや、鮮やかですな」

「ダンジョンマスターを完全に手玉に取ってるの」

「手玉というより、もはや流れ作業ですな」


 二人はそういって、新しい酒の鑑定に取りかかった。


「これは……清酒ですな」

「くんくん……56点なの」

「56点……あまりよくないな」

「そうですな。雑味があって、見た目もあまりよろしいとは言えません」

「わかった」


 頷く俺。もう一回、品種改良の手順をふんだ。

 大名のドロップを遠くにおいて、距離を取った後、その上に融合の無炎弾を撃つ。


 その状態で、周りの雑魚モンスターを掃討しながら待つ。

 しばらくするとまた空気がかわって、ダンジョンマスター・大名が孵った。


 大名は無炎弾に焼かれて体の半分を持ってかれて、再生のために足がとまった。


 その状態で更に待つ、無限回復弾を自分に撃ち続けて、MPをSSの満タンまで回復させる。


 周りのモンスターが変わったのを確認して、更にリペティション。


 新しい酒を二人に渡す。


「ビールですな、コーヒーの風味がします」

「93点なの」

「悪くありませんが……」


 エリックはちらっと俺をみる。


「言いたいことは分かる。せっかくだから極めてみよう」


 俺は笑顔で言った。


 ゲームで言うとリセマラだ。

 一定の手順を踏んでランダムででる結果だが、やり直す事で新しい結果にする事ができる。


 それをくり返し出来るのなら、いい結果が出るまで粘った方がいい。


「本当にいいの?」

「乗りかかった船だ。それにたいした負担でもない」

「はわ……」

「さすがでございますな」


 感心した二人はひとまず置いて、大名酒のリセマラをもう一巡する。


 ドロップを置いて、無炎弾を撃って、孵った後生態が変わるまで待って、リペティションで倒す。


 一回ごとに大体15分はかかるリセマラだ。


「42点なの」

「ダメですな」

「88点」

「悪くありませんが93点を一回だしてますからな」

「1点」

「論外」


 二人と一緒に酒の改良を続けた。

 マオは匂いを嗅いでるだけで大丈夫だが、毎回一口飲んでいるエリックの顔は徐々に赤くなっていった。


 リセマラはなかなか上手く行かなかった。


 マオ曰くAのマックス――実際Sのマックスである俺のステータスはあまり役に立たなかった。

 試しに一回、二体倒して同じものを二つ出したが。


「どっちも70点なの」

「このモンスターの中で一番高いランクを出せるが、ダンジョンマスターからの変化はコントロール出来ないって事か」

「生態系の変化はサトウ様が手をつけず、見守っているだけですからな」

「そりゃそうだ」


 結局リセマラを続ける、数を撃つしかないって結論になった。


「93点……さっきと同じなの」

「これは……難しい判断ですな」


 20回くらいやった後にでた93点、今までの最高点数だが、俺は何も考えずに次のリセマラの手順に入った。


 外れじゃない、だけど一回は出た結果。


 粘りに入った以上、少なくともそれ以上の結果は出さないと割りに合わない。

 そんな考えのもとでリセマラを続ける。


 だいぶ疲れてきた、マオもエリックも口数が少なくなった。


「52」

「ビール」


 と、最小限の言葉だけを口にするようになった。

 それでも続ける、ここまで来たら後には引けない。


 そうして、何回目なのかさえも分からなくなったその時。


「うっ!」

「どうしたマオ」

「美味いの!」

「お?」

「これは……文字通りの甘露ですな」

「そうなの! ものすごいお酒なの」


 疲れ切った二人が一気に元気を取り戻すほどの品質。


「どれくらいなんだ」

「120点なの!」

「前代未聞の美味ですな」


 二人の評価は、予想をだいぶ上回っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >「このモンスターの中で一番高いランクを出せるが、ダンジョンマスターからの変化はコントロール出来ないって事か」 >「生態系の変化はサトウ様が手をつけず、見守っているだけですからな」 …
[気になる点] >「うっ!」 >「どうしたマオ」 >「美味いの!」 飲んでるじゃん。
[気になる点] 何故ドロップの質がS固定される大前提まで無かった事になってるのか……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ