挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

149/197

149.累計1億ピロ突破

 夜のリビング、仲間一同が集まってのんびりしていた。
 テーブルの上に桜色のクリームを乗せたパンケーキがあって、女の子達はそれをつまみながら。

「これ美味しいわねエミリー。香りもそうだし……くんくん、やっぱりイチゴつかってるのかしら?」
「はいです、スターナム産のイチゴを見かけたので買ってみたです」
「スターナム? 聞かないダンジョンね」
「新しいダンジョンなのです。シクロに近い街なので新鮮なものがこっちにも届くなのです」
「へえ、道理で美味しいわね」

 エミリーとセレストがパンケーキの話題で話に花を咲かせている。
 一方でアリスはそのテーブルの下からはみ出してる尻尾の前にいた。

 尻尾はぱた、ぱたと重量感たっぷりの動きでフラれている。
 まるで穴蔵の中にはいってるような感じで、ケルベロスは尻尾だけをテーブルの外に出している。

「ケルちゃんまたテーブルの下にいる。いつもながらよく入るね」
「狭いところが好き、ネコと見た」

 イヴがアリスの横でそんなことをいう。

「違う違う、好きなんじゃなくて慣れだよ」
「慣れ?」
「そ、雷が来るたんびにテーブルとかベッドの下に潜り込むからこれすっかり慣れたんだよ。今度みてみるといいよ。すっごいなめらかな動きでテーブルの下に滑り込むから」

 それは俺知ってる。
 前に見たときは秒間60フレームのなめらかさとスタイリッシュさでテーブルの下に逃げ込んでいた。
 芸術的、とすら思ったくらいだ。

「リョータさん、何を見てるんですか?」

 仲間達の会話に参加しない俺の横にエルザがやってきた。
 彼女は俺がもってるものをぞきこんだ。

「これは……リョータさんの通帳ですね。どうしたんですか」
「ちょっと計算をしてたんだ。何となくそうなんじゃないかって気になってさ。でもスマホも電卓も――数字を計算する機械がないからなかなか上手く行かなくてさ」
「何を計算するんですか? お手伝いしますよ」

 エルザはニコニコ顔で申し出た。

「計算得意?」
「お金の事なら」
「じゃあ頼もうかな……実は今までの総収入が知りたくてさ。この世界――じゃなくてシクロにやってきてから全部でどれくらい稼いだのか知りたいんだ」
「9876万3750ピロです」
「へ?」

 ほぼ即答、しかもあっけらかんとした顔で答えた。

「9876万3750ピロです」
「把握してたのか?」
「してませんけど……あっ、リョータさんうち以外とこの通帳以外でなにか収入あったりしますか?」
「いやないけど……買い取りは全部燕の恩返しにお願いしてるし、アウルムの税金というか配当もこの口座に入ってる」
「だったらそれであってます」

 平然と話すエルザ。

「ちなみにエミリーは?」
「786万6754ピロです」
「セレストは?」
「411万7896ピロです」
「アリスは?」
「199万3812ピロです」
「イヴは?」
「うちだけなら3898万3400ピロですね。イヴさん結構ベテランですから他の買い取り屋のを合わせたら多分倍くらいはあると思います」

 聞いた瞬間すぐに答えるエルザ。

「すごいな」
「計算するの好きですから……」

 エルザは恥ずかしそうに頬を染めてうつむいた。

「そうか、やっぱりそうなんだ」
「やっぱりって?」

 俺のつぶやきを受けて、顔色が普通に戻って聞いて来るエルザ。

「稼いだ総額がそろそろ一億行くんじゃないかって」
「そうだったんですね。でもすごいですね。こういう累計額って、細かい数字が多ければ多いほど行ってるってわかりにくいものなんですけど」
「それは……」

 俺は遠い目をした。

「課金で養った感覚さ。課金してると月末に予想以上の請求が来てびっくりするんだよな。それで体感何割増しか、ってのがみについたんだ」
「は、はあ……何の課金なのかはわかりませんけど」

 戸惑いつつも納得してくれるエルザ、いい人だ。
 でもそうか、累計一億か。

 ちょっと前の5千万が大きかったけど、それでもここまで来たのか。
 稼いだそばから使うから手元にはそんなに残ってないけど、それでもなんだか嬉しい。

「明日は宴会なのです」
「エミリー?」
「ヨーダさんの収入一億突破記念の宴会をするのです」

 エミリーはいつになくハイテンションだった。

「宴会か」
「はいです。嬉しいときは宴会をするってお母さんも言ってるです」
「そうだな」

 俺は頷き、エミリーと、そして仲間のみんなをみる。

「明日、パーッとやろう」
「「「「うん!」」」」

 仲間達は全員頷いてくれたのだった。

     ☆

 翌日、テルルダンジョン。
 この日はニホニウムは休んで、朝から稼ぎにきた。

 みんなが待ってる、この日はリペティションを打ちまくった。

 地下一階のスライムからもやしを送って4万。
 地下二階の眠りスライムからニンジンを送って4万。
 地下三階のコクロスライムからカボチャを送って4万。
 地下四階のバッドスライムから――。

 リペティションで最速狩りをして、魔法カートで屋敷に送りつつ、カートについた集計機能の数字を数えていく。
 必要額は約124万。

 感慨深かった、狩っていく中昔の事を思い出していた。

 この世界に転移したてのころは一日に一万も稼げなかった。
 2万ピロの安アパートの賃料を稼ぐのに三日もかかった。
 それが今はこうして高速狩りをしている。

 魔法カートの転送限界である4万を積み上げていく。
 一回(4万)二回(8万)三回(12万)――。

 少しずつ成長してきた能力を使って今狩っている。

 30回目(120万)のあと、最後の狩りはテルル地下一階でやった。
 やっぱりここだ、ここのもやしだ。
 全てはここから始まった。

 スライムが飛んでくるのをリペティション。
 逃げるスライムにもリペティション。
 地面から壁から天井から生まれてくるスライムに先制リペティション。

 もやしを入れるたびにカウンターが積み上がる。
 やがて、4万ピロを越えた。

「すー、はー……よし」

 最後のダメ押し、転送のボタンを押す。
 4万ピロ分のもやしが転送される。
 これで今日の稼ぎは124万、越えたはずだ。

 俺は引き上げた、転送ゲートを使って屋敷に戻る。

「――っ、みんな……」

 転送で戻ったら、みんながそこで待ち構えていた。
 エミリー、セレスト、アリス、イヴ、それにケルベロス。

 みんなが俺を出迎えた。

「おめでとうなのです!」
「おめでとう」
「おめでとー」
「よくやった低レベル」
「ご主人様おめでとう!」

 そして、廊下の向こうからエルザがやってきた。

「おめでとうございますリョータさん、ちゃんと一億超えました」

 数字がびっしりな紙の束をもって現われたエルザ。
 再計算をしてくれたようだ。

 みんなの祝福に目頭が熱くなる。
 胸がじんわりと温かくなる。

「ありがとう、みんな!」

 累計一億ピロを達成した俺を囲んで、仲間達は盛大に祝ってくれて、この日夜遅くまで宴会で盛り上がった。

 そして、翌日。
 俺たちは新しくダンジョンが生まれた事に驚くのだった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

ovsadtq5e4x9d2l175yb7dnkd29_sjg_9s_dv_1g
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ