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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第一章

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14.130センチとハンマー

 エミリーを崖から引き上げたあと、慌てて聞く。

「エミリー! どこも怪我してない――」
「ちゃんと出来たです」
「――か、って、え?」
「ヨーダさんの後にちゃんと叩けたのです」
「……ああ、ダンジョンの」

 眠りスライムの時の事を思い出した。
 おれが冷凍弾で眠らせて、エミリーがハンマーで叩く。
 その時とまったく同じ流れだ。

 それが上手くできた、って事なんだ。
 エミリーはおれを見つめる。

 どうだったどうだった?
 ほめてほめてー。

 何も言ってないけど、そんな風に言われたような気がした。
 ……そうか、そうだな。

「すごいよエミリー、ほぼ一撃で粉砕したんだもんな」
「モンスターが動かなかったから全力で叩けたのです」
「それにしてもすごい。あんなでっかい氷の塊を中身ごと一撃で粉々にしちゃんだからな」
「えへへ……」

 照れるエミリー、褒めちぎったら嬉しそうにはにかんだ。
 心配はするけど、それ以上にエミリーは頑張ったんだ、ならほめなきゃ。

「あっ」
「どうしたエミリー」
「レベルアップしたのです」
「レベルアップ? そうか、今のはフェミニってモンスターを倒したってことになるのか」
「すごく上がったです」
「へえ?」

 どれくらい上がったのか、それが気になった。

     ☆

 シクロの街に戻ってきた。
 男の二人と病院まで送って、狩ってきたニンジンを売って金にして、その後エミリーの能力チェックをした。

 ダンジョンと違って、街中のナウボードは金がかかる。
 ダンジョンの中は無料、街中だと逆に金がかかる。

 ちょっと面白い現象だけど、この世界のあらゆる物がダンジョンから生産される事を考えればそうなるのもわかる気がする。

 そのナウボードに100ピロを使って、エミリーの能力をチェックした。

―――1/2―――
レベル:20/40
HP B
MP F
力  A
体力 C
知性 F
精神 F
速さ E
器用 F
運  D
―――――――――

「レベルがすごく上がってる!」
「はいです、すごく上がってます」
「一気に……14、15くらい上がったか?」

 ボードに表示されてるエミリーのステータスをみた。
 最初に出会ったとき、彼女はレベル3だった。
 それが一気に20まで上がってた!

「……フェミニって強いモンスターだったのか?」
「分からないです」
「そういえばフェミニ自体知らなかったっけ。まあ別の街から輸送されてきたものだからなあ」

 エミリーはそういったが、おれはほぼほぼそれが原因だと確信していた。
 あの瞬間、魔法カートの中で一斉にアイテムがハグレモノ化――モンスターに戻っていた。
 だからおれはありったけの冷凍弾を打ち込んで、まとめて凍らせた。

 それをエミリーは一撃で粉砕した。
 レベルは低いけどパワーはあったエミリーが、完全に動きの止まったモンスターを一撃でまとめて倒した。

 それでレベルが一気に上がった、ゲームでよく見た光景だ。
 推測でしかないけど、多分あってる。

 そして、あってるあってない以上に。
 エミリーが一気にレベルアップして、能力が上がったという事実のが大事だ。

 レベルが一気に上がって、能力も目に見えて上がったエミリー。
 そんなエミリーの瞳は、かつてないキラキラ――わくわくしてることに気づいた。

     ☆

 シクロ五つのダンジョンのうちの一つ、アルセニック。
 エミリーに連れられてやってきたが、ダンジョンに入るなりちょっとびっくりした。

「モンスターか!」

 モンスターがいつになく多くて、うじゃうじゃってレベルでいた。
 土を掘り出して出来たようなダンジョンの地面に岩がごろごろ転がっていた。
 岩は大小様々で、大きいものは腰掛ける事ができるくらい、小さい物は野球ボール程度だ。
 そいつらは全員、目と口がついてる。
 岩が顔になって、こっちを見てきた。

 それがあっちこっちに、数えるまでもなく百は余裕で越えてて、ダンジョンの中で光る目がちょっと怖い。

 間違いなくモンスターの類だと判断して銃を抜いて、うった。

 銃弾がはじかれた。
 目と口がついても、見た目通り岩で、銃弾をはじくくらい固かった。

「やっかいだな……ってあれ?」

 更に撃つか、もっと他の方法で倒すかと頭を巡らせたが、モンスター達が動かない事にきづいた。
 他のモンスターもそうだが、おれが撃ったモンスター――実際にすわれるくらいの大きさの岩のモンスターでさえも動かない。

 目を動かして、こっちをジロジロ見つめてくるだけだ。

「これは?」

 振り向き、エミリーに聞いた。

「ダンテロックっていうモンスターです。アルセニックのダンジョンは全部こういう動かない岩のモンスターです」
「全部?」
「全部です、一番下の階まで」
「それじゃ倒し放題じゃないか――って、もしかしてすごい固いのか?」

 さっきはじかれた銃弾の事を思い出した。

「はいです。モンスターですけど、攻撃してこないから岩を壊すのと同じ感じで倒せるのです。でもすごく固くて、倒せる人は限られるです」
「はあ……なるほど」

 おれはモンスター……ダンテロックとやらを見つめた。

「攻撃はしないのか」
「はいです」

 エミリーは近づいていって、岩の頭(?)を撫でた。
 ダンテロックは怒ったような顔でじろりとエミリーを睨んだが、攻撃はしない。
 それどころか逃げる事すら、移動する事すらない。
 目と口がついててそれが動くってだけで、危険はゼロみたいだ。

「これにチャレンジするのです」
「チャレンジ? ああ、力Aになったからか」

 さっきの事を思い出した。
 レベルが一気に20まで上がったエミリーの力はAになってることに。
 もともと力はCで、エミリーの中で高い方だったが、このレベルアップで一気にAまで上がって最高の値になった。
 そうか、それでここに来たのか。

「やってみるですね」
「がんばれ!」
「はいです!」

 応援されて意気込むエミリー。
 130センチの体で、身長以上の巨大なハンマーを振りかぶって――たたきつけた。

 岩のモンスターが粉々に砕け散った。

「やったです!」
「すごいな、一撃で粉々か」
「全力でたたき割ったです」
「どれどれドロップは……これはタンポポか?」
「はいです」

 エミリーはドロップしたタンポポを拾って、満面の笑顔でいった。

「アルセニックは全部お花をドロップするです」
「全部花? モンスターは全部岩タイプだっけ」
「はいです」
「へえ……」

 岩を叩いて花をドロップ(生産)か。

「ちなみに果物だけのダンジョンもある?」
「はいです」
「そうか」

 おれはダンジョンごとに傾向がある事に気づきはじめてる。
 テルルはスライム系、ニホニウムはアンデット系、そしてここアルセニックは岩系だ。
 そしてドロップする物も多分傾向がある。テルルが野菜で、ニホニウムが例の能力があがる種で、ここは花だ。

「それなら野菜を生産するときはテルル、花はここアルセニックって棲み分けるんだな」
「はいです! でもでも例外もあるのです」
「例外?」
「テルルの17階はスイカがドロップされるのです。だから全部野菜じゃ――」
「あー、それなんだけどな」

 おれは気まずそうな顔をして、指摘する。

「スイカ、野菜だから」
「えええええええ!?」

 エミリーは死ぬほど驚いた。
 申し訳ない気がするけど。

 スイカは、野菜なんだ

     ☆

 その後、しばらくエミリーに付き合った。
 彼女は転がってる岩、ダンテロックを片っ端から割って回った。
 モンスターだけど、動かないから倒すって感じじゃなくて、割って回るって風に見える。

 割って割って割って、タンポポドロップしたりしなかったりして。
 ドロップ率が低いエミリーだから毎回ドロップとは行かないけど、それでも結構な数になった。

 割る効率はものすごく高い。
 途中で別の冒険者がやってきて、同じように鈍器で岩を殴るけど。
 あきらかにエミリーほど効率よくわかれない。

 他の冒険者が一つ割ってる間に、エミリーは5つ割る事ができる。

 まるで鉱山を掘り進めるかの如く、エミリーは生き生きと岩を割ってタンポポゲットして。
 この日、彼女の稼ぎは5000ピロくらいになって。
 エミリーは毎日、ここに定期的に通う事になったのだった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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