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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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129.ダブルレコード

 朝。テルルのダンジョン、地下一階。

 訳あって、ニホニウムじゃなくてまずはテルルに来た。

 エンカウントしたスライムを通常弾で倒す。
 撃ち抜かれたスライムははじけ飛んで爆発四散、その直後にドロップする。

 もやし、そして砂金を。
 両方拾い上げて、交互に見比べる。

 左手のもやし、右手の砂金。
 どっちもスライムからドロップされた、同時にドロップした。

 地下一階を回って、何匹か追加でスライムを倒す。
 ドロップは全部、もやしに砂金のオマケがついた。

 ドロップしたものを魔法カートでエルザのところに送ってから、地下二階に降りる。
 見た目はほぼ一緒の眠りスライムが生息する地下二階。
 テルル地下二階のドロップはニンジン、そしてまわりの冒険者が倒した眠りスライムからは間違いなくニンジン「だけ」がドロップしている。

 遭遇した眠りスライムを通常弾で撃ち抜くと、そいつはニンジンと砂金をドロップした。
 やっぱり砂金はあった。元のドロップに加えて砂金がオマケでついてきた。

「やっぱり精霊の加護なのか……」

 思わず声に出してつぶやいてしまう。
 砂金と言えばアウルム、そしてアウルムといえば昨日のキス。
 そしてキスと言えば――。

 ストレートにそこと繋がる様なことじゃないが、今起きてる出来事は間違いなく「加護」って呼ばれる様なものだ。
 アウルムにキスをされて、俺はモンスターを倒した時オマケで砂金がドロップされるようになった。

     ☆

 昼、ダンジョンでセレストを捕まえて、一旦外にでた。
 話があると人気のないところに移動し、アウルムの事を話した。
 最初は驚いたが、静かに話を最後まで聞いてくれた。

「なんでも砂金のオマケがついてくるようになったの?」
「何でもって訳じゃない、ダンジョンのモンスターだけだ。テルルでもアルセニックでも、ニホニウムでもオマケがついた。ニホニウムのはちょっとだけ驚いた」
「ダンジョンの……と言うことは……?」

 頷く俺。

「ハグレモノには出なかった」

 答えると、セレストはやっぱり、って顔をした。
 頭のいい彼女は俺の話からすぐに推測出来てたみたいだ。

「それはアウルム、あの精霊からもたらされた力なのね」
「おれはそう思ってる。だからセレストにききたいんだけど、過去にこういう例はあったのか? 精霊の存在は都市伝説レベルで知られてたみたいだけど」

 そう、初めてアウルムとあったとき、彼女からそんな事を聞いていた。
 非常に確率が低いが普通の冒険者が精霊のいる場所にたどり着ける可能性があって、それは実際にあったこと。

 冒険者やダンジョン協会からも似たような話を聞いた。ダンジョンの精霊は都市伝説レベルでは知られている。
 過去にも精霊とあった人間がいるのなら、精霊の加護はどうなんだろう。

 聞かれたセレストは腕を組んで首をひねり、考え込んだ。

「どうなのかしらね、精霊というのは非常に気まぐれという言い伝えならいくつか知っているけど、精霊にあったからといって加護を得られたというのは聞かないわ」
「ああ、気まぐれなのは何となく分かる」

 実際アウルムもそうだった。

「ごめんなさい、リョータさんの役に立てなくて……」
「いやいや、セレストが謝ることはない。情報が少ないのは仕方ない事だ」
「ありがとう……。でもすごいわね。何を倒しても砂金が追加でドロップしてくるのなら、リョータさんは今まで以上に稼げるということになるわね」
「砂金って言っても量は大した事じゃないんだ。直接アウルムのダンジョンで倒すよりも遥かに少ない量。オマケだな」
「そうなの……」
「一日フルでやって、稼ぎが倍程度になるってとこだな」
「すごいじゃないの!」

 突っ込みのような大声を出すセレスト。

「今までの一日の記録がたしか300万ピロなのよね」
「ああ」
「それの倍?」
「ああ、今朝同じ条件でチャレンジしてみたら様々な野菜プラス砂金で600万ピロの稼ぎになった」
「すごいじゃないの……」

 セレストは呆れ半分、感心半分って顔をした。

「リョータさんそのうち、一日で1千万超えるようになりそう」
「そうなるといいな」

 やっぱり1千万というのは大台的な数字。
 通帳の預金残高が1千万超えたときも嬉しかったから、一日の稼ぎがもし1千万超えられるのならやって見たい。
 今は多分むりだけど、そのうち、だな。

「実際に聞いてみた方が早いのではないかしら」
「……そうだな」

 セレストの言うとおりだ、アウルムの加護なのかとここであれこれ推測するより本人に聞いた方が早い。
 実際、アウルムとアルセニックはダンジョンレベルで精霊の加護の様なものがある。

 アウルムはドロップが増えて、アルセニックは常時モンスターが増える月殖状態だ。
 この二つはいずれも精霊本人にきいて確認している事で、アウルムも聞いた事を知っている。
 ならば人間にも加護がかかるのかを直々に話を聞くのが早い、と彼女が思うのも仕方ない。

 仕方ない、けど。
 俺は複雑だ。
 アウルムの加護が本当なら、その原因は俺にしたキスだろう。
 それを聞きに行くのはさすがに恥ずかしいし、何か違う気がする。

 何かもっと別の方法はないか、と考えつつセレストと帰路につく。

 屋敷の中に戻ってくると、やけに騒がしかった。

「何かあったのか?」
「エミリーの声ね、エルザの出張所の方から聞こえてくるわ」
「行ってみるか」

 アウルムの事を棚上げにする提案だが、セレストは何の疑いもなく同意した。
 俺たちはエルザに割り当てた、燕の恩返しの出張所に向かった。
 そこに声で判明した通り、エミリーとエルザの二人がいた。

「あっ、お帰りなさいリョータさん」
「お帰りなのです!!」

 同時にこっちに気づいてお帰りと言ってくれた二人だが、エミリーのテンションがいつになく高かった。

「どうしたエミリー、なんかいいことあったのか?」
「はいです! 私自己新記録をだしたのです」
「自己新記録?」
「一日の稼ぎの自己新記録ですよ」

 エルザが冷静に、でもやっぱり嬉しそうに補足説明する。

「なんと50万ピロですよ」
「すごいじゃないかエミリー!」
「おめでとうエミリー!」

 俺とセレストはエミリーを祝福した、エミリーはえへへ、と照れくさそうに笑った。

「しかし50万って、ずいぶんと一気に伸びたな。何かあったのか?」
「おじいちゃんのおかげなのです」
「おじいちゃん?」
「はいです。ヨーダさんから話を聞いておじいちゃんに転送部屋でご飯を届けてあげたら、お礼にすごい力をもらったのです」

 わくわくしたまままくし立てるエミリー、興奮しているため話が若干分かりにくい。
 が、今の俺はすぐにある事を連想出来た。

「エミリーにも……精霊(アルセニック)の加護が?」

 エミリーの顔はますますニコニコして、俺の連想が正しいのだと無言で答え合わせをしてくれたのだった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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