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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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「本当なのかイヴ」
「うさぎ、うそつかない」

 イヴは胸を張ってふん! を鼻息を荒くした。

「前組んでた人と一通り行った」
「あいつらか……」

 最初にイヴと出会った時の事を思い出す。
 イヴのかつての仲間たち、やたらガラが悪いのと、丁寧なのがいたはずだ。
 あの後「ダンジョン性の不一致」でチーム解消したらしいが、そうかあの時にシクロのダンジョンを踏破してたのか。

「でもでも5つってどの5つです? シクロはいま6つダンジョンがあるですよ?」
「え?」
「テルル、シルコン、アルセニック、ビスマス、ボーラン、ニホニウム。この6つです」
「そういえばそうだ!」

 ビスマスとボーランは名前を聞くだけでいったことはない。でも日常生活の中とか、買い取り屋とか酒場とかでのまわりの話でよく名前は耳にする。

「あとセレンもだな。あれも今はシクロの管轄下になってる」
「すっかり忘れてたです! そうです、セレンもシクロのダンジョンで合計7つなのです」

 俺とエミリーが一斉にイヴを見た。イヴはいつも通り乏しい表情のままた答えた。

「セレンとニホニウム以外の5つ。セレンは新しいし遠い、ニホニウムは何もドロップしない」
「なるほどな」
「でも意外なのです。イヴちゃんはニンジンの階層だけ行ってると思ってたです」
「そんな事ない」

 イヴはそう言って、部屋の中に入った。
 そのまま部屋の機能を使ってどこかに飛んだ。

「ど、どこに行ったですか?」
「さあ……?」

 訝しむエミリーとイヴを待った。
 3分位したあとにイヴが戻ってきた。

「イヴちゃん!」
「もうちょっと」

 イヴはそう言ってまた消えた。

「どうしたんだ?」
「今右手に黄色いものを持ってたです」
「黄色いもの?」

 そんなもの持ってたか?

 首をかしげる、一瞬の事だからよく覚えていない。
 しばらくするとイヴがまた戻ってきた――すぐにまた飛んだ。

「またいなくなったです」
「今度は俺にも見えた。右手に黄色もの、左手に緑のもの持ってたな」
「はいです」

 一瞬だったから何を持ってるのかまでは判別つかなかったが、黄色のが一回目に飛んだ先でドロップしたもの、緑なのが二回目に飛んだ先のドロップってことだな。

「黄色に緑か……次は赤とかくるのか?」
「どういう意味なのです?」
「信号機……はわかんないよな」

 首をかしげるエミリー。
 そういえば信号機ってどう見ても緑色なのに青って一般的にいうんだろうな。

 更にもうちょっと待つと、イヴが戻ってきた。
 持ち物が増えたのは赤じゃなく、また黄色だった。

「ただいま」
「バナナ……なのです?」

 小首を傾げるエミリー、小さく頷くイヴ。

「うさぎはニンジンだけじゃない、バナナもとれる」
「なんでバナナをチョイスしたんだ? バナナ好きなのか?」
「普通。ただ、バナナは今がブーム」
「ブーム?」
「バナナは人をアホにする。バナナを数えたときだけ人はアホになる」
「なんのこっちゃ」

 言ってる意味がよく分からなかった。
 そんなイヴは着ぐるみの中からニンジンを取りだした。

 まるでライダースーツの美女が胸もとから何かを取り出すのと同じ仕草だが、実際はうさぎのぬいぐるみからニンジンを取り出した。
 色気もへったくれもない――いやむしろこれでいいのか。
 バニースーツからニンジンを取り出したら色気がない上に下品にメーターが振り切れちゃうからな。

 ニンジンを取り出したイヴは、まるで数を数えるかのように口を開く。

「ニンジン、ニンジン、ばぬぁぬぁ!」

 ニンジンが一本、ニンジンが二本……と普通に数えていたのが、バナナの時だけ変顔になって声も裏返る。

「ニンジン、ニンジン、ばぬぁぬぁ! ニンジン、ニンジン、ばぬぁぬぁ!」

 イヴの言った通り、バナナを数える時だけアホになった。
 俺とエミリーはぽかんとした。イヴってこういうキャラだっけ?

「……冗談」
「そ、そうか」
「でもバナナは人間をアホにする力がある。バナナを夜食にするだけであら不思議、みんながアホになる」
「出来の悪いダイエット広告みたいな宣伝文句だな」

「イヴちゃん、そのバナナわたしに下さいなのです。ケーキを作ってみんなで一緒に食べるです」
「ん……ニンジンも」
「はいです、イヴちゃん用のキャロットケーキも作ですね」
「……ハーフ&ハーフで」
「ラジャーなのです」
「……」

 もしかして……ニンジンだけじゃなくてバナナも結構好きなのか?

「それじゃ卵と小麦粉と、あと砂糖を用意してくるです。せっかくだから新鮮なもので美味しいケーキを作るのです」
「それなら任せる」

 イヴは再び部屋の中にはいって、ダンジョンに飛んだ。
 ダンジョンと、転送の部屋。そこを数回往復した。

 するとエミリーのケーキ作りに必要な小麦粉や卵、それに砂糖、エミリーがいるといった食材が一式そろった。

「小麦粉や砂糖はいいけど、卵もあったのか」
「それは昔行ったことのあるマンガンの二階、ビッグフロッグからドロップしたもの」
「ビッグフロッグ……カエルか?」

 俺は卵を受け取ってまじまじとみた。
 ……。
 どう見ても鶏卵だよな、カエルの卵じゃないよな。

 エミリーは俺から卵を受け取って、パタパタと厨房に走って行った。
 後で美味しいケーキが食べられるみたいだ。

 新鮮な食材をあっという間に揃えてきたイヴ、そして転送部屋。

 俺たちは、シクロの全階層に一瞬でいける力を手に入れたのだった。
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■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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