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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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110.自己新記録

 無限雷弾をまた(、、)外してしまった。

 ニホニウムダンジョン、地下五階。
 ダンジョンスノーが舞う中、レッドスケルトンへの一撃がまたしても外れ、雷弾はダンジョンの壁に炸裂した。

「くっ……50%切ってしまった……」

 今朝は朝から調子が悪かった。レッドスケルトン相手に集計している命中率も初っぱなから外しての0%スタートで、今も50%をきったばかりだ。

 理由は分かりきっている……今もドキドキしたり、モンモンしたりしている。

 背後に回り込まれたレッドスケルトンに骨でガツンと殴られた。
 おれの後頭部にクリーンヒットしたそいつは赤い骨をカタカタならしながら笑った。

「な……めるなぁ!」

 ぐっと地面を靴底で掴んで、全身の筋肉をぐぐぐと力を溜めて、振り向きざまの裏拳。
 レッドスケルトンは超スピードで離脱するが、構わず踏み込んで裏拳をぶち当てる。
 頭蓋骨が吹っ飛び、ダンジョンの壁に当たる前に粉々になった。

 ドロップした種でMPを1あげて、ふぅ、と肺にたまった空気をまとめて吐き出す。
 降りしきるダンジョンスノーの中、頭をわっしゃわっしゃとかきむしる。

 不調なのはもちろんマーガレットが原因だ。
 昨日不意打ちでされたキスは未だにおれを悶々とさせている。

 こうして絶不調の中、普段よりだいぶ長い時間をかけて――最終的には命中率が40%を割って。
 昼休みまでずれ込む延長戦になって、どうにかMPをBからAに上げる事が出来たのだった。

     ☆

 午後、一人でテルルにやってきたおれだが、ダンジョンの入り口でマーガレットと遭遇した。

「待ってましたわ」
「待ってた?」
「はい、リョータの家に行ったのですけれど、家の人が午後はテルルにいらっしゃると教えて下さいました」
「ああ……うん」

 それとなく目をそらした。
 耳の付け根があつくて、マーガレットの顔をまともに見てられない。
 ドキドキして、昨日のキスを思い出してしまうからだ。

「そ、それより何か用なのか?」
「リョータの狩りを見学させて頂こうとおもったんですわ」
「おれの狩り?」
「はい。シクロにあまたいる冒険者のなかでも、今一番勢いのあるリョータの戦いっぷりを見学させて頂こうかと。わたくしもすこしは立ち回りを勉強しなければと思ったのです」
「立ち回りか」
「わたしが動けるようになる分、ラトたちも楽になるはずですわ」
「まあ、バリエーションは増えるだろうな」

 一口にフォローしてトドメを刺させるだけでも、トドメを刺す人間の力量次第でやることが変わる。
 攻撃力が高ければ削る分量を減らせるし、命中率が高ければいちいち拘束してる必要もない。
 マーガレットが強くなればなるほどやれる事が増えるのは確かだ。

「……向上心がすごいな」
「はい? いまなんて?」
「なんでもない。分かった、ついて来い」
「はい!!」

 マーガレットは満面の笑顔を浮かべて、おれと一緒にダンジョンに入った。

 テルルダンジョン、地下一階。

「感慨深いな」
「え?」
「いや、おれもここにやってきた時はマーガレットとほぼ同じステータスだったんだよ。ドロップは全部高いけど、能力は全部Fだったんだ」
「そうでしたの?」
「ああ」
「でしたら、わたくしもリョータのようになれるかしら」
「多分な」

 おれが強いのはドロップSで、ニホニウムがあるからだけど、期待感に瞳を輝かせているマーガレットに水をかけることもないだろうと思った。

 そうしつつ、狩りをはじめる。
 魔法カートを押して、ダンジョン内をすすむ。

 スライムが現われて、飛んで来た。
 そのスライムを手のひらで受け止めて、魔法カートの真上で撃ち抜く。

 通常弾がスライムを貫通・瞬殺する。ドロップしたもやしがそのまま魔法カートにはいった。

「すごいですわ、今のを一撃で」
「それと魔法カートの上で倒しただろ、あれでそのままドロップしたのがカートにはいって拾わずにすむんだ。スライムは弱くて余裕があるからこうやって効率を上げられる」
「そうでしたの」

 それと無限雷弾じゃなくて通常弾を使ったのも効率のためだ。
 最近わかるようになってきたけど、雷弾だと電気でモンスターを焼き尽くしてドロップするまで時間がかかる事がおおい。
 通常弾だと致命傷になったら貫通した次の瞬間にドロップするが、雷弾だと黒焦げに焼き尽くさない限りドロップしない。
 その分の――一体につき数秒の差だが、雷弾の方がタイムロスになる場合がある。

 無限で使い勝手いいけど、効率をとことんまで追求してタイムアタックのような事をする場合向かないのだ、雷弾は。

 マーガレットを連れて、スライムをひたすら倒して行く。
 倒して、もやしを魔法カートにいれて、また次を探す。

 ふと、おれは足を止めた。

「どうしたんですの?」
「もう少しのはずだ」

 首をひねるマーガレット。
 おれは銃を構えたまま少し待った。

 待つ事30秒、そこにスライムが新しく生まれた。
 瞬時に倒して、魔法カートにもやしをいれる。

「い、今のは?」
「モンスターの湧きポイントはある程度決まってるんだ。このポイントのスライムは5分ごとに一匹湧いてくる。ぐるっと回ってここもそろそろだっておもったんだよ」
「そんな事までおぼえてますの! すごいですわ!」
「慣れだ、ただの」
「他にも何かありませんの?」

 また感心するマーガレット。
 瞳を輝かせて、子供のようにわくわく顔でおれに聞く。
 その顔についこたえたくなる。

 おれは覚えていること、体感で身につけた事を全部彼女に教えた。
 実践つきでテルルダンジョンの効率のいい狩り方をやって見せた。

 その度にマーガレットは大いに興奮して、すごいすごいと言ってくれた。
 その表情は綺麗で、可愛くて。その二つがハイレベルで同居している表情だった。

 それをもっと見たくて、あれこれやって見せた。

     ☆

「すごかったですわ」

 夕方、テルルダンジョンを出て、マーガレットと一緒に街を歩く。
 一階から七階まで、順番でモンスターの倒した方、効率的なやり方とダンジョンの攻略法を実演した。

 マーガレットは終始大喜びで、おれはやった甲斐があったと思った。

「さすがリョータ、わたくしの王子様ですわ」
「おっ――」

 マーガレットのストレートな物言いに、おれはドキドキを思い出してしまった。
 彼女にいいところを見せたくてモンスターを狩っていた頃はすっかり忘れていたドキドキが今更ぶり返してきた。

 桜色の唇が目に入った。

 やばい、どうしよう。
 一度意識してしまうと、本人が目の前にいる分更にドキドキしてしまった。

「あっ、いたいた。おーいリョータ」
「え?」

 呼ばれて振り向くと、アリスの姿が見えた。
 彼女は手を振りながら、三体のSDモンスターを肩にのせたままおれの方に駆け寄ってくる。

「どうした」

 ある意味救世主の出現だ。ドキドキが少し収まって、アリスと向き合った。

「速報、多分知りたがってるから先に教えてきてってエルザに頼まれたの」
「速報?」
「うん!」

 アリスは大きく頷き、いつも通りの無邪気な笑顔でいった。

「おめでとう、今日の稼ぎ300万こえたよ」
「……おお」
「リョータの自己新だね」
「そうか越えたのか」
「すごいよね、一日に300万ピロも。なにがあったの?」
「え?」

 どきっとした、今までとちょっと違うトキッ、だ。

 アリスからマーガレットの方を向く、彼女はキョトンしている。
 分かってないのか、よかった。

 分かってしまうと恥ずかしさでもだえ死にしかねないとおもった。

 午前中は普段の半分以下の効率なのに、午後はマーガレットにいいところを見せたくて新記録をたたき出せたのは。

「なんだか分かりませんけど、おめでとうございますわ」
「おめでとう、リョータってやっぱすごいよね」

 本人にそう言ってもらえる事も含めて、ちょっとだけ恥ずかしい事だと思ったのだった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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