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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第1章〜葬る者〜】
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1-6・補佐からの要望


全てに絶望し

自殺しようと向かった線路で見知らぬ

謎の美少女に声かけられ、連れて来られたのは葬儀屋。


自殺願望者を更生させるという念の葬儀者で

自分は更生者(ターゲット)にされて、自殺願望者から抜け出す事が提案。

……どうしてこうなった。


最初からの計画は狂い、

いつの間にか葬儀屋のアルバイト員になっていたとは。


しかし。

フィーアからの提案に、一瞬は拍子抜けしたが後々考えれば正論だった。

一応の仕送りも大学の学費がメインで生活費は微々たるモノ。

生活費なんてない。キリキリの生活を送っている。

バイトでも始めないと思っていた矢先の事だった。


現実に引き戻され、色々と考えてみれば

フィーアからの言葉は正論そのもので、アルバイトとして採用された。

しかし機密の会社故に口は堅くする様に言われたのは覚えている。



「じゃあ、貴方の個人情報をクライシスホーム名簿に入れてくるので」




そんな中、風花が中座してから、

フィーアて名乗る少女と二人きりになってしまった時

圭介はフィーアからもう一つのお願いごとを任されていた。



「実は、お願いがあるんです」

「はい?」


神妙な面持ちで言うフィーアに、圭介は息を飲む。


「今日から葬儀屋の一員として採用させて貰いますが

圭介さんには葬儀以外。もう一つして欲しい仕事があるんです」

「……なにを?」


フィーアは真剣な面持ちで、眼差しを送る。

神秘的な真紅の瞳に、少し緊張し息を飲む。



「風花の、監視人兼教育係です」

「え?」


圭介は拍子抜けする。



“監視人兼教育係”?



あの少女の監視、教育をするという事。

だが。それなら目の前の少女が姉の様な存在ではないか。


「ならフィーアさんが………居るじゃないですか?」


反論を返してみると、

フィーアは一瞬だけ目を丸くして、後に目を伏せた。

まだあどけなさが残る神秘的な美貌は、綺麗で言葉を失ってしまう。



「私は一緒に暮らしていて

そんな役割りの様に見える人間でしょうがそれではまだ足りないんです。現に今その役割りの人間が一人居るのですが

その人だと滅茶苦茶になって…。何より風花が苦手意識を持っています。


入ってきたばかりの

新参者の圭介さんなら、大丈夫だと思うんです。

あ、ですがこれは誰でもない“わたし”からの提案であり要望です」



フィーア個人の提案なのか。何故、こんな提案をするのか。

にしては初日から、色々と有りすぎやしないか。


そもそも年頃の

自立した少女の監視人だなんて、何故居るんだろうか。


「その………どうして監視人兼教育係が居るんです?」

「それは……まあこれから見て納得されると思いますが、

実を申しますと、風花はある日から心を閉ざしています。


あの子は淡々と仕事をこなすだけで。

人慣れをしていないんです。


この会社は狭いですし、

風花の限られた人間関係しか知りません。


少しでも心を開ける誰かと交流を……をと。

あの子が心を開いて、話せる相手が必要なんです。一人でも。


あともう一つ

風花は、ああ見えてとんでもない破天荒者です。

目を離して消えた隙に何をするか解りません。

だから、監視人兼教育係が必要なのです。


だから……お願い出来ませんか?」



(まあ、あの少女は掴めないだろうな)



フィーアの言う事にも納得出来る。

目を離した隙に何をするか分からない____というのも。

現に目を離した隙に、少女は自分をここまで、引き連れてきたのかもしれない。


まるで懇願する様な眼差しと面持ちを送られ色々と考えた後に

フィーアの頼みに、圭介は断れなくなる。


「なら、分かりました。やります」

「ありがとうございます。じゃあお願いしますね」


ミステリアスな雰囲気の、不思議な少女。

そんな表向きのフィーアからの事情を聞いて

まだ何かあると思うが其処は首を突っ込まないでおく。


圭介はフィーアの願いを承諾した。



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