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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
第二部・危機に踊り狂う者
88/120

1ー5・忘れられない少女の存在



実家が花屋だったことを知ったのは

クライシス・ホームが閉じられてからの事だった。

母娘で生活の生計を立てる為に、花屋を始めてからもう7年は経つ。



花が好きだという娘の意思を尊重して、ジェシカは花屋を建て直した。


フィーア_____芽衣は、今では花屋の看板娘だ。

その気立ての良い人柄からは好かれていて、商売は繁盛している。

ただそのお人好し過ぎる優しさがたまにはキズになるが、

今ではジェシカを引っ張る必要不可欠な存在だ。




芽衣は、あれから献身的なリハビリに励み

歩行出来るまでに回復になり、性格は更にしっかりと、温かみのある優しい女性に成長した。


柔らかで温かみのある美貌は

磨きがかかり、すっかり大人な顔立ちになっている。


「_____でも、どうして送り出したの?」

「…………なんだか、風花を思い出してしまったのよ」


カウンターに背を預けながら、芽衣は視線を伏せた。

風花。7年前に理由もなく黙って消えたあの妹の存在だった様な少女。


「風花に助けられた頃、部屋から出れない私に

彼女は花を飾ってくれたの。同じじゃなくて、持ってくる度に花は種類も色も変わっていた。


あの子の話を聞いたら、風花を思い出して

おまけしてしまったの」

「そうだったわね……」


しんみりとした空気が流れる。

母娘の脳裏に浮かぶのは、あのミステリアスな、北條家の娘。

彼女には教えられたものばかり。


「…………私は、風花に花の一輪も返せなかった」



(貴女にはして貰うばかり。私は、何も返せてはいなかった)


突然消えた恩人の少女に

怒りさえ覚えたが、同時に自分は何も出来なかったのだと思い知った


次にもし再会出来たのなら

見返してやると、驚かせてやるとリハビリに勤しんだあの日々。


けれど、後悔は消えない。

風花の事は、何年経った今でも忘れられなくて、心に存在の影を落とした。





(___貴女は、どんな姿になったかしら)


ジェシカは思う。

芽衣が26歳になるのだから、一つ年下の風花も立派な女性として成長している事だろう。




音信不通になり

連絡すら取れないけれど、風花はどうしているのだろう。

北條家にいるだけで心配だけれど、今は祈るしか出来なかった。




数話表記が間違っておりました。

申し訳ありません。

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