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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
第二部・危機に踊り狂う者
84/120

1ー1・懺悔の青年

お久しぶりです。

そしてお待たせしてしまいました事を申し上げます。


これからは

前回から7年経過したお話です。

新章になった事に従い、第二部とさせて頂きます。


よろしくお願い致します。


平凡と言えば、平凡だったのだろう。



祖父母の言われた通りに大学を卒業。

卒業間近になると周りは就活で頭を悩ませる人々が続出する中、圭介は一人だけは安泰だった。


なぜなら

会社の計らいによって、大学時代はアルバイト扱いになり

大学卒業後は正規雇用の就職者として、北條家葬儀屋の従業員として迎えられた。


あの少女の贈り物。

風花には会わないけれど、圭介はこつこつと真面目に働いた。

自分が就職に着けたのは、彼女の推薦のお陰なのだから。

言えない感謝の代わり、彼女の顔を潰さずにせめても恩返しになるようにと。

ただ、それだけを思っていた。


圭介は変わっていない。

淡々と仕事をこなしては、真面目な成果を残す。

けれど昔、一度は自殺を考えた青年の動作は、

それは時に人形の様にも見える。





_____がむしゃらに生きて、気付けば、7年が経過していた。



時折にして

全てがぼろぼろになり明日すら見えず、

線路の前に立っていたあの頃を思い出す。


今の圭介に自殺願望はない。

日々の慌ただしさに追われ

それすら思う暇はない程にスケジュールは満杯のせいか。

過去に覚え染み付いた全てに諦観を覚え、絶望を抱いたせいなのか。


時折にしてそれを不思議にすら思うのだ。

あれだけ全てを断ち切り終わらせていたい、と思っていたのに。



(実際、命を絶とうとした、筈なのに)



何故、自分は生きているのだろうか、と疑問に思う事がある。



惰性か。

それとも、単に今の生活に慣れてしまったからか。

それとも“絶望してしまったら、全てがどうでもよくなる”という、かつて少女が言っていた通りか。


今が目眩めまぐるしく、忙しい反面

大学時代のアルバイト、そして就職に就いてから、

圭介は真面目そのものであった。

若手ながら既にベテランと呼ばれるキャリアを確立していたのだ。


勤務態度も真面目、愛想もそれなり。

勤勉家で容姿端麗で顔立ちが端正のベテランの若手青年に、

文句を言う人間はいないに等しい。



だが。

圭介の“出身“を知っている上者は少なからずにいる。

それ故に上司の噂話は絶えない。


『北條家の孫娘に使えていた人間』

『北條家の孫娘のコネで入社出来たのではないか』

『北條家のお嬢様に取りついたノミ』


煙の無いところに火は立たぬ。

時に謙遜、嫌味にも聞こえるその言葉を、青年は聞かぬふりをする。

新参者の様で、北條風花に関わっていた人間だという事実に代わりない。

実質、コネで就職出来たというのも否めないのだから。

青年が何も言わず知らないふりをしている事を言い事に付け上がり、噂は盛り上がった。



7年が絶ちクライシスホームが消えてから、北條風花とは疎遠。

風の噂によれば更に才色兼備な女性となり、美しさにも磨きがかかっているのだとか。

今では重要な北條厳造の右腕的な存在らしい。


(どんな、姿になっているのかな)


正直なところ、

北條家の孫娘を脳裏に思い浮かべない日はなかった。

7年という月日に加え成長期、それに特に女性は磨かれて行く。


あの頃、既に美少女だったのだから

風花は更に美人となっているだろう。

あの我が道を行く彼女の事だから変わってはいないだろうが、

時折にして、気掛りでもあった。


(どうして、風花の事が頭から離れない?)


もう七年の歳月が経ったというのに。

彼女の事は、鮮明に色褪せる事もなく脳裏に焼き付いている。


彼女の身元が心配だ。

酷い仕打ちをされていないか。

そして最後に、あんな酷い言葉を吐いてしまった事を

圭介は、今でも悔いている。


だがらこそ

圭介は、風花に会わない。


一瞬、会いたく感じた自分自身を圭介は嘲笑った。



(__今更、どの面を下げて合わす顔がある)



自分は、彼女を傷付けた。

傷心だらけの彼女に、自分が出来たのは傷を増やした事だけ。

今更、会っても何にになる?


会ったとしても

彼女の気分を害するだけと思って会わなかった。

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