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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第7章~苦悩の先に待つもの~】
83/120

7ー12・抹消




クライシスホームに、足を向い出た。

廃墟同然の地下室。


其処は立ち入り禁止の札が貼られていて、足を踏み入れる事も出来ない。

無人と化した場所は、今度こそ本当に寂れて様に見え、圭介は言葉を失い思う。

___居場所は無くなったと。








衝撃の少女からの贈り物を貰ってから、数日。

少女からの贈り物を跳ね返す事もなく、かと言えど感謝を述べる間も与えられず

圭介は風花の申す通りに従い、北條家の本社へ就職を決めた。


「長野圭介さんですね。

なんとも、以前は風花お嬢様のボディーガードをしていらしたと」

「…………はい」


本社の面接官も、圭介の事を知っていた。

圭介の存在も、圭介がクライシスホームで何の役職に就いていたかも。

風花のボディーガード、付き人、会う人によっては様々な意見が割れる。


(___所詮、名前だけだ)


“北條風花の”と言われる度に、形見が狭い。

確かに役職はそうだ。自殺しようと日に、風花に連れて行かれフィーアからそうなる様に任命された。

けれど、それは役の名前だけで、中身を果たしたのかと聞かれればNOだ。

自分は何もしていない。最終的に、傷心の少女に傷を増やしただけだった。




かと言え、

北條家に行くのも、少女に会うのも気が引けた。

クライシスホームを畳んだのも機会が良すぎる。風花は怒っているだろう。

暴言を吐いた自分に会いたくも、顔も見たくないだろうに。





青年は傷を増やした事を深く引き摺り、少女への感謝の代わりに平静を装った。



(____ごめん。風花)



圭介の中にあるのは、懺悔だけだ。






夕方。

空は、茜色に染まる夕暮れ。

不意に線路の方へと足を向い、寸前で立ち止まる。

あの日は身近に感じていたのに、今はなんだか無性に遠く感じた。


西へ沈む琥珀色の太陽が見えて、手でさえぎりながら目を掠める。

此処は忘れもしない。自分が死のうとして求めた、死に場所だ。


線路、遮断機の前に立ち止まった瞬間

“あの日”の記憶がデジャウとなって襲い、脳裏を占領した。




(___死ぬのね)




死のうとした瞬間。少女に声をかけられた。

謎めいた少女にのこのこと付いて行ったあの日。

振り返ってみれば無性に、懐かしく感じる。


もう、少女はいない。

此処に、居るのは自分だけだ。


突然ですが

ここで、第一幕、終了となります。

長いお付き合いありがとうございました。



さて。クライシス・ホームは続きますが、

次回からはどうなるのでしょうか。

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