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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第7章~苦悩の先に待つもの~】
73/120

7ー2・懺悔と

新章の段取りがなかったこと

申し訳ありません。



ルームシェアと言っても、

アパートの間取りは広かったので、一つ部屋が余る。


深夜、

誰もが寝静まった空室の部屋で、風花はひっそりといた。



「……………………」


小さな仏壇。

その前に差し出した小さなショートケーキ。

それを置くと風花は視線を落とし、呟いた。


「………18歳、おめでとう。直斗」



理不尽な理由で、命を奪われた少年。

日付が変わって今日は__3月6日。

風花と、直斗の誕生日だった。



忘れない。

小さな少年の誕生日を。

毎年小さなショートケーキをだけを買い、形のない彼を祝うのは風花にとって大きな懺悔と、純粋な気持ちでの少年への祝いだった。

もう18回目の誕生日かと内心、驚く。

あれから、もうそんなに年月が経過していたなんて。

だから、自分の心にある虚しさも段々と膨らんでいくのか。




本来生きていれば、自分と同い年。

どんな姿になっているだろうか。


(____きっと、

貴方は変わらずに、青年になってたよね)


答えが返ってはこない。

でも、問いかける。


純粋で優しかった兄。

自分は彼に甘えて頼りっきりで。追ってばかりで。

彼が消えてしまうまで、ずっと一緒だった。



直斗が、生きていれば。



そう考えて、風花は自分を憎んだ。


何を考えているのだろう。

自分のせいで直斗は死んだ。

誰でもないこの自分が幼き兄を見殺したのだ。



息が詰まる。

兄を思うと、この申し訳無さを懺悔と呼ぶのか。

5歳で亡くなってしまった直斗よりも18歳の自分はもう随分と大きくなったのに。


(___私は、何も変わっていない)



臆病で、

北條家に穢れていくままで。

自分の時は、直斗が死んだ瞬間から止まったみたいだ。

直斗は今の妹を見たら、なんと言うだろうか。


(………………)


自分自身を許さない。

だから。自分自身を祝おうなんて気持ちは更々ない。

風花は自分が生まれた日を軽蔑し、誰にも祝わせない。

罪人である自分が、祝われる立場でも権利もないだろう。



もう彼はいない世界で自分は、生きていくしかないのだ。__この世界で罪悪感に胸に抱いて生きていくこと。

それが何よりの懺悔なのだから。


それに、直斗を殺した

あの男の孫娘だという立場には、一生居座ってやる。



(___ごめんなさい。

でも私は、北條家当主を束縛し続けるわ)







日に日に心の整理が着くと共に、心は冷めていく。

冷静になりつつあるフィーアの心は変化をもたらしていた。ジェシカ_自分の母親を罵倒した事、後悔する。

そして、思ってしまった。


(………風花が、羨ましいだなんて)



自分がいない間

ジェシカは、風花を自分の代わりにしていた。

風花は目をかけられ、ジェシカが傍に居たこと。それが少し羨ましく思ってしまう自分がいる。

解っている。風花は北條家に振り回されている不幸な人間だと。


無い物ねだりだと解っている。けれど。

様々な感情が入り交じりぐちゃぐちゃになった気持ちで、今が整理出来なかった。



けれど何故

自分は、母親と生き別れたのか。

どうしてあの地下室で過ごしていたのか。


何故か分からない。

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