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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第1章〜葬る者〜】
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1-4・クライシス・ホーム2 〜衝撃的な本当の意味〜


この丁重な少女は、あちらのミステリアスな少女とは違い好意的そうだ。

フィーアと名乗った少女は圭介と風花の顔色と表情を見比べてから


「なんだか困惑している様に見えます。

その…私語を挟んですみませんが、貴方を連れてきた風花から聞いたことは?」


物腰低く、伺ってくる少女。

どうやら自分を此処まで連れてきた少女は、風花というらしい。

今まで最小限の事しか話さなかったせいか、ミステリアスな少女の事は全然何も知らない。

圭介はフィーアという少女の方へ視線を向けると困惑混じりに


「いや…葬儀屋と聞いて驚いたばかりなんですけど…」

「それだけですか? 他には?」

「……特に」


そう答えれば、フィーアは唖然とする。

そして風花という少女の方へ険しい視線を向けてから


「……風花。貴女って人は…」


と悲観した。




(___俺は、何しに来たんだろうか)



そんな疑問を持ちながらとりあえず、圭介。

机を挟んで向こうは風花とフィーアが対面式に座る事になった。

まるで試験の面接を受けにきたかの様だ。見知らぬ少女達に監視されているせいか、自棄やけに緊張する。




「とりあえず

遅くなりましたけれど自己紹介させて貰いますね。じゃあ…」

北條(ほうじょう) 風花(ふうか)。一応この組織の責任者です」


北條 風花______それが此処まで自分を連れてきた少女の名。

彼女はノートを広げペンを持ち、ただ淡々と重要な己を語るのみだ。

フィーアは慣れているのかシレッとした冷めた眼差しを彼女に送っている。

そして圭介の方へ真っ直ぐ、迷いのない視線を向けると


「先程申しましたが、私はフィーア・トランディーユ。

このクライシスホームの責任者でありトップ・北條風花の補佐兼助手です。

どうぞ、よろしくお願いします。


今から始まるのは面接だと思ってくださいね。

簡単に我々の組織の事を。そして貴方の自殺までの経緯を

聞かせて下さい」


そう言って、補佐兼助手の少女は微笑んだ。

やはり面接だ。






フィーアが言うには、

北條家という一族が経営しているのが、この代々続く葬儀屋だと言う。

それも事実だがこのクライシスホームは、北條家と連帯していて

"死にたい"と思った人が来る場所だと、


そして圭介を止めて、此処まで連れて来た風花は

自殺を図ろうとする人間を見つけてこのホームへと誘う人間だそうだ。

その面接と"ある事"で自殺願望者がどうするか…というのを考える。

……らしい。


どうやら

話すまで解放してくれなさそうだ。

少女二人に見張られ逃げ場がないと悟った圭介は、降参した。



自分の素性を全て話した。洗いざらい全部。

その話をフィーアが真剣に聞き、隣にいる風花はそれらを

一切、何も語らずに、圭介の経緯をただノートに書き記していく。


「そうですか」

「…………」


フィーアは、一通り話を聞いてから視線を伏せて言う。



「クライシスホームは今まで人々を変えて来ました。

でも人の生き死には私達が強制し、決める事じゃない。


ただ自殺も罪の一つ。

短時間此処で時間を過ごし、自分を見つめ直す機会を与える場。

……やっぱり、風花の見る目は長けていた様です。

今回の更生者(ターゲット)は貴方だった。


これから此処の現状を見詰めて考えを変える力がある。

貴方はどちらかと言うと職員の方に向いていると思います」


「……それは、どういう事ですか?」

更生者(ターゲット)となりながら、此処で働いてみる興味はありませんか?」

「はい?」


「簡単に言えばバイト。

葬儀屋のアルバイトしながら、自分を探す機会。どうでしょうか」

「____はい?」



フィーアの言葉に、圭介は拍子抜けした。







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