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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第6章~それぞれの苦悩の果てに~】
61/120

6―2・曖昧な応え、事実の答え



「………っ」



祖父が、しっかりと目を開けて自分を見ている。

一瞬、感情が後退りして、背中が凍り気が引けた。

厳しかった祖父。あんただの、感情が赴くままに溢した言葉は祖父にとって言語道断だろう。

けれど今更、口にした言葉をひっくるめる事は出来ない。


だが、言葉を吐いた以上

張り倒されるか罵倒されるに決まっている。

ごめんなさいと言おうとした時、気付いた。


祖父の変化に。

祖父は口を動かして、何かを伝えようとしている。

唇の動きの変化をただ呆然と見詰めながらも、それを冷静に読み理解する。


___圭介、すまない。




___すまない?



本心で言っているのか。

あれだけ、ぞんざいに扱ってきた孫に向けて?

受け入れられない。嘘にしか聴こえない。


静かに立ち上がると、圭介は背を向け

仮眠のソファーに返った。






___クライシス・ホーム事務所。



夜番を言って、風花は事務所に居座っていた。

彼女は酷く張り詰めた目の前の封筒を見詰めている。

疑ったら切りがないが、“これを”見れば全てが決められるだろう。


酷く張り詰めた気持ちで、封筒を開けた。


封筒の中身は、DNA鑑定の結果が同封されている。

内緒でフィーアとジェシカの抜け落ちた毛髪を採取して、DNA鑑定に出した。

DNA鑑定に出せば確実だ。



自分が疑うフィーアとジェシカの関係性も

そして何よりもフィーアの自分自身を知りたい

という願いも果たされる事になるだろう。


ただ

これが決定となれば、二人は…。


中身を取ると、結果に目を通す。




対象者

ジェシカ・オガワ(44)

フィーア・トランディーユ(19)


血液型:A型

確率:99%以上


“同上の結果により、

ジェシカ・オガワ、フィーア・トランディーユの

母子関係肯定(成立)とする”




一瞬、脚が震えた。




(__想像と同じ結果だった)



風花は、絶句して壁に持たれかかる。

これで確定だ。ジェシカとフィーアは本当の母娘だった。

ジェシカの娘は死んだのではなく、生きている。……それがフィーアだったなんて。

生き別れの母娘が、こんなにも近くに居るなんて。


疑ったのは、自分なのに。

けれど示された真実はあまりにも残酷に見えて

無意識の内に風花は項垂れた。

これをどうすればいい。






(___嘘だろうな)


気が重い。

祖父の口から読み取った言葉が信じられず悶々としている自分の心とは反対に世界は無情で、眠れないまま、朝を迎えた。

顔を洗おうと洗面台の前に立つと、鏡に自分が写った。


ボサボサの髪。

酷く窶れて、疲れた顔。目元には隈が出来ている。

自他共に認めるであろうとてつもなく、酷い顔を水をかける。



(___嘘だ。

___あれだけ、人をぞんざいにしてきた癖に)


今更、なんと言っても受け入れられない。

自分は末路を迎えるから、自分は悪くないという弁解だろう?

所詮は嘘吐きで、自己満足の人間の癖に。


どうして、そんな事が言えるのか。

聞きたくなかった。嘘だとしても、そんなこと。








自分を拾って助けてくれたジェシカ。

何も言わずにそっと優しくしてくれるフィーア。

本当は__二人共、風花にとっては大切な人だ。


(……そうよ。敢えて知る必要なんてないわ。

今まで通りに過ごせば良いのよ。今更、事実を覆すなんて止めましょう……)


………傷付けたくはない。

ならば、これは自分の中で葬って仕舞おう。




圭介と風花って似てるなと思うのは私だけでしょうか。

いよいよ、終盤に差し掛かるクライシス・ホームです。

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