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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第5章〜少女達の攻防戦〜】
59/120

5ー12・疑い



ウェーブのかかった髪を丁重に解かしていく。

同居人の少女の髪に櫛を通しながら、風花はジェシカとの会話で浮かんだ言葉が気がかりになっていた。


『__娘さん、どんな人だったの?』

『そうね__物静かでだったけれど好奇心旺盛で。

ただ体が弱くて心配が絶えなかったわ。娘はね、アルビノだったの』


(………アルビノ?)


それは

今、自分が髪を解かしている少女と同じだ。

生きていれば風花と同じくらいの年頃に成長している筈で、それも目の前にいる少女と一致するのだ。

フィーアの年齢は不確かだが、表向き19歳になっている。

あの話が正しく、本当ならば…。


まさか。

一瞬そう思って、考えをかき消したが。



(___フィーアが、ジェシカの娘?)


そんな

ジェシカの亡き娘は____

交通事故で父親と一緒に命を落とした筈。

フィーアの生い立ちからも関係性は見られないが。



だが気にも留めないけれど、

アルビノやジェシカが娘と別れた時期が一致するのだ。

もしこんな偶然が、必然になってしまうのなら。

本当ならば。



そう深く思い込みに浸っていた時、

ふと着信を告げる携帯端末に気付き、ハッとする。



「……ごめんなさい、ちょっと失礼」


櫛を置いて、携帯端末を確認すると

着信は電話。相手は__長野 圭介だった。

どうしたのだろうかと思いながら、通話ボタンをスライド。通話を取る。



「はい」

『………風花、今大丈夫?』

「………なんともないわ。どうしたの?」


少女の声音が突き刺さった。

圭介は淡いランプ、その光りに手先を置きながら視線を落としながら、重くなった口を開いた。



『……暫く休暇が欲しいんだ。少し不都合な事が起きてさ』

「……それは構わないけれど」

『そっか。ありがとう』


休暇が欲しい。

今はそうとしか言えない。

少女が深く追及してこない事が幸いだった。

暫く休暇を取り都合が付いたら連絡する、と言ってから圭介は電話を打ち切った。



「………圭介さんから?」

「………うん。休暇が欲しいと。理由は言わなかった」

「一体どうしたのかしら?」






無機質な機械音だけが、静寂な病室に響く。

圭介はソファーに横になると、どっと疲れという名の重さが押し寄せてくる。

短期間で、色々と有り過ぎた。

否、最も今が自分にとっては面倒な事なのだろう。

先が見えない。



第5章、終了です。

中篇予定としていましたが、長くかと思います。

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