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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第5章〜少女達の攻防戦〜】
54/120

5ー7・法螺吹きは事実

法螺吹き(ほらふき)。


重い話になっていきますが

ご了承ください。



フィーア・トランディーユ。

嘗て、自分と同じ立場だった、風花が助けた薄幸の少女。

彼女が北條家に来てから使用人によって強姦された?


そんな事は、初耳だ。

フィーアは只ただでさえ、過酷な人生を歩んできた。

牢獄に閉じ込められ、日常的に暴力の生活の果てに、脚を失った。





「……暗い顔ですね。貴方も」

「………っ」


下から湧いてきた声に、圭介は驚く。

視線を向けると普段の穏和な何処か違って、何処か物憂い表情をしている少女が青年を見上げていた。


“貴方“も”?

一瞬だけ、少女が言った言葉に心の中で首を傾げた。

しかしその言葉の意味を尋ねていい状況ではなさそうだ。


「……何か、ありました?」

「……まあ」


フィーアは鋭い。

相談出来る相手も居ないので、

圭介はこのモヤモヤした気分の原因を話した。



「……そうですか。華鈴が」

「……はい」



気不味く、圭介は頷く。

フィーアは冷静に、また北條家のお嬢様が風花の対人関係を邪魔しに来たんだろうと半分呆れていた。

同い年にも関わらず風花が大人びたせいもあってか、華鈴が余計に子供っぽく映って仕方がない。


華鈴が風花に見せるのは嫉妬心だけ。

端から見て大人げないというのか。聞く度に呆れる。



「……あの、フィーアさん。一つ良いですか」

「……ええ」


華鈴に言われて、気になっていた事。

けれど事が事。それ故に彼女を刺激して傷付けてしまうだろう。

それは避けたいけれど。

口籠った圭介に、何かを察したフィーアは言う。


「圭介さん。遠慮は無用ですよ。

華鈴に言われて何か、気になる事があったんでしょう?」

「………」


(………図星だ)


この少女には、隠せない。

圭介は腹を括り、躊躇いながらもフィーアに向けて口を開く。


「……予め謝ります。ごめんなさい

この話はフィーアさんを傷付けてしまうだろうと思います。

…………華鈴に言われたんです。風花を信用するなと。


勿論、華鈴の言葉通りにするつもりはありません。

フィーアさんから任された風花の教育係兼監視人なんですから。

華鈴が信じるなと言われても、僕は風花の味方です」


フィーアは、圭介の言葉を聞いたが(やが)


「長い前置きですね」


とだけ言った。


「圭介さんの心構えは良いものでしょう。

風花の味方で居てくれて役割を果たすのなら、私は何も言う事はないのですから」


フィーアの怖さは知っている。

もしも今、風花を裏切りを働いたとしたら、

フィーアには半殺しでは済まない程の怒りを受ける事になるだろう。


「………ただ、華鈴に気になる事を言われたんです。

「気になる事とは?」


圭介は躊躇いの後に、振り切って呟いた。



フィーアさんが………

北條家に来てから、強姦を受けたと聞きました」

「……………………」


圭介の一言に、

フィーアは目を見開き呆気に取られた顔をする。

その瞬間、圭介は後悔した。傷口に塩を塗る様な真似をしたと後悔する。


(やっぱり、口を出す事ではなかった)



途端に流れる沈黙。

圭介は身を竦めていたが、フィーアは違った。




(___華鈴が、知っていたの?)



驚きを隠せない。まさか。

ジェシカと自分しか知らない、あの事を吹き込むとは。

フィーアは唇を噛み締めた後で言った。


「………圭介さん、それは本当です」

「__じゃあ」

「……でも事実ですが、本当であって本当じゃない。

北條家にいた頃、強姦を受けたのは、私じゃありません」



自分の過去と自然と照し合い、それが混じった。


辛い。心が締め付けられる。



けれど。話さないと。





「……強姦を受けたのは__私ではなく風花なんです」



華鈴が言ったのは、

フィーアではない。風花の方だ。

きっと華鈴は風花を蹴落とす為に、自分が強姦されたと言ったのだろうが、違う。




青年は、愕然として絶句した。


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