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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第5章〜少女達の攻防戦〜】
53/120

5ー6・少女たちの思い

すみません、

最後、言葉が過激な点だけご注意下さい。



直斗のこと

自分が生き続ける限り、忘れない。

否、直斗が生きていたという事実を、直斗を殺めたあの男に知らしめる為に、自分自身も北條家に居座り、表向きの孫娘としての立場に執着しているのかも知れない。


(…………)


許さない。


自分も、あの当主も。






「風花?」


澄んだ声に尋ねられて風花は、我に返った。

ふと見れば、目の前には自分が両手を繋いでフィーアは立っている。

そうだ。フィーアのリハビリに付き合っていた最中だったか。


(………気を抜いてはいけないのに)


風花に手を引かれ、フィーアは歩いていた訳だが

風花が立ち止まったままなものだから、ずっと立ち竦む状態で止まっていた。



地下室の廊下。





「………あ、ごめんなさい」

「良いけど。……それより顔色、悪いわよ? また貧血?」


ぐい、と繋いだ手を離して、

フィーアは風花の顔を包んで、心配そうに凝視する。

その刹那。赤と黒の瞳が、視線が交わった。


彼女の表情は変わらない。

いつも通りに何処かぼんやりと読めない顔色をしている。



(………大丈夫かしら)



“あのショック”から立ち直ったみたいだが、

気は抜けない。クールそうに凛と強気な姿勢を見せていても

元は名の如く花の様に繊細な少女なのだ。


あの本当のお嬢様は、自分が脅しておいた。

思っていたよりも効果があって、華鈴は暫く風花に近寄らないだろう。

……それも、ただの短い時間薬だが。


(………なるべく長目に、聞いてくれれば良いのだけど)



直斗の代わりは出来なくとも

風花の姉代わりになれるのなら、良いと思ってきた。

だからこそ風花を邪魔して、傷付ける人間は誰一人許さない。


風花のリハビリは、優しいが何処かスパルタ式だ。

そのお陰でゆっくりとだが、自分は地に足を付け自力歩行が出来るまでに回復した。

この少女に出会わなければ、絶望仕切っていた自分は再び歩き出す事も、こう穏やかな気持ちで過ごせる事もなかっただろう。






珈琲の、苦い味が口に広がる。

ごくりと飲み干した後で壁に背を預け、圭介は華鈴の事を思い出す。

風花が現れた途端に、華鈴は逃げた。

見付かったら不味いと言わんばかりに。


_____ただ。



「何か用があるのかな、俺に」

「ええ」


なるべく避ける様に圭介は呟く。

しかし華鈴ははっきりとそう言い微笑んだのだ。

彼女曰く、自分に忠告だそうな。




「ねえ、風花に近寄らない方が良いわよ」

「どうして?君こそ、風花に近付かない方が良いんじゃないか」


一刻も早く帰りたい。いや、帰らせておくれ。

会いたくなかったが、このねちねちした少女をはね除ける事は出来なさそうだ。

圭介は諦めて華鈴に視線を向け、問う。



圭介の問いに、華鈴はくすっと笑う。

あの少女の立場も評価も落とせるのなら、手段なんて選ばない。

自分の事を棚に上げて華鈴は風花の事をずっと恨み、嫉妬してきた。

だから、風花が乗降する姿なんて見たくない。



「あの子に近付くと危ない目に遭うの。

知らないかしら。ジェシカは風花を連れてきてから

孤児みなしごを連れてきた女』って陰口を言われて来たし」



華鈴が言っている事は、大方は虚言で嘘。

『聞く耳を持つな』とフィーアから重々、言われている。

だから少女の妬みと戯言だと思い


「もう知ってるよ。北條の事情は全部な。

じゃあ、こないだのあれは何だったんだ?

風花ではなく君が蒔いた種じゃないか」

「…………っ」


華鈴は、むくれた。

よりにもよって何故、居心地悪い案件を出してくる。


「ふん。あれだってね。

風花が自分で蒔いた種なの。あたしは犠牲者よ。

あの子にあたしは、北條家の立場を奪われたんだから。

寧ろ、同情してくれない?」

「同情は、強要されてするものじゃない」


軽く耳を傾ける程度に聞いていなかった。

華鈴は、自分の祖父が風花の双子の兄を殺めた事は知らない。

全ては自分から立場を奪った嫉妬心から、風花を許せないらしい。


自分勝手な思惑。



(身の程知らずの、被害妄想だな)



だが。

一つ、気になる事を言われた事、以外は。


「風花の犬ね。でもあの子を信じたら裏切られたも同然よ?」

「なんとでも言え。人を陥れる人間は好きじゃないんだ」



酷いだろう。

けれど彼女とは付き合いたくはない。

だから、敢えて素っ気なく冷たい言葉で返した。


(この人も、フィーアと同じなの!?)



華鈴は怒りを感じた。

フィーアを思い出す。圭介の態度はフィーアと一緒。

即ち、風花側の人間になるという事を証明しているのだから。

どうして、誰も自分を選んでくれないのだろう。


衝動が走る。

華鈴は、ある事を口にした。




「いい事を教えて上げる。フィーアがいるでしょ?」

「ああ」



「あの子ね、実は北條家に来てから___」



強姦されたのよ。


その瞬間。

そう聞いて、ぞっとした。



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