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クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第4章〜残酷への旅路〜】
42/120

4-8・永遠の傷

【最初に警告】

この回は残酷描写があります。

この回の話はそれだけなので、苦手な方はお戻りください。

(間が空いているのはそのせいです)






































見たら、いけなかったのかも知れない。

その確証となる証拠を見た、あの光景は今でも鮮明に焼き付いて忘れられない。

その瞬間。自分の存在すら否定する風花になったのは。


自分が跡継ぎに決まってから、すぐのこと。

兄の姿が見えなかったからか、風花が直斗を探しに行った時。

義理の祖父の部屋にいると分かってから部屋に入ろうとした瞬間に

風花は絶句して、目の光りを失った。


何かが振り下ろされて、凄い音がする。

義理の祖父が少年に向け、何かを少年に振り下ろして

その瞬間に少年から血飛沫が飛び始め、少年は呆気なく倒れた。



畳は赤色に染まり。部屋の一面、血の海。

その血溜まりの真ん中に項垂れ横たわっているのは、双子の兄。


「……直斗…?」


風花は呆然として、名前を呼ぶ。

ふらりとした足がゆっくりと、血溜まりへと近付き少女は座り込んだ。

座った途端にスカートの裾が、靴下が赤に染まっていく。


揺すっても、揺すっても。兄は反応しない。

ただ力なく項垂れているだけ。


「直斗…直斗……!! こっち見てよ…お兄ちゃん…」


涙を流しながら、何度も名前を呼んだ。

けれど風香の腕の中で項垂れるだけで微塵も反応しない。


実兄を抱えたまま、涙目で風花は上を見上げる。

其処には、片手に振り下ろした金属バットを持った義理の祖父。

金属バットの先には血が付いていた。少年の血が。厳造は冷ややかに見るだけ。


「……どうして」

「……どうして? 後継者はひとりでいいからだ。

後継者が決まった以上、子供は二人も要らない。

風花、お前が北條の後継者と選ばれた以上、直斗は要らないに過ぎない。

当然の判断を下したまでだ。私を憎むでない。それは筋違いだ」

「…………」


夢だと言ってくれ。

これは夢だと、もうすぐ覚めるから。もう覚めてくれ。



「……………っ」



風花を追ってきたジェシカも、口元を押さえて絶句する。

風花に駆け寄ってからその惨状と厳造が直斗を殺した事を知った。

風花は全てを見ていた。見てしまった。みるみる少女の目が絶望に浸されていく。



「どうしてこんな事を……!!」

「ジェシカお前も風花と同じ事を言うか。私は当然の事を下したまで」

「私は言いましたよね。二人の面倒を見るから、兄妹一緒に居させて欲しいと。

後継者の件と引き換えに幸せに暮らせる様にして欲しいと。なのに……!!」

「何を戯言を言うのだ。最初から決めておった。双子のどちらが相応しいと決まれば双子のうち、どちらかがこうなる運命だと。もし直斗が決まっておれば風花は抹殺するつもりだった」



その瞬間に、風花の中である感情が生まれる。



(……自分が選ばれたから?)



自分が選ばれなかったら、直斗は死なずに済んだ?

殺されずに生きて居られた?


自分のせいだ。

自分が選ばれたから、直斗は命を落とした。

じゃあ全てが間違いだったんだと気付いた瞬間に、絶望に落とされた。

自分にはもう誰もいない。




直斗の葬儀。

実兄の遺影を抱えながら、風花は北條家への憎しみと自責の念に駆られる。

全てを失った少女は、本当の北條家の後継者として生まれた。


己の感情を喪うと引き換えに_____________。

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