表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クライシス・ホーム  作者: 天崎 栞
【第4章〜残酷への旅路〜】
41/120

4-7・過去と、知らなかったこと

ここから風花視点です。



あの日の事は鮮明に覚えている。

孤児院が燃えて、誰もが混乱する中 兄に手を引かれて火の海の建物を逃げ出した。

燃え盛る建物をただ怯え孤児院の庭で寄り添いながら隠れて、二人過ごす。


助けてという声が錯乱する。

誰かが探し回って、火の海に飛び込んでいく。

燃え盛り続け 煙りが出ている建物は黒焦げになって面影が無くなって行った。


どうしよう。もうお家が、思い出の場所が消えていく。

風花が怯えているのに対し、直斗はただ大丈夫と妹と励まし続けた。

救急隊が駆け付けた後で建物からは遺体が運び込まれていくのを、二人は見る。

恐る恐る建物に近付いてから双子は脱落して悲しみに暮れ始めた。


どうしようか。

そう思った時、幽霊の様に徘徊している女性を見つけた。

知っている。この孤児院に居た人。


不意に彼女と目が合った時、彼女はハッとして此方に駆け寄ってくる。


「あなた達、大丈夫!?」

「………………………」


こくりと頷く。

すると彼女は双子の身なりに怪我がないか確認してから

『お姉さんと一緒に行きましょう』と手を差し伸べて、手を繋いだ。

しばらくは考え込んでいたけれど何かを思い付いた様に孤児院から歩き出した。

彼女に手を引かれながらも最期、形の留めていない孤児院の姿を見て去っていく。


ある程度の道のりを歩いて連れて来られたのは、大きな日本屋敷だった。

彼女は何かを知った素振りを見せているけれど、屋敷の人は驚いている。

そりゃそうだ。知らない子供が二人連れて来られたら誰でも不思議に思ってしまう。

遠くのお部屋に連れて行かれ、其処にはおじいさんがいた。


気難しそうな、不機嫌な顔ををした老人。

おじいさんは驚いていて、彼女は何かを話し始めた。


『養子縁組』

『奇跡とも呼べる孤児院の生き残り』


そうか。みんな死んじゃったから。生き残ったのは自分達だけ。

彼女は土下座をして、自分達を置いてくれる様に頼み込んでいる。

その姿が印象的で少し申し訳なくて。



結局、引き取られる事になった。

けれどこの家には仕来たりがあるらしい。代々続く葬儀屋の家。

その跡継ぎに自分達を選んで決めるという事だった。



けれど。その座に選ばれるのはひとりだけ。

選ばれたひとりだけが、跡継ぎになる。そういう決まりだった。

どちらが相応しいか。その"品選び"に付き合わせられること。

……まるで椅子取りゲームだ。



仏壇の前で拝まれるお経。

泣きながら死んだ誰かを見送る人達の姿。

葬儀屋の現場に立ちあわされて、その現状を見ていく日々が続く。


直斗は貰い泣きしたりしたが、風花は微動何一つ動かなかった。

意味は分からない。ただ風花の心は何事にも動き出さない。


『葬儀屋の人間たるもの、静かであれ』という当主の念。

厳造から見て風花は肝の座っている人物であるとされたのだろう。

やがて_____________。



『風花、北條の後継者はお前だ。お前が葬儀者としてこの家を家を継ぐのだ』



風花が選ばれた。

次期当主として育っていくのだと承知した上で

これから北條家の人間になると思う反面、兄とは一緒に暮らせると

思っていたその考えが間違いであった事を知ったのは、最期のあの日____。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ