3-7・懺悔と、立場と…
「次は終点です」
車内アナウンスが流れてハッとする。
次で降りなければと思いながら、其処には窓の外を見ると灰色の空だけが
ぼんやりと見えていて他は窓を着く大量の雨粒で外は見えない。
バスの窓に叩きつける雨音。
天気予報を察して二つ分持って来た傘。
孤独な少女はどうしているのだろうか。
圭介はそんな心配を覚えながら、バスがバス停に着くのを待っていた。
雨は止まない。
風花はふらりと立ち上がる。
そして墓に向かって心の内で問いかける、其方に行っては駄目なのかと。
当然返事なんてこない。きっと相手は怒っているだろうから、許されないこと。
せめてこの世で、"北條 風花"として縛られながら生きる事が懺悔かも
しれないと風花は心の隅で、諦観を抱いていた。
そんな時。
こつり、と後ろから足音が聞こえて視線を向ける。
(_____________会いたくないのに)
濃い口紅の色が見えてくる。
年に見合わない派手な井出達の少女が此方を見ていた。
彼女は人を蔑む様に嘲笑を浮かべながら、やがて声を上げて笑い出す。
「あっは、不様ねえ〜!! 北條家のお嬢様がそんな井出達で…」
「………華鈴」
分家の少女が此方を見て笑っている。
自分が笑われるのも蔑まされるのは、どうでも良い。
けれど咄嗟に墓を庇う様に風花は手を広げて墓の前に立ち塞がった。
そんな彼女の様子に眉を潜めて不機嫌そうな面持ちをした後で華鈴は
「なによ。まるであたしが悪い事をするみたいじゃないの」
「そうとは言っていないわ。……何故、関係のない貴女が此処に居るの」
「関係のない? 一体どの口が言っているのかしらね? それはこっちの台詞よ。
貴女の方こそ自分の立場を弁えたらどうなの? 本来はこの場所に入るのも
許されない部外者の癖に北條家の人間素振りの大きな顔して!!」
「……そんなつもりはないの。ただ私は…」
懺悔に来ていたの。
言葉にならない声でそう訴えかける。
「当然の事に来ただけよ。私は。
この事だけについて、とやかく言われるつもりはないの。それに___」
この言葉だけははっきりと、口にした。
「それに、この家がした直斗と私に受けた仕打ちは許すつもりはないわ」
風花の言葉にプライドの高い華鈴は傷つき、カッと来てしまう。
冷静に風花がそう言った所だった。
「風花!!」
青年の声が聞こえたのは。
少女二人揃って、圭介の方へ振り向いた。




