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世界を大きく動かす人々、の裏方

作者: 神成泰三

世界を大きく動かす人々の裏方、それは世界の権力者達が自国にとって障害になる問題や人物、邪魔者を消し去るために秘密裏に設立した機関や組織のことをそう呼ぶ。各国の権力者達は、誰にもバレていない、完全な秘密組織を自国だけが設立できた、そう思っているのである………だが、実際は違う、各国の秘密組織は互いにコンタクトを取り合い、これまた秘密裏に会合を開いて今日も今日とて談笑を楽しんでいるのである。


「待て、それ儂の仕事じゃないじゃろ、アメリカの若造」


お気に入りの白いフェドーラ帽を深めにかぶり、蓄えた白いヒゲをなでながら葉巻を吹かし、しかめっ面でそう話すのはロシアの秘密組織のボスだ、彼らは組織の名前も自分の名前も明かさない、言うまでもなくそれは秘密組織だからである、故に彼らは互いの名前を好きなように呼ぶ。


「いやいやこれはお前の仕事だよボケ老人、お前がやらずに誰がやるんだ」


この界隈で中で一番若々しい男は、アメリカの若造ことアメリカの秘密組織のボスだ、この界隈でいつも面倒ごとを提示し、各国の秘密組織を巻き込んで解決しようとするが、頼りになる人物である。


「年寄りをあまり働かすでない、儂は孫の結婚を祝うために世界一豪華な結婚式を執り行う予定なのじゃ」


「ああ、あの白豚みたいな孫か? あいつジジイ早く死なねえかな、とか呟きながらキャバクラでボケ老人名義で領収書切って豪遊してたぞ」


「なんじゃとおおおおおおおおおおおおおおおお! あのビチグソがぁぁぁぁぁぁぁ!! シベリアで強制労働じゃああああああ!」


ボケ老人は血管が千切れんばかりに激昂し机をバンバン叩き始めた。そのうち死ぬんじゃないか、と皆心配している中で、一人だけパソコンと対面する疲れたサラリーマンのようなメガネが一人、日本の秘密組織のボスだ。


「おいメガネ、てめえパソコン以外友達いねえんか、少しこっちを向けや」


アメリカのボスの一言にメガネは一度溜め息をつくと、カタカタっと軽くキーボードを打ち、電源を消して顔を正面に向けた。このメガネ、根が真面目であり、休日返上、年中無休で働き通す仕事人間であり、メガネサイボーグと裏で呼ばれているほどだ。だが、メガネサイボーグと言われてはいるものの、彼にも人間らしさがある。その性格のせいでメガネの奥さんが出て行った時は、抜け殻のようになってしまい、メガネを励ますのが大変だった。


「失礼ですね、別にパソコン以外にも友達はいますよ」


「そう言う事が言いたい訳じゃねえよ、仕事ばかりしねえで話に入ってこいって言ってんだよ」


「仕事? 別に仕事なんかしてませんよ」


「はあ? じゃあ何やってんだよ」


アメリカのボスの問に、メガネはやれやれといいながらパソコンの電源を入れ、何かをクリックするとパソコンの画面をアメリカのボスに見えるように向けた。三秒後、うわ、と思わず声を上げてアメリカのボスは目線をパソコンから逸らした。


「おま、お前ェ…………それ今やる必要あるかぁ?」


「ええ、いつでも嫁の顔を見たいですからね」


メガネが一人パソコンを弄ってやっていた事………それは、世に言うギャルゲーである、メガネは妻と別れてからと言うもの、ギャルゲーにのめり込んでいってしまったのである。因みに今攻略しているキャラは明美、と言うらしい。


「いやはや全く、日本人は未来を生きてるなぁ、バーチャルなんかに恋して楽しいのかい?」


この会合の場で一人ワインを煽り勝手に飲み始めるほど自由な金髪ロン毛が一人、メガネを哀れな目で見ながら言った、彼はフランスの秘密組織のボスであり、この界隈で一番女癖が悪いたらしである。その女癖の悪さが原因で、一度この会合会場の場所がバレかけた事があるほどで、一体どうやって秘密組織のボスになったのか不思議な物である。


「ほっといてくださいヒモ男、現実の女性は煩いし喚くし癇癪を起こすし、兎に角もう凝りました、それに比べて二次元は素晴らしい、年は取らないし小じわはないし会いたい時にはすぐに会えますし、もう欠点がありません」


「なんたか説明を聞いているこっちが悲しくなってくるねぇ、あとヒモじゃないからね」


以上、この四人全員が会合のメンバーである。いつもこのようなだらけた会話をしているが、皆秘密組織のボスである。ちゃんと仕事もする。この中には仕事が原因で死んでしまった者が一人いるが、それはまた別のお話。


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