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俺、異世界なう。~理系男子徒然日記~  作者: 糖類ゼロ
第3部:生活向上活動編
33/51

第31話:炉の新設と、作業員募集。

荷物をガロさんの家に置いて研究室に戻ったあと。

お伺いを立てるため、俺は兄貴に念話を飛ばした。



《兄貴さぁ。ガロさんの敷地に高炉を新設したいんだけど、兄貴の実家のほうの職業訓練場から、人員を見繕ってくれないかなぁ? もしくは可能ならだけど、俺が直に面接って出来る?》

《お前はいつもいきなりだなオイ!》


うん、兄貴ったらナイスリアクション。


《そうか。その話だと、雪白だけでは人員が足りなかったみたいだな?》

《ああ。雪白さんとの二人作業じゃ、高炉製作は無理っぽくて。土木工事、なめてたよ。資料を読んだら、必要数の煉瓦を作るのに最低あと二人は欲しいかなって感じで…》

《人員はせっかくだし、就職難な方面から採用してもいいかなーと思って》

《なるほどな》


兄貴の声色からするに却下はないかなぁ? …と、推測する。


《ところでお前、ガロに許可は取ったのか? 他人様の敷地だぞ?》


そうですね。うん、当然ですよね。

個人宅に高炉建てるって、ブッ飛んだ計画だし。


《ああ、その話なら…。興味深いからやれってさ。ダメ元で訊いたら、あっさりOKでた。ガロさんスゲェと思ったよ、あの人凄すぎ》


なんか、はぁ、という嘆息が聞こえた。

やっぱり、人員獲得は無理かなぁ?


《…とりあえず、親父に訊くだけ訊いてみるわ。この話はあくまで内密に。表向きにはだからな?》


おおー。一応訊くだけはOKなんだ!

ありがとう兄貴!


《そこは了解》

《じゃ、暫く待ってろ》

《はいよ》



俺は兄貴との念話を切ると、風呂で汗を流してから寝床に入った。




- - - - -



翌日。


今日の起床は少し遅めになった。

手軽に食べられるものを屋台へ買いに行き、買ってきた全粒粉パンの焼き肉サンドをもぐもぐ食べながら、資料を鞄に入れて出掛ける準備をする。

準備も終わり、ガロ宅に行く前に雪白さんの住んでいる兵舎へ向かおうかな? と思ったところで、兄貴が来た。


「おはよう、兄貴」

「ああ、おはよう」


「あれ? 雪白さんも?」

「おはようございます、ソーマ殿」


扉を開けると。

そこには兄貴と雪白さん、そして浅葱色の鱗を持つ大柄な蜥蜴人族(リザードマン)の男性と、灰茶色の髪を団子に束ねた俺とさほど変わらない背丈の人間族の色白の女性が居た。


「おはようございます。兄貴、こちらの方々は?」


言うと兄貴の拳が頭に落ちた。


「何をアホなことを言っている?」

「適性から何人かに打診して就職の希望を聞いた結果、この二人がお前の手伝いをすることに決まった。こちらの蜥蜴人族(リザードマン)が鍛冶研修修了生のクログさん、女性が陶芸研修修了生のサリアさんだ」


「クログと申す。よろしく頼む、ソーマ殿」

「わたしはサリア。 よろしくお願いします、ソーマ様」

「いやいやお二人ともこちらこそ宜しくお願いします!」



遅まきながらの挨拶で恐縮しつつ、俺は言葉を返した。


不意打ちとなる、まさかの翌朝回答。

兄貴の家、仕事が早すぎない?

普通夜に案件が食い込んだら、翌日以降に回すよね?

ウォーカー家のフットワークの軽さに驚かされると同時に、有能さが怖いと思ってしまった。


きのう兄貴が言った“内密に”とは、目立ちすぎるとウォーカー家を快く思わない勢力から色々な妨害や謀略が向けられるのが面倒だからだろう。

くだらない案件で貴重な時間を潰されるのって、イラッとするしね。



早速ということで。俺たちは互いに自己紹介しながら、ガロ宅に向かった。


「クログさんは鍛冶、サリアさんは陶芸なんですよね? サリアさん、陶芸というと俺は食器とか壺とかをイメージしてしまうんですが…実際、どんなことしてましたか?」

「そうですねぇ…」


サリアさんは、あごに手をあててちょっと考える素振りを見せる。


「食器や壺も作りますが、日用品として煉瓦や炭焼きもしますね。焼き物は全般的に修練してきました」

「なるほど。幅が広いですねぇ」

「それがウォーカー様の指針でもありますので。陶芸家の先生方に指導して頂けて、ありがたく思っています」


「クログさんの鍛冶はいかがで?」

「某の鍛冶も、日用品が中心で御座いますな。農具に包丁、鉈に斧。製錬に使う木炭も自ら作りまする。刀剣の類いは師に禁じられていた故、打ったことがありませぬ」

「うん、それでいいと思うよ。しかし…。二人とも、木炭作れるんだ…」


「どうぞ、宜しくお願い申しまする。ソーマ殿」

「よろしくお願いします! ソーマ様」


「あぁ。二人とも、改めてよろしくお願いしますね!」



そんなこんなで歩いているうちに、ガロ宅に着いた。

勝手知ったるで裏庭にまわると、ガロが鍛冶作業をしていた。


「おう、大所帯でどうした?」

「あ、ガロ。どうもこんにちは。こちら鍛冶の新しい作業仲間です。高炉は大掛かりなんで一人じゃ無理なんですよ」

「そうか。上手くやれ」

「はい。よろしくお願いします」


何ともドライな会話だが、これがガロ流。もう慣れた。


「それでは皆さん、さっそく耐熱煉瓦を作りましょうか。粘土は準備してあるので」


新しい炉が欲しいかなと思ってから近所を探索したところ、ガロさんの家から少し坂を下ったところに、地層が露出しているちょっとした崖をみつけた。

削ってみたら綺麗な粘土層があることが分かり、思わず小躍りした。

片道10分という好立地に見つけた採掘場に興奮覚めやらぬまま粘土を集めて焼いてみたら、赤熱した鉄の温度に負けないそこそこよい感じの煉瓦が出来た。

大量の耐熱煉瓦の確保に目処がついたので、俺は高炉建築作戦を考えた訳だ。



初弾として、ガロ宅に運んでおいた約300キロ分の粘土を、捏ねて捏ねて空気を抜いて、前もって作っておいた型枠に嵌めて成形していく作業を皆でやり始めた。


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