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俺、異世界なう。~理系男子徒然日記~  作者: 糖類ゼロ
第1部:異世界転移編
3/51

第1話:異世界でも身分証明は大事です。

予約なしのLIVE投稿です。出来立てホヤホヤです。

誤字脱字はしていないと思いますが、発見しましたら指摘のほど宜しくお願いします。


追記:細かい日付を設定しました。(2014/09/03)

太陽が一番高い位置にあるころ、俺はアンナに連れられて、ローレンツ侯爵領の中心地である街、ローランディの街中を歩いていた。

そこかしこから、売り子の威勢のいい声が聞こえてくる。その様子は、初詣の参道や夏祭りが思い出されて懐かしい。


兄ちゃん、野豚の串焼き買ってけや! と屋台のおっちゃんが俺にアピールしてきたが、財布も使える金も持ち合わせていないので、後で絶対に食いにいく! と返事してからその場を立ち去った。



「アンナ、ローランディって街、すごい活気だな~」

『それは当然ですよ。40万の人が住むローレンツ侯爵領の中心都市ですし、今日は10月青の一番の日(10月1日・日曜日)。秋の大祭ですから!』

「なるほどね~。この人の混みよう、祭なら納得だわ」



うんうんと頷く俺を余所に、アンナは『はい、神殿に着きましたよぉ~』と、ギリシャ風の白い建物の入り口で、俺をおいでおいでしていた。




…アンナ、やっぱりお前…マイペースすぎ!






――――――――――






建物に入ってみると、ホテルのロビーを感じさせる内装は、純白の漆喰で綺麗に仕上げられている。

壁に灯る光源は、真珠のような光沢に揺らめく不思議な光を放っていた。


『こんにちは~! エメラルダおばちゃん、いる~?』


厳かさとか信心深さとかはどこへやら、かなりフランクな感じで巫女さんと思われる人の名をよぶアンナ。

…なにそれ。…アンナ、恐ろしい子!



『まぁまぁアンナちゃん、今日はどんな用事かしら?』



階段をゆったり下りてくる、白いローブに身を包んだ女性。この人がエメラルダさんらしい。

ふくふくとしていて、邪悪など、彼女に近づいたら気に当てられて即浄化されてしまいそうだ。


そんなエメラルダさんに、アンナは俺の事情をかいつまんで説明した。




「はじめまして。俺、ソーマ・ヴォルフマンっていいます」


『はじめまして、ソーマさん。わたくし、この神殿の長をしていますエメラルダと申します。アンナちゃんの話からすると、まずソーマさんには個人情報の照会をしていただくのが最善手かと思います。個人情報の検索にはプライバシーが関わるので、奥の部屋で手続きを行いますが…ソーマさん、よろしいかしら?』



「ええ、特に問題ないです。むしろ前知識よりプライバシー管理がしっかりしているみたいで驚きです」



では、さっそく始めましょう。

俺はエメラルダさんに個室を案内され、情報を視てもらうことになった。






――――――――――




サトー(佐藤)ソーマ(蒼真)・ヴォルフマン】


種族:平行世界Ⅲ太陽系地球人 [真人(ヒューマン)]

性別:男

年齢:17 [アルナイル新暦217年 7日7日 生]

身長:184cm

体重:86kg


固有技能:不明

獲得技能:不明

所有アイテム:軽ワゴン車(アイテムボックス) [状態/一部損壊]




――――――――――





…うん。…平行世界ってなんだ。

そして若返ってるのは何故なんだ。

文字、バッチリ読めるけどナニコレアルファベット(地球の文字)じゃないよね?!

軽く頭痛がして眉間を押さえていると、エメラルダさんが遠慮がちに慰めてくれた。

平たく言えば、お気の毒に(ドンマイ)、といった感じで。


エメラルダさん曰く。この世界の言語が読めるのは“俺という存在”がこちらの世界に対して、普通の転生者や転移者とは掛け離れた、恐ろしいほどの順応性を持っているから、らしい。

俺は固有技能も獲得技能も不明と出たが、普通の人だと情報は明快に出るはずなのだが、全く不明というのは相当レアなケースにあたるようだ。

エメラルダさんはこの状況にかなり悩んでいた。


しかし俺にとっては、『愛車が所有アイテム判定=少なくともこの世界に愛車が存在する』ということになるわけで、この一点の情報だけでも精神的にかなり救われた思いだった。




しばらくすると秘書?らしき人がエメラルダさんにカードのようなものを渡した。

エメラルダさんが、得られた情報から俺の個人情報カード(IDタグ)を作成したとのことだ。


『こちらがソーマさんの身分証明になります。資産の入出金や物品の取引、労働契約関係、役所での手続きなど、こちらが必要になりますので紛失しないでくださいね。紛失した際には、有償での再発行が必要ですので注意してください。詳しくはこちらの説明書をお読み下さい』

「なるほど。日本でも銀行カード(ATM)とか運転免許証(個人証明カード)とか色々あったんですけど、それと同じように扱えるわけですか」


『だいたいそんな感じですね。無償でなくて申し訳ないのですが、ソーマさんには緊急時の生活費援助が受けられる権利があります。返済期限は1年なのですが…どういたしましょうか?』

「それは嬉しいですよ! ぜひお願いします!」


ありがたいことに、無一文の俺には当面の生活費が必要だろうからという話になり、エメラルダさんは転移者救済制度というものから5,000Ы(ビル)を支給してくれた。

5,000Ыというのは、慎ましく生活すれば1ヶ月程度生活出来る金額だそうだ。




俺は銀貨3枚と小銀貨3枚、黄銅貨5枚を受け取って、個室を出た。



ロビーに戻ると、据え付けられた柱時計の短針は、2を指していた。


1時間ほど手続きをしていたわけだが、腹が空いたのでアンナを誘い、先程のおっちゃんの屋台へ行き、野豚の串焼きを2本買って食べた。

一串あたり小銅貨5枚、つまり10Ы(100円)

初めて、異世界のお金を使った。




3時を過ぎて、明るいうちにザルツ村へ戻るにはそろそろ出発しないと、という意見がアンナから出たので、3時半の馬車に乗ることになった。

行きはアンナから乗車賃を出してもらったが、帰りは自分で支払った。85Ы(850円)だった。


残高は…4905(49,050円)か。

節約しないとな…という思いに耽りつつ、ザルツ村まで馬車でガタゴト揺られていった。


…で。

酔いそうです、この乗り心地の悪さ。






早く愛車と再会したいですなぁ、やっぱり日本がいい。






補足:


1Ы=10円:小銅貨

10Ы=100円:銅貨

100Ы=1,000円:黄銅貨

500Ы=5,000円:小銀貨

1,000Ы=10,000円:銀貨

5,000Ы=50,000円:小金貨

10,000Ы=100,000円:金貨



60秒=1分

60分=1時間

24時間=1日

7日×4週=1ヶ月

13ヶ月=1年=364日


○○の○の日、のような表現での日付の示しかたは、後々書いていくと思うので、とりあえずこんな雰囲気だぞ、という感じで宜しくお願いします。


追記:冬至祭→秋の大祭 に、変更しました。

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