第20話:副産物だって大事です。
銅の巻のまとめになります。
短いですがよろしくお願いします。
銅の精錬の後。
5日ほど、鉱床からの鉱石の採取と精錬についての報告書を仕上げるのに時間を費やした。
概要→目的→手法→実験→結果→考察→総括…というレポートのテンプレートに基づき、ちまちまと書いていく作業、これが苦行だった。
手法。
まさか、岩盤を爆破して鉱床を丸ごと選り分けた…なんて書けない…!
やっちゃったけど、サンプルの採取がザルすぎで、科学的論文としては致命的欠陥が多すぎる。
『鉱床、ダンプカー1台分』
なんて、論文に書いたらまず投げ捨てられるよね?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
陽極泥から分離して得られた貴金属は、研究所所長のサインを貰って、王立の貴金属・宝物管理局に現品と関連書類を提出した。
貴金属類の違法取引を監視する目的の部署ということでものものしい名前がついているが、建物自体はコジャレた宝飾品店という装いだ。
俺は、ガラスの小瓶に入れた豆粒大の金銀プラチナをカウンターに置くと、受付のお姉さんを呼んだ。
『あら、いらっしゃい!』
「どうも、いつもお世話になってます」
「今回は、新しい手法で金属を精錬しまして。精錬手段に魔法以外も採り入れたんで、副産物に貴金属が得られました」
『あらまぁ。鉱山はどちらに?』
「火竜の山に近いほうで…」
『…火竜!?』
「あぁ、火竜はラギィっていうんですがね、兄貴の知り合いですんで大丈夫です」
『ああ、彼の知り合いなら…』
『…大丈夫でしょうね』
微妙そうな顔をしているお姉さんを余所に、俺は話を進めさせてもらった。…兄貴、どんなイメージで扱われてんだろう? …ま、いっか。
『ところで、こちらは新しい金山や銀山からの採取になりますか?』
「いいえ、銅と鉄の鉱床からです」
『銅!? 鉄!? 全然違う鉱脈じゃないですか!』
そうでしょうそうでしょう。
魔法で精錬するとピンポイントの素材しか採れないのですよ。
だがしかし。魔法はあくまで補助として化学的に精錬すると、色々採れるのです。
『普通の鉱山でも、小金貨や小白金貨が出来るレベルで採取できるものなのですね…』
「そうなのですよ」
『ちなみに、精錬に使った鉱石はどのくらいの量でしたか?』
「だいたい、このフロアが埋まるくらいです」
『…えっ?』
「このフロアぶんです」
『冗談ですか?』
「いや本気です」
頑張ったあげく、貴金属が豆粒ひとつ分。
これを高いとみるか安いとみるか、人次第だろう。
実績証明として書類と貴金属を預かってもらい、管理局を後にした。
☆ ☆ ☆
見積り内訳:
小銀貨相当…5,000円(Ы)
小金貨相当…50,000円(Ы)
小白金貨相当…500,000円(Ы)
合計…555,000円相当(Ы)
話数がずれていたので修正しました。
(2015.01.15)




