第19話:ソーマ先生の化学講座。~銅の巻〜
投稿間隔がすごい(笑)
短めですが、銅の巻の続きです。
高校生必見。中学生は予習予習。
次の日は、雨だった。
晴れていたら水槽の中身の処理の続きをやろうと考えていたが、実験場は炉やら何やらで基本的に開放空間なので、行きたくない。冬季の気温を考えるに甲信越より寒くはないこの国だけど、かなり肌寒い。
いつも実験場兼用の鍛冶場で作業しているヴェズ氏とガド氏だが、タイミングの悪いことにここ数日のあいだ、遠出で不在にしている。
炉に火の気がないと寒いから、実験場の不快指数(?)が跳ね上がるという訳で…。
行きたくないんだけど…
仕事だからいかなければ。
実績査定のお給料だから、頑張ってレポートを量産して稼がないと、ラギィさんによるエンゲル係数上昇を押し留められないのですよ…
おかげさまで、実績作りは体力戦になってますがね。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
さてと、実験場に到着。
最初に取り掛かるのは、ボロボロに成り果てた粗銅マットの回収。
軽くなったから、ラギィさんが居なくても持ち上げられる。楽勝楽勝。
ひとつひとつ水で洗浄して、地面に敷いた毛皮のマットに置いていく。この辺はけっこう雑な扱いで…いいや。折れても問題ないし!
次に、陽極の下に沈澱したもの…つまり陽極泥を採るため、反応槽の中の硫酸酸性水溶液を【流体操作】の魔法で移動させていく。
魔方陣も併用してるから、安全なんだよ?
失敗は…百回に一回か…いや二回?くらいだよ?
水溶液の移動も無事おわり、陽極泥を手製のトンボでかき集める。両手に山盛り一杯は採れた!
こちらには金銀プラチナなど貴金属が含まれているから、イェーネンさんに精製してもらう予定。彼に頼めば間違いがないからね。
陽極泥をガラス瓶につめたら、次は水溶液の処理でございます。
魔法でまた硫酸酸性水溶液を水槽に戻し、今度は鍛冶のときにストックしておいた硫化水素を水溶液に通気していく。
これにより硫化銅が選択的に沈澱するので、沈澱物を除ける。
硫化水素に還元された鉄が三価から二価のイオンになったので、水溶液を加熱し硫化水素を追い出して還元をやめる。そして更なる篩い分けをすべく、硝酸を酸化剤として使って鉄を二価から三価のイオンにもどす。
研究室から持ち出した濃アンモニア水を惜しみなく投入すると、水酸化アルミニウムと水酸化鉄が混ざった沈澱が採れる。
残された水溶液に硫化水素を加えたが、もしかしたら採れるかもと期待した硫化亜鉛の沈澱は微妙だったので、【強制脱水】の魔法で一気に脱水し、粉は袋に詰めて放置することにした。
沈澱は、これまた研究室から持ち出した水酸化ナトリウム水溶液で溶かし、水酸化鉄(Ⅲ)の沈澱とアルミン酸イオンの水溶液に分けられ、これで大体の金属の分離ができた。
「ふぅ、終わった…」
作業が終わる頃に雨はすっかり止み、もう、陽射しが戻ってきている。
「とりあえず片付けて、後でシオノヤのおっちゃんでも冷やかしに行くか…!」
俺は大きく背伸びをすると、水溶液から取り出せた素材たちをガラス瓶に詰めて実験室に持ち帰った。
☆ ☆ ☆ ☆
出来た素材をどうするかっていうと…
・硫化銅…銅の精錬でリサイクル
・水酸化鉄(Ⅲ)…鉄の精錬でリサイクル
・アルミン酸水溶液…アルミナから使い道を考えよう!
・硫化亜鉛…亜鉛錯体に転換してから使い道を考えよう!
と、こんな感じに思っているわけだけれども…
これを鍛冶場のお二方とイェーネンさんに話を振ったら、どうなるかとても気になる。
でもなぁ…製法諸々子細を徹夜で問い詰められそうで怖いわ~。
レポートという名の気まぐれ実験日記、早く書いて食べに行こう。
…。
日没までに書き終えられるだろうか…
やれやれだ。
話数がずれていたので修正しました。
(2015.01.15)




