第17話:採石場、再び。
短めですが投稿します。
よろしくお願いします。
俺はヴォルトとともに、昨日発破をかけたニッケル鉱石の採掘現場に来ていた。
俺達がフィールドワークで見つけたのは、苦鉄岩といわれる岩石中に含まれる接触交代鉱床というもので、ニッケルと鉄を中心とした鉱物が豊富な鉱床だった。
硫鉄ニッケル鉱ともいわれるペントランド鉱、針ニッケル鉱、磁硫鉄鉱、磁鉄鉱、黄銅鉱がこの鉱床に含まれる。確実に手に入れられるのは、ニッケル、鉄、銅、硫黄。運が良ければ、コバルトなども。
おおもとは岩石だけに、ケイ素やアルミニウム、マグネシウムなども採取出来ると見込んでいる。
「ヴォルト。今日は昨日採掘した鉱物の残りから、鉄と硫黄を分離するから」
『昨日みたいなヘマはやるなよ?』
「分かってるわ!」
痛いツッコミをありがとう、ヴォルト。…俺って信用されてないよなぁ…特に魔法は。
大小様々な岩のうち、鉱床を含むものを選別して1ヶ所に集める。
昨日は一つ一つの岩に魔法陣を貼り付けてニッケルを採取していたが、まとめて処理したほうが早いことに今更ながら気が付いた、残念な俺でした。
粗方まとまったところで、鉄を抽出する作業にうつる。さて、今日はどれくらいかな?
…
………
「なぁヴォルト、純度72%ってどう思う?」
『あぁ? …微妙だな。実に中途半端だ』
「…だよな…」
目の前に転がるビーチボール大の鉄塊に、思わず溜め息が出る。
もう一度、岩の寄せ集めから鉄の抽出を試みたが、ソフトボール大で75%のものしか得られなかった。
「…俺、純度は諦めるわ。…純度が無いなら精錬すればいいじゃない…」
『匙ならここにあるぞ』
…ヴォルトお前良く知ってるな、日本の諺。謎だ。
何となくの流れで俺はヴォルトから匙を貰い受けると、岩に向かってぶん投げた。
「…こん畜生ォォォー!!」
魔力体力全解放でぶん投げた匙は、岩に突き刺さって三分の二あたりまで埋まっていた。
「ふぅ☆」
額に浮かぶ汗を、爽やかに手の甲で拭う。
『やはりアホの子だな、お前は』
ヴォルトが何やら言っているが、気にしな~い。
精神的にも物理的にも匙を投げてスッキリしたところで、次なる作業、硫黄の抽出に移ろうとした。
『む、ヤツが来たな』
「え?」
北の空を視ると、紅いモノがバッサバッサと羽ばたきながらこちらに近づいてきていた。
「ヴォルト、アレってもしかして…?」
『その「もしかして」だな。まぁヤツも“被害者の会”メンバーだから危険性はないが。むしろ同士だぞ?』
国では紅竜は災厄級モンスターという見解だが、気にしな~い。
兄貴の方が俺にとっては…いかんいかん。勘がいいから下手すると後々兄貴にカワイガラレそうだ。
…なんて色々考えているうちに、ティラノサウルスに羽を生やしたが如くの紅い竜は、目の前に着地した。意外と身軽に。
ちょっぴりびっくりしつつ見上げていると、両手の掌を胸の前で合わせて何やら呟いた。『グルオゥ』としか聞こえなかったが。
直後縮んで、2mを少し超える程度の身の丈の、大柄な竜人…とでもいう姿に変身した。なにこの人。超カッコいい。
子供が見たら十中八九パニックを起こすか泣きまくるかという凶悪な面構えだが、特撮とか変身モノが大好物な俺にとっては眼福以外の何物でもないのです。
変身したら衣装を身に付けてるってどんなマジックですか? もう一度お願いできますか?
『…騒がしくて昼寝も出来んわ』
「…すみませんでした」
なんかメッチャ睨まれた。非常に怒っていらっしゃる。
とりあえず、土下座して謝ってみた。
…硫黄どころじゃないよね…?




