ジャズの企み
よろしくお願いします。
数多の出会いの中で、不思議な事にとある人間だけと人生を共にする。そこには何が在ると云うのだろうか、どれだけ望んでも一緒に在る事が無かったり、望まなくともそこに在ると云うことも。それが、人の人生だ。
すでに闇が大地を支配する頃。漆黒の飛獣が我が物顔で飛ぶ。
「急いでくれ、ウメカを嫁にしたいんだ、父上に承諾を取り付ける。」
ジャズは愛馬ならぬ愛獣に話しかける。
ところが、肝心の愛獣はピタリと止まって仕舞った 。
「うっわ‼
なんでっ止まる!!」
グウウウウ。
真っ暗な空間で止まった愛獣は唸ると踵を返してしまう。主従関係の崩壊は死を意味し、今後獣にまたがる事が難しく成って仕舞う。
「おい!!引き返すなっ!
なんで、云うことを聞かないんだ!」
知らんぷりと云う具合だ。
そもそもなぜジャズはウメカを嫁に仕様と企んだのだろうか。容姿も家柄も一流の男、望むものは何でも手に入る。美しく知性的な女も穏やかで安らぎを与えてくれる女も、それに後腐れの無い関係の女もだ。その点でウメカはどれも当てはまらない、独立した女で知性的と云うよりも悪女の様に策略家と言える。その容姿は可愛くもあり美しくもある。個人差で印象は変わるのだろうか、周囲の反応は様々である。
「ふざけるな!!ウメカなら女公爵として将来素晴らしい仕事をしてくれる、早く手を打たなければ何処ぞの王族に持って行かれて仕舞うだろうっ!」
どんなにジャズが叫ぼうとも聴く耳を持たない獣だった。
こうして、ジャズは王宮に強制的に帰還させられる事に成る。
『あの人間を王都から出すな』と云う第三者の絶対な命令に寄ってジャズの愛獣は途中で引き返す事に成ったのだ、それはどの獣にも当てはまる事で一切王都から出られなくなってしまったのだ。そこで手紙を父親に送るとその答えは「承諾不可」と返って来る始末だった。
愚かな人間よ。
我のものを手に仕様としても無駄だ。増して、お前の子を宿すなどそんな事が冗談でも赦しはし無い。
そうだ、丁度いい。どっかの島に休養でもしてはどうだろう、ウメカが働き過ぎだと言っていた。
本当に忌々しい・・・。
こうして、ジャズの企んだウメカを嫁にする計画は潰されたのだ。
有難うございました。